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2009年12月27日日曜日

[CDレビュー]  GARNET CROW「STAY~夜明けのSoul~」



GARNET CROW「 STAY~夜明けのSoul~」
(2009/9/30) 

1. Hello Sadness 
2. 百年の孤独 
3. 花は咲いて ただ揺れて(Album ver.) 
4. Elysium 
5. Doing all right
6. ON THE WAY 
7. Stay 
8. 日々のほとり 
9. 夢のひとつ 
10. Fall in Life~Hallelujah~
11. Rainy Soul 
12. 恋のあいまに  
お気に入り度:★★★★★★★★ (8/10)




GARNET CROWの7thアルバム。
1曲目の1フレーズ目でいきなり「離婚間近の」とか言ってしまう、
いい意味でひねくれたセンスを持ってるところはやっぱり好きです。
アルバム全体を通しても安定して良かったですが、
ただ今作は必殺の1曲が無かった気がしました。
つくづく「Nora」をシングルA面でリリースしてこのアルバムにも入れてればと思いました。

そんな中で個人的に一番良かったと感じたのは「夢のひとつ」。
Bメロからサビの間で転調するところは特にツボです。
やっぱり私は転調が好きなんだということにあらためて気がついてしまいました・・・




2009年12月22日火曜日

[CDレビュー]  鬼束ちひろ「DOROTHY」


鬼束ちひろ「 DOROTHY」
(2009/10/28) 

1. A WHITE WHALE IN MY QUIET DREAM 
2. 陽炎 
3. X 
4. ストーリーテラー 
5. STEAL THIS HEART
6. I Pass By 
7. 帰り路をなくして 
8. Losing a distance 
9. ラストメロディー 
10. 蛍 
11. VENUS
お気に入り度:★★★★★★★★★ (9/10)




2009年10月にリリースされた、鬼束ちひろさんのニューアルバム。
完全復活へ向けて、音楽に込めた新たな決意というものを
ひしひしと感じるアルバムだったと思います。

世間的には、鬼束ちひろの曲といえば暗いというイメージがあるかもしれません。
今作でいえば「帰り路をなくして」のような、ひたすらダークな曲も
もちろん魅力の一つですがしかしこのアルバム全部を聴けば、
決して暗いばかりだなんてことはない。
同じバラード曲であっても、歌謡曲的なメロディにのせた美しいラブソング「陽炎」や、
どこか小悪魔的な感じのする「ストーリーテラー」などといったように、
曲ごとに違う色を感じさせてくれる作品となっている上に、
激しいロック調の曲「X」や、軽快なシンセの音が印象的な曲
「STEAL THIS HEART」などといった新たな挑戦を感じる曲も
収録されているというのが良いです。

そしてこのアルバムは、影の部分と同時に、光の部分を強く歌っている。
その向こうに見える光を目指して、必死に向かっているかのような・・・ 
特にラスト2曲は、圧巻といってもいいでしょう。
暗闇の中で輝こうとする姿を思わせてくれる「蛍」は超名曲といっていいです。
そしてラスト曲の、壮大なまでの愛、決意、希望を歌った「VENUS」の
その圧倒的なまでのスケールは、まさに大空から光がさしてくるかのよう。

今作は、個人的には彼女の最高傑作だと思いました。
いつかまた、ライブにも行ってみたいです。
生で聴いたら、きっとCDで聴く以上に感動するだろうなと・・・


2009年12月16日水曜日

[CDレビュー]  m.o.v.e「anim.o.v.e 01 」


m.o.v.e「 anim.o.v.e 01」
(2009/8/19) 

1. 創聖のアクエリオン 
2. LIBIDO -m.o.v.e×宝野アリカ(from ALI PROJECT)- 
3. 魂のルフラン 
4. たった一つの想い 
5. Gravity 
6. 優しい傷 -m.o.v.e×AKINO(from bless4)-
7. 名もなき愛 -m.o.v.e×桃井はるこ×三木眞一郎- 
8. Give a reason 
9. God Knows...
10. 愛・おぼえていますか 
11. (BONUS TRACK) anim.o.v.e Type D MIX
お気に入り度:★★★★★★★★★ (9/10)





1月リリースのオリジナルアルバムで、トランス中心の路線に原点回帰したm.o.v.eが
今年8月にリリースした、アニソンカバーアルバム。


もともとは高速道路でのドライブで聴く曲として彼らにハマった私としては、
いつの間にすっかりアニソン歌手扱いになったのだろうか・・・
という思いはありつつも、それでもアニソンの世界でのヒット曲という、
どれも良質のメロディを持った曲の数々をm.o.v.eがアレンジするという時点で、
駄作になるわけはないだろうと思いました。やはりその通りの、良作だったと思います。


1曲目の「創聖のアクエリオン」の時点で、まさにその期待通りのノリノリなサウンドを聴かせてくれます。
特に5曲目の「Gravity」なんかはm.o.v.eのトランス路線の真骨頂ともいえるべきサウンド。
しかしその一方で、ラテンっぽいテイストが入った「魂のルフラン」や、
バラード曲の「たった一つの想い」なども収録されていて、
アレンジ面で多彩なところも見せてくれたと思います。


