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2013年12月5日木曜日

[CDレビュー]  ガガガSP「卒業アルバム」


ガガガSP「 卒業アルバム」
(2002/3/6)

1. 卒業 (アルバム仕様)  
2. 日暮し 
3. 明日からではなく (アルバム仕様)
4. 君の歌は僕の歌なのさ  
5. 告白  
6. 証明  
7. 心の唄  
8. 弱男  
9. 光  
10. 雪どけ  
11. 青春時代 (アルバム仕様)  
12. しみったれたまま前に進め  
お気に入り度:★★★★★★★★★ (9/10)




2002年にリリースされた、ガガガSPの2ndアルバム。

パンクに昭和のフォークを融合させたスタイルは、当時から唯一無二であり斬新でした。
メジャーデビュー曲「卒業」の鮮烈さは今でも強く印象に残っています。
終始早口でまくしたてるかのような歌唱とメロディに加え、
勢い余るかのように、曲のアウトロに入っても延々と熱く語り続け、
思いのたけを叫ぶ姿には心を打たれる。(聴き手を選ぶ内容ではありますが)
そして、その歌詞の内容に共感できる。自分の弱さや心の葛藤を、
全力でさらけ出すような内容の歌詞が多いというが良いです。

その中でも8曲目の「弱男」は彼らの代表曲といえる大傑作。
「言いたいことかあればその場で叫ぶんだ 後で土下座でもすりゃいいさ」
とサビで歌いつつも、
「本当にそんなことできるのならば いちいち歌で言うことは無いだろう」
これはまさにその通りだよなと・・・ 俺だって日頃は言いたくても
言えないことだらけだ!と、思わず共感してしまう。それに加えて、
「だから僕はせめて歌ってる時だけでも自分の感情を表に出してやるんだ」
これには、そうだこれこそが歌の素晴らしさだ、俺がカラオケなどで歌う理由も
まさにそれだ、日頃は大きな声を出したくても出せないからな!
と、同じく共感してしまう。そして曲中盤にはサビをメンバーが交代で歌う場面もあり、
その歌唱については、お世辞にも上手いとは言えないが、それが気にならないほどの
一体感をこの場面からは感じさせてくれる。1人じゃないんだと思わせてくれる。
そして極めつけは曲終盤、歌詞カードには書かれていない魂の叫びが・・・
「俺のことバカにする奴はな!バカにする奴はな!絶対痛い目に遭うんだからな!!」
これには泣ける。たとえカッコ悪いと思われようが構わないんだとばかりの叫びの数々。
俺だってこういう気持ちをずっと抱えてきたが、日頃は出せない!
どうしたらここまで必死な姿をさらけ出せるんだ。
とにかくこの曲の全てに、感激せずにはいられませんでした。

さらに、ラスト曲の「しみったれたまま前に進め」は約2分の弾き語りバラードで
短い曲ですが、この曲も歌詞がたまらなく心に響く。
たとえケンカが弱い自分だったとしても、集団に入れなかったとしても、
「その思い出を大切にしよう」「それでいいんだ」「しみったれたまま前に進め」
と歌いかけてくれるのには、これまた泣ける。
こんな曲を聴かされたら、一生ファンになるぞ!と思えてくるものがありました。

全編通して統一感のある作品となっていますが、しかし3曲目「明日からではなく」
は今作の中では一味違った内容の曲となっている。小谷美沙子のカバー曲で、
学校の先生になった自分のこれからについて歌った曲ですが、
こういう曲をカバーではなく、メンバーの自作で作れるようになれば、
さらにバンドとして一段上のステージに行けるのではと思いました。
6曲目「証明」は彼らが尊敬する吉田拓郎のカバーですが、
オリジナルアルバムの中に何曲もカバー曲を入れるというのはどうかと・・・
これは次作以降のアルバム作品にも言えることでしたが。

今作はメジャーデビューアルバムとして見事な作品でした。当時流行した
青春パンク系のバンドの中でも、彼らは異色の輝きを放っていたといえるでしょう。
さらにこの次の作品も、期待通りの内容でした。(続く)


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