またこのアルバムの最大の特徴は、カバーアルバムながら、
他のアーティストとのコラボによる、完全オリジナル曲が3曲も入っているということです。
これが3曲とも素晴らしい!
その中でも、桃井はるこさんのボーカルと、声優の三木眞一郎さんの語りが
絶妙なまでに曲の中に溶け込んでいる「名もなき愛」は特に良かったです。
ボーカルが4人もいて、その4者4様の個性が見事に生きているのがすごい。
さらには、ALI PROJECTの宝野アリカさんとのコラボ曲、「LIBIDO」も素晴らしい。曲の展開美が最高です。


なのでこの作品、アニメについてはあまりよく分からない人でも(現に私もよく分からないのですが)
トランスやテクノポップ系の音楽が好きならば、十分楽しめる内容だと思います。
決してただ安易なだけのカバーではないです。曲の質は本当に高かったですから!




2009年12月12日土曜日

[CDレビュー]  Do As Infinity「TRUE SONG」


Do As Infinity「 TRUE SONG (CCCD)」
(2002/12/26) 

1. 空想旅団 
2. under the sun 
3. Good for you 
4. I can't be myself 
5. Perfect Lady
6. 真実の詩 
7. Grateful Journey 
8. One or Eight 
9. sense of life 
10. 轍-WADACHI- 
11. あいのうた
お気に入り度:★★★★★★★★★☆ (9.5/10)




Do As Infinityの4thアルバム。
先行シングルにもなった「真実の詩」を聴いた時は本当に衝撃を受けました。
つい最近まで「悲しみや嘘のないどっかの街まで 飛んでいこうよ」とか歌ってた歌手が
「もっと今以上に 私を汚して ほんの少しだけ 私を汚して」と歌ってたわけですから。
でも、これもまた「真実」なのかと・・・
確かに、この世の中で生きていくには、ただ綺麗なだけでは生きられないのもまた真実・・・
当時10代後半だった私には、考えさせられたと同時に、この曲に圧倒されました。
伴ちゃんの迫り来るような歌声と、京胡という中国生まれの楽器を取り入れた、
同じく迫り来るような壮大で大陸的なサウンド、まさに芸術的なバラード曲といっていいでしょう。


そして、このアルバムの1曲目の「空想旅団」。
まるで、タイムマシーンに乗って時間旅行をしているかのような、歌詞とサウンド。
迫り来るようなドラムの音、そしてサビで一気に目の前が開けるかのような、ブログレッシブな曲展開、これはもうとにかく壮大でドラマチックで・・・ この2曲だけで完全にやられました。
この上記2曲だけでもう私的名盤決定です。それぐらいすごかった。


もちろん、これ以外の曲についても、
綺麗なメロディと切ない歌詞が印象的な「I can't be myself」、
サビメロが変則的で全体的にもなんかぶっ壊れたような「Perfect Lady」、
(これが賛否両論なのはある意味うなづけますが)
疾走感溢れるロックで、こちらもタイトル通り旅に出たくなるような曲「Grateful Journey」、
ラストにして新たなスタートを感じさせる、ライブでもラストの定番曲「あいのうた」など、
どれも良い曲ばかりです。つーか、このレベルの曲が当たり前のようにあるって時点で、
あらためて本当にすごいアーティストだったんだなと・・・



2009年11月29日日曜日

[CDレビュー]  Do As Infinity「NEW WORLD」


Do As Infinity「 NEW WORLD」
(2001/2/21) 

1. new world 
2. GURUGURU 
3. Desire 
4. We are. 
5. Snail 
6. 永遠 
7. rumble fish 
8. Holiday 
9. 135 
10. Wings510 
11. SUMMER DAYS
お気に入り度:★★★★★★★★★★ (10/10)





Do As Infinityの2ndアルバム。前作よりもロック色、激しさを増した楽曲に、
より力強さを増した伴ちゃんのボーカルと、全曲において質の高いメロディ、
そして、イントロから間奏からアウトロまでの全てにおいて、精密に作り込まれた編曲。
とにかく質の高い、高過ぎるまでの曲の数々・・・
しかも前作とは全く違う作風で、これほどまでにすごい作品を作ってしまったというのだから・・・
まさにこのアルバムをもって、日本最強クラスのアーティストが誕生したといっていいでしょう。


イントロからして一気に引き込まれる、
問答無用なまでのカッコ良さと力強さを持った曲「new world」、
上品さ・質の高さとセクシーさを持ち合わせた極上ロックナンバー「Desire」、
テンポの良いバンドサウンドと鐘の音が印象的なクリスマスソング、そして、2番終了後の間奏ではまさにサンタクロースがこの地に下りてくるかのような感動に包まれる「We are.」
亡くなった人への感謝の気持ちを、力強く歌ったバラード、私がこれを聴いた10代の当時は誰かを亡くした経験なんて無かったのに、それでも泣いたぐらいの曲「永遠」
激しさと、退廃的なまでのダークさを持ち合わせたようなボーカルとサウンドに
心を打たれる「Snail」「rumble fish」、
社会を軽快に皮肉るかのような歌詞と、勢い満点でなおかつ質の高過ぎるぐらいのロックサウンド、そしてアウトロの、ピアノの音が絶妙にからむとこなんてまさに神がかり的な「135」、
ゆったりとした曲調にのせて優しく歌いかけるAメロ、Bメロから、サビで一気に盛り上がり、
そして一気にとてつもない開放感に包まれるかのような曲「Wings510」、
そして最後は、DoAsの中で最もハードなロックでありながら、
激しさと切なさが交錯するかのような感覚に包まれる、全英語詞のナンバー「SUMMER DAYS」、
もう本当に、そのどれをとっても素晴らしい曲ばかりです。


女性ボーカルのロックアルバムの中では、次回レビュー予定のとある作品と並んで、
まぎれもなく日本トップクラスのアルバムといっていいでしょう。
このアルバムでDoAsはオリコン週間1位を獲得し、本格的にブレイクしたわけでございますが、
個人的には、いやむしろこれでも売り上げが低すぎる! 週間じゃなくて年間1位をとるべき作品だろ! とすら思えてくるぐらいの、そんな作品でございます。


2009年11月28日土曜日

[CDレビュー]  Cocco「ラプンツェル」


Cocco「 ラプンツェル」
(2000/6/14) 

1. けもの道 
2. 水鏡 
3. 熟れた罪 
4. 雲路の果て 
5. 白い狂気 
6.’Twas on my Birthday night
7. 樹海の糸 
8. ねないこだれだ 
9. かがり火 
10. ポロメリア
11. 海原の人魚 
12. しなやかな腕の祈り
お気に入り度:★★★★★★★★★★ (10/10)




Coccoの3rdアルバム。その綺麗で美しい歌声と、
その音楽に込められた激しさと優しさ、そして人間の持つ醜さと美しさ、
それら全てが表裏一体となったような曲の数々は、まさに圧倒的。
まるで神が憑依しているかのかのような作品です。

激しいロックサウンドと、魂の叫びそのものの歌声が響き渡る
「けもの道」「雲路の果て」「かがり火」、
可愛らしい曲調と歌唱で「骨も皮も剥ぎ取って」と歌う「白い狂気」、
オルガンの音が印象的な、まるで童謡のような曲調にのせて、
「わたしなんか死ねばいいと思ってた でもどこかでわたしだけが生きのびることだけ信じてきた」
と歌う「海原の人魚」などといった曲を初めて聴いた時は、本当に衝撃的だったです。
その一方で、穏やかな曲調にのせて優しく歌いかける
「ポロメリア」「しなやかな腕の祈り」、の2曲には、
本当に心の底から癒される・・・ そこには壮大なまでの愛を感じる。
もはや私なんかがレビューするのはおそれ多いと思うぐらいの作品です。

このアルバムを聴いた当時は、私はまだ高校生で、
これが好きだったことについては他の人には言えなかった、いわゆる隠れファンでしたが・・・
しかし今でもやっぱり、日本で天才だと思うアーティストを挙げるなら、
真っ先にCoccoさんの名前を挙げますね。


2009年11月27日金曜日

[CDレビュー]  In the Soup「東京野球」


In the Soup「 東京野球」
(2000/11/1)

1. 東京野球 
2. 風の子 
3. せんこう花火 
4. もともとクラゲの僕達は 
5. 川
6. 魚の手紙
7. 雨 
8. あの頃は~大きなノッポの古時計~ 
9. 農夫の女は詩人の女 
10. 星に咲く花
11. 夕立ち 
12. 人生レール~2000年型~
お気に入り度:★★★★★★★★★☆ (9.5/10)




In the Soupの1stアルバム。このバンドの曲からはとにかくパワーが感じられます。
アップテンポな曲だけでなく、落ち着いた感じの曲調やバラード曲でも、曲調以上の力強さを感じる。
ボーカルの中尾さんの迫力満点の歌いっぷりが、曲に一層の力を加えてますね。
その中でも、東京に上京してそこで頑張ろうとする気持ちを、
野球のプレーなどに例えつつも熱く歌った、1曲目「東京野球」は
特に素晴らしいです。野球好きの人にはぜひ聴いて欲しい曲ですね。
またこのアルバムは、曲のタイトルから伝わる通り、風、川、星といったような、
大自然を感じるような曲が多いのも特徴です。
子供の頃に、山や川や草原を走り回ったりして、まだ無邪気だったあの頃・・・
この純粋で熱い気持ちは、大人になった今でも忘れたくないなと思わせてくれるような、
そんな曲の数々。特に、シングル曲でもある「風の子」「川」は、
まさにそんな懐かしさと熱さを合わせ持った超名曲です。

久々にこのバンドのことを調べてみたところ、一応今でも現役で、解散はしていないようです。
最近はメンバーのソロ活動が多いようですが、またあの頃のような曲を聴いてみたいですね。



2009年11月25日水曜日

[CDレビュー]  「ザ・コブラツイスターズ」

ザ・コブラツイスターズ」
 (2000/2/23) 

1. 東西南北 日本の空 
2. サクラサク 
3. 運命船サラバ号出発 
4. 君の目に 
5. 夢の旅人
6. 光と瞬間のブルース
7. ギラギラ太陽たち 
8. 月を追い駆ける夜 
9. 路地裏の宇宙少年
10. 去りゆく君へ 
11. 嵐に住む人 
12. おひるね
お気に入り度:★★★★★★★★★☆ (9.5/10)






鹿児島県と沖縄県の県境にある島、与論島出身のボーカルの川畑アキラさん率いる、
ザ・コブラツイスターズの1stアルバム。1stにしてすごい作品を作ってくれました。

このバンドの最大の特徴は、島唄の要素や、和の要素を取り入れたバンドサウンド。
1曲目からいきなり大傑作、三線の音が絶妙にからむロックナンバー「東西南北 日本の空」、
この曲は私的旅に出たくなる曲No.1といってもいいぐらいの、超名曲です。
さらには、青森ねぶた祭を思い出させるような、祭囃子とロックを絶妙に融合させた、
迫力満点のナンバー「嵐に住む人」。この曲も本当にすごいです。まさに彼らにしか出来ないような曲。

他にも、琴の音色が印象的な桜ソング「サクラサク」や、
島唄テイストの「君の目に」といった、和の要素を感じるナンバーから、
ストレートで熱いロックナンバー「ギラギラ太陽たち」「路地裏の宇宙少年」、
そしてバラード曲の「光と瞬間のブルース」「去りゆく君へ」といった曲まで、
幅広いジャンルの曲を歌い、そしてそのどれにおいても質が高いです。

何よりこのアルバムからは全編通して、歌の魂というものを感じる。暑苦しいぐらいに、熱さを感じます。
またこのバンドは、いわゆるラブソングがほとんど無いというのも特徴です。
今の10代女性にウケる恋愛ソングを歌うような歌手とは何から何まで全く正反対のタイプといっていいでしょう。

つくづく、こういう歌手が売れずに消えていってしまうような今の日本の音楽シーンは本当に残念です。
2008年に惜しまれつつも解散、もうこのようなバンドはメジャーシーンには二度と出てきてくれないのだろうか・・・


2009年11月22日日曜日

[CDレビュー]  Do As Infinity「BREAK OF DAWN」


Do As Infinity「 BREAK OF DAWN」
(2000/3/23) 

1. BREAK OF DAWN 
2. Standing on the hill 
3. Oasis 
4. Another 
5. 心の地図
6. Heart 
7. Raven 
8. Welcome! 
9. Painful 
10. Tangerine Dream 
11. Yesterday&Today
お気に入り度:★★★★★★★★★☆ (9.5/10)





Do As Infinityの、記念すべき1stアルバム。
私が確かまだ高校1年生ぐらいの頃、3rdシングルの「Oasis」を聴いて、これは良いと思い、
その後、4thシングルの「Yesterday&Today」を聴いて、本当に感動したのを今でも覚えています。
これが、その後現在まで約10年にわたってまでファンになったきっかけです。
当時はこの「Yesterday&Today」が日本一素晴らしい曲だと思ってました。とにかく、美しいの一言に尽きる。
そして、そんな美しくて質の高い曲の数々がたくさん入っているのが、この1stアルバムです。

このアルバムは、その後にリリースされたDoAsのアルバムとは1つ決定的に違うところがあります。
それは、ハードな曲やノリノリな曲が無いということ。一見、暗くおとなしい感じのアルバムです。
しかし、そんな暗さの中にも、明るさを求めているかのような、
そしてあきらめずに夢を追いかけようとする姿を歌ったような、そんな曲が多いというのが、
当時10代だった私の心には、なおさらすごく響くものがありました。
その中でも特に、デビューシングルにもなった「Tangerine Dream」は超名曲。
もちろん、夢とはいっても最近の10代向けにただ夢を安売りしているかのような曲とは全然違う。
このアルバムは聴きこめば聴き込むほどに、楽曲、サウンド面においてすごく工夫されているのを感じることができます。だからこそ、言葉や曲に説得力を感じる。
ヒップホップ的なテイストが入った「心の地図」、民族音楽的なテイストが入った
「BREAK OF DAWN」「Heart」などは特に編曲が凝っていて、
これらは私が20代になってから聴いてまた新たな発見ができた曲とも言えます。
つくづく今聴いても本当に良いアルバムだったなと思える、そんな、世代を超えた名盤です。


2009年11月6日金曜日

[CDレビュー]  VANILLA「玉椿」

VANILLA「玉椿」 (1996/7/1) 1. NO NO NO  2. ストロボ  3. 爆楽天  4. 彼女はサイコキラー  5. メラ☆メラ  6. 月の輪熊(インスト) 7. デカメロン  8. ルンバ’96  9. つばさ  10. Say Yeah!(インスト)  11. 星が降る  12. マニアック  13. スカした女 14. 月のマグマ(インスト) お気に入り度:★★★★★★★★★☆ (9.5/10) 1996年にリリースされた、VANILLAの2ndアルバム。 ちなみに彼らは計3枚アルバムを出していますが、これらブックオフで3枚全部計750円で買いそろえました。 その中でも最高傑作だと思ったのが、この2ndアルバムです。 このVANILLAというバンドは、紅一点ボーカルを有する4人組ロックバンドで、 さらにこのバンドは、ドラムに、現ユニコーンの川西幸一さんが参加していたり、 (最近、ユニコーンの「半世紀少年」という曲で彼の名前を聞いた時は、えっ、まさかユニコーンのメンバーだったとは!とビックリしました) 作詞には森雪之丞さんや近田春夫さんといった大御所作詞家が参加していたりしてました。 このことから、おそらく当時はかなり力を入れて売り出しされていたんじゃないかなと思います。 そしてこのアルバム。とにかく、前半からものすごいハイテンションで突っ走っているアルバムです。 1曲目なんか特に、バンドサウンドにからむ電子音がまた異様なテンションをかきたてている。 しかし同時にこのアルバムは、メロディやアレンジが、全編通してどこか東洋的な雰囲気を感じるのが特徴です。 9曲目の「つばさ」なんてモロに中華テイストの曲。当時のPVも中国語が出てきたりしてた記憶があります。 そんなサウンドの数々に、ボーカルの笹本さんの、痛快で、それでいて独特のセクシーさも持ち合わせたような歌唱が、これまた最高にマッチしています。このバンドは、昼より夜が似合う。 香港や上海あたりの夜のライブハウスで歌ってる姿が似合う、そんな感じ。 その中でも特に、シングルカットされた5曲目の「メラ☆メラ」は、 まさにそんな彼らを代表するような名曲といっていいでしょう。 他にも、タイトル通りルンバ調の「ルンバ’96」や、バラード曲の 「星が降る」などといった曲も良く、実質11曲入りのアルバムながら、 幅広い音楽性を吸収した、捨て曲無しの名盤といっていいでしょう。 つくづく、もっとブレイクしてもおかしくなかったと思うんですけどね。大御所が参加していたのならなおさら。 あまりにも音楽性が濃すぎて、万人ウケしなかったのだろうか・・・ 本当に惜しい存在だったと思います。 これを見て興味を持った人は、ブックオフに行けばたいていどこの店でも250円ぐらいでアルバムが売っているので ぜひ聴いてみることをおすすめします!

2009年10月25日日曜日

[CDレビュー]  妖精帝國「Gothic Lolita Doctrine」


妖精帝國「 Gothic Lolita Doctrine」
(2009/8/26) 

1. Gothic Lolita Doctrine 
2. Valtica 
3. 機械少女幻想 
4. 赤い扉 
5. Schwarzer Sarg
6. Hades:The bloody rage 
7. Wisdom 
8. Destrudo 
9. 彩の無い世界 
10. 至純の残酷
11. Simulacra 
12. 霊喰い 
13. Alte Burg 
14. Wei β Flugel 
お気に入り度:★★★★★★★★★★ (10/10)




妖精帝國の2ndベストアルバム。
ボーカル、ゆいさんとキーボード・ギターの橘尭葉さんによる
2人組ユニット(当時)の作品でございます。
このアーティストの曲を聴いてみようと思ったきっかけは、
以前にとある音楽レビューサイトにて、主にアニソンやゲーム界で
活躍するアーティストでありながら、メタル的な要素を取り入れた
音楽をやっているという話を聞いて、興味を持ったからです。
そしてこのアルバムを聴いてみると、まさにその期待通りといっていい
内容の曲を聴かせてくれました。

元々は「打ち込み系ユニット」というプロフィールを持つ彼らの音楽性は
テクノなどの電子音楽をベースとしながらも、それに加えて
バイオリンやオーケストラの音を取り入れたメタル、いわゆる
「シンフォニックメタル」を融合させたという、独特なサウンドが広がっています。
5・6曲目などは特にシンフォニックメタル的です。
音の作り自体は打ち込みが多いので、ズシっとしたヘヴィな音が
響くという感じではないですが、それでも壮大な世界観を持った
これらの曲の数々には、個人的には最高にハマりました。
今の日本のメジャーアーティストでこんな音楽をやっている人は本当に少ないです。
それに対して、2・8曲などはテクノ・トランス色の強い曲で、
思わず体を動かしたくなるようなサウンドが広がっています。
ちなみにこの妖精帝國というアーティストは、いわゆるアニソンの
世界においてはALI PROJECTと比較されることが多いと聞きましたが、
サウンドの多様性、作風の振り幅の広さにおいては、
こちらの方が上かもしれないと思いました。

そして歌詞も独特の世界観を持っています。
2曲目でいきなり「絶対運命迷子人間 冷酷心情最高」といったような歌詞が出てくるのには驚きました。
さらに3曲目の「機械少女幻想」は、そのタイトル通りとでもいうべき
機械・ロボットになってしまった人たちの世界を描いた曲でこちらにも驚き。
その後も全編通して、濃すぎるぐらいに濃い世界観が広がっています。
そしてこれらの歌詞やサウンドをバックに、ボーカルのゆいさんの、
まるでボーカロイドのように高くて甘い声がからんでくるという
この組み合わせは、まさに唯一無二といっていいでしょう。

彼らの曲はおそらく合わない人には全く合わないと思いますが、
しかしそれでも音楽的には本当にすごいと思いました。
ただベストアルバムとなると、若干似たような印象のある曲が
何曲か重なってしまう傾向があったので、
次はぜひオリジナルのフルアルバムをリリースしてくれることを期待したいです。
(調べてみたらここまでベストアルバム2枚とミニアルバム1枚のリリースで、オリアルが0という歌手も珍しい・・・)
ライブにも機会があれば行ってみたいです!


2009年10月16日金曜日

[CDレビュー]  Do As Infinity「ETERNAL FLAME」


Do As Infinity「 ETERNAL FLAME(DVD付)」
(2009/9/30) 

1. ETERNAL FLAME 
2. 最後のGAME 
3. Perfect World
4. 名もなき革命 
5. ナイター
6. Feelin'The Light 
7. メラメラ 
8. Piece Of Your Heart 
9. 北風
10. his hometown 
11. 焔 
12. 生まれゆくものたちへ
お気に入り度:★★★★★★★★★★ (10/10)





Do As Infinityの復活ニューアルバム。
去年の復活ライブの帰りの時に書いたアンケートに「これからも「科学の夜」「真実の詩」
のような芸術性の高い曲を作り続けて下さい」と書いたのが約1年前、
そしてこのアルバムにて、まさにその通りの作品を作ってくれました。
歌詞の深さと幅広さ、楽曲のスケール感・・・ やっぱり格が違う。
最近の、恋愛だの夢だのとかしか歌わない歌手とは、一回りも二回りも、スケール感が違う。
J-POPシーンにおいて、「音楽の力」というものをこれほどまでに感じるアーティストはそうそういない。
本当に嬉しかったです。ファンの声がしっかりと届いていて、そしてその期待に応えてくれたことが。


今作は、今までほとんどの曲の作曲をしてきた長尾大さんが製作に参加しなかったことから、
メンバーの作曲は無し、そして作詞も12曲中2曲だけ、
さらには、楽曲を一般公募。(これ私もパソコンでの音楽制作能力さえあればぜひ送りたかったんですけどね・・・)
このブログを見てる人の中には、自作でないとアーティストとして認めないみたいなこと言う人もいるかもしれませんが、しかし、今に限らず、再結成前の曲もスタッフ作詞の曲があった、
なにより、誰の作詞や作曲であっても、伴ちゃんのボーカルと亮さんのギター、
そして、アレンジャーの亀田さんをはじめとしてこの音楽を支える多くの人々が作り上げた結晶である作品の数々は、最強アーティストと呼ぶにふさわしい、素晴らしいもの。
それは、今作においてもそうでした。


まず1曲目「ETERNAL FLAME」を聴いた時から、名盤を確信いたしました。
全英語詞の作品。これが歌詞も曲展開も素晴らしい。洋楽の名曲とそん色ないぐらいの、ブログレッシブな作品。
「あなたは一番にもプロフェッショナルにもなれる 医者、音楽家、校長、プロデューサー」のとこなんて感動しました。


そして、2曲目の「最後のGAME」 これで、もう一気に気持ちが盛り上がりましたね。サビが最高に気持ちいい。
アルバムタイトル通り、炎のようにパワーがみなぎってくるロックナンバー。「力は唯一力に負ける」という歌詞は特にいい。


そして3曲目「Perfect World」 便利になり過ぎた人類の未来の世界を描いた曲。
こういう、レベルの高い芸術的な曲を待ってた!って感じですよ。
「パンデミック」という歌詞は今の時事ネタも反映させていて、印象的でした。


4曲目「名もなき革命」 革命といっても、いわゆる「私を変えてみせる」的な曲ではなく、
まさに本物の革命を歌った曲。政治的な色を感じる歌詞は苦手にする人もいると思いますが、
しかし、これはこれで芸術性の高い作品だと思いました。迫力満点のパワーバラード。
てか、日本でこんな曲を書くアーティストってほとんどいないので、それだけでもすごいと思います。


5曲目「ナイター」 まさかの野球場をテーマにした、バラード曲。
作曲は一般公募ですが、これが和のテイストを感じるメロディで良い。
同じバラードでもこちらはしみじみと切ない感じで、亡くなった父親との野球観戦の思い出を歌った曲。
個人的には、全く境遇が違うのでいわば共感はできないはずなのに、
それでも、しみじみといいなぁと思ってしまうのはやはり歌の力というものか・・・


6曲目「Feelin'The Light」 全英語詞で、しっとりと落ち着いた感じの洋楽テイストのロック作品。
ここで、アルバムの流れとしてはホッと一息つけるような、そんな曲ですね。
ここまでが濃すぎるぐらいに濃い内容でしたから・・・


7曲目「メラメラ」 既にシングルの方にて発表済みですが、
この曲は復活後、一番最初にライブで演奏された新曲なので、このアルバムに入れたというその思いも分かりますね。


8曲目「Piece Of Your Heart」 ギターの亮さん作詞の、このアルバムでは唯一といっていい
いわゆる、ストレートなラブソング。
ただ、この亮さんの作詞能力についてはむしろファンが一番分かってると思いますが、
今作でも、「Love You Love You Love You」「すぐそばだよ!!!」などといった、
もはや最近のゆとり世代用着うた歌手と同レベルの歌詞が炸裂しており、
これを30過ぎの男性が書いたというのは、その姿を想像しただけである意味面白いです!
(いやこれでもファンとして愛情を込めてレビューしてるんてすよ!)
まぁ1曲ぐらいはこんな曲があってもいいんじゃないでしょうか。


9曲目「北風」 竜の伝説、昔話を歌った曲。
前曲との歌詞の差がすごいです! これはもう、本当に歌詞が深い。
メロディはちょっと地味かなって感じですが、聴けば聴くほど感じるものがありますね。
てか、日本でこんな曲を書くアーティストってほとんどいないので、それだけでもすごいと思います(本日2回目ですが)


10曲目「his hometown」 ここで超名曲が!
田舎に引っ越すことになり、そこで味わったいろんな経験や思いを歌った曲。
この曲を聴くと今すぐにでも田舎をドライブしたくなる、そして、住みたくなるような・・・
私の住んでるところも「田舎に泊まろう」に出たことがあるぐらいの町だけど(過去の日記参照)
それはともかくとして、しみじみとした懐かしさを感じる曲でした。
バンドサウンドにからむチェロの音がまたいい味出してますね。


11曲目「焔」 これはまさに、DoAs復活を歌った曲。
「永遠の焔を守り続けよう」という、アーティストとしての思いがすごく伝わってくる曲でした。
亮さんの作詞についても、シンプルですがそれでも気持ちは伝わってくるので、
良かったと思います!


そしてラスト「生まれゆくものたちへ」
復活第1弾シングルのこの曲を、ラストに持ってきたのは良かったと思います。
というか、このアルバムのラストで聴くと、より一層感動が増す・・・
様々な世界観を持った、多種多様な曲が集まり、しかしそれでいて、
このアルバムタイトルである「ETERNAL FLAME」(永遠の炎)というコンセプトで、
アルバムとしての統一された世界観も同時に感じるというからすごい・・・
そして、そのラストを飾るにふさわしい曲は、やっぱりこの曲だなと思いました。




本当に復活してくれて良かった。2ndや5thアルバムに匹敵するぐらいの名盤だったと思います。
少なくとも、解散直前の6thアルバムよりは、はるかに良い。
だからなおさら思います。今作で、まさに完全復活してくれたんだなと・・・



以上でございます。こんな長文レビューを最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



2009年9月27日日曜日

[CDレビュー]  HIGH and MIGHTY COLOR 「swamp man」


HIGH and MIGHTY COLOR「 swamp man」
 (2009/9/2) 


1. swamp man(インスト) 
2. XYZ 
3. good bye 
4. eyes 
5. fly me to other moon 
6. pain 
7. 7.2 
8. hate
9. living
10. you
お気に入り度:★★★★★★★★★☆ (9.5/10)





新ボーカルのHALCAさんを迎え、復活再始動した、HIGH and MIGHTY COLORの5thアルバム。
今作では、このアルバムのキャッチコピー通り、今までで一番ヘヴィさが前面に出たアルバムになっています。


といっても、個人的にはヘヴィなロックやメタルをやってるバンドの中には、
ただ叫んでるだけ、楽器鳴らしてるだけにしか聴こえないと思ってしまうような
バンドもあるんですが、それに対して、このバンドのどこが素晴らしいかって言ったら、
どの曲においてもメロディの質が高いことと、それに加えて多種多様でなおかつ独創的な作品を作り続けているところ。
そもそも、バンドとしては未完成過ぎた1stアルバムの頃から、歌メロはとても良かった。
今作においてもそれは変わらず、まさに捨て曲無しのアルバムになってます。
特に、実質1曲目の「XYZ」は、今年を代表する私的名曲。文句無しに素晴らしい!


しかし今作は、今までとは一つ大きく違う点として、
全体的にダークさに包まれたアルバムになっていると思いました。
今まででいう「DIVE into YOURSELF」などのような明るい曲は、ほとんど無いといっていいです。
疾走感ある曲調であっても、歌詞を見るとどこか陰の部分があるような、そんな感じ。
6曲目の「pain」はまさにこのアルバムの象徴的な曲。体を売る少女をテーマにした曲。
「愛だとか夢だとか 馬鹿にしてる」という歌詞は特に印象的でした。
こういう作品を作るアーティストって、最近のヒットチャートに上がってるような歌手にはほとんどいないですからね。
愛だとか夢だとかをいった歌詞をただ寄せ集めて大安売りしているかのような歌手や曲が売れてしまう現状だから・・・


なので、残念ながら売れる作品だとは思えないですが、でも個人的にはますます応援したいと思いました。
こういう作風のアルバムもそれはそれですごく魅力的だなと思いました。
ただ、アルバム全体にビシっと統一感がある分、今までのアルバムに比べると、
特に、大傑作だった2nd、3rdアルバムと比べると、多様性という点では少し落ちるかもしれません。
しかしそれでも、打ち込みの音から始まるディスコ調のサウンドに、
ヘヴィなギターサウンドを融合させ、これにフワフワとした独特の浮遊感のあるボーカルがからむ
「fly me to other moon」、は本当にすごいと思いました。
てか毎回アルバム曲にも、聴けば聴くほどすごいセンスだなと思う曲があるのですが(2ndの「背徳の情熱」など)
今作はこれです。今までこんな曲聴いたことないです!
さらに、アコースティックギターの音から始まり、サビに向かうにつれどんどん激しくなっていく
「7.2」も独特な感じがして、良かったと思います。


ただ、新ボーカルのHALCAさんの歌唱については、まだムラがあるかなと思いました。
もう少し感情表現がうまくなればいいですね。
たとえ少しぐらい下手だと思われても、もっと感情を、魂を込めて歌えばいいと思います。
でもライブでの本人コメントを聞く限りでは、歌うことに対する真剣さは伝わってきたので、
これからのボーカリストとしての成長に期待したいです。


しかし、そんなのを補ってあり余るぐらいの、素晴らしいセンスを持った曲の集まるアルバムだと思います。
ただ、そのセンスが独特なので、評価が分かれてしまうのかもしれません。
特に、変な先入観でしかこのバンドを見れない一部メタル信者にはウケが悪いと思われるのは残念ですね。
アーティストとして、1stアルバムの頃からは比べ物にならないぐらい成長してるというのに・・・
この作品は、今までのみなさんの先入観とか抜きにして聴く価値があると思います。
特に、ロック系の曲が好きな人には本当におすすめしたいです。


2009年8月22日土曜日

[CDレビュー]  より子「記憶」



より子「 記憶」
(2009/6/17) 

1. Memory of Soul 
2. Dear My Friend 
3. 約束の場所で 
4. ほんとはね。(記憶 Version)  
5. メロスのように 
6. Home Party
7. Shadow
8. CHOCOLATE 
9. 働く!より子ブギ 
10. ミカヅキ 
11. あなた (記憶 Version)  
お気に入り度:★★★★★★★★★ (9/10)




6月にリリースされた、より子さんのメジャー4thアルバム。
今回はアルバム前に先行シングルのリリース無し、タイアップも全く無しのため
(てかレコード会社はもはや売る気無いのか・・・)
収録曲を1曲も試聴する機会がなかったので、聴く前までは期待と不安が半々だったのですが、
聴いてみましたら、これが素晴らしい作品でした。


まず1曲目の、エコーがかかった歌声が印象的で、どこか神秘的な世界が広がった曲
「Memory of Soul」で一気に引き込まれました。
そして「Dear My Friend」「約束の場所で」この3曲目までの流れは本当に素晴らしいです。
やっぱり、曲もさることながら、声がいいです。聴けば聴くほどジンワリといいなぁと思います。


そして、何より今作は、本来のピアノ弾き語り系という枠には収まらないぐらいの、
多彩でなおかつ魅力的な曲の数々が収録されているのが、すごく良かったです。
サウンドについては、ラテン風味の「メロスのように」、ブラスバンドが活躍する「Shadow」、
曲中にガラスの割れる音が入る、ダークテイストな曲「ミカヅキ」など、
さらに歌詞についても、童話のような世界観が印象的な曲「CHOCOLATE」、
より子さん自身の日常をコミカルに描いた「働く!より子ブギ」など、
とにかく今作は多彩で、しかしそれでいて、アルバムタイトルの「記憶」というテーマで
統一されたコンセプトアルバムのような作品になっているのがすごいです。


「ココロの鍵」がズバ抜けて素晴らしくてそれ以外の曲は全体的には微妙な印象だった
前作よりも、今作の方がアルバム全体としてははるかに好きです。
つくづく、なんでもっと世間的に評価されないのか不思議です。
それどころか歌姫好きの間でも、私の巡回ブログなどにおいてあまり名前を見かけないのはなぜなのか・・・



2009年4月27日月曜日

[CDレビュー]  北出菜奈「Bondage」


北出菜奈「 Bondage」
 (2009/3/11) 

1. 解放 
2. ファムファタール 
3. 月華-tsukihana- 
4. アントワネットブルー 
5. DEATH SHOWCASE
6. エーテル 
7. Under Babydoll 
8. Lamia ~VIVACE Ver.~ 
9. PUNK&BABYs  
10. She Bop ~Bondage Ver.~ 
11. SUICIDES LOVE STORY  
12. My Dear Maria.
お気に入り度:★★★★★★★★★★ (10/10)





北出菜奈さんの3rdアルバム。ゴスロリクイーンとして一部では有名な歌手で、
ここ最近はロック色の強い曲を歌っている印象でしたが、アルバムを聴くのは実は今回が初めてでした。
ちなみに、今回このアルバムを聴くきっかけとなったのは、
友達がカラオケで「月華-tsukihana-」という曲を歌ってるのを聴いて、これは良い!と思ったからです。


で、聴いてみたんですが、これがもう・・・ 
1曲目の「解放」の時点から、度肝を抜かれました。


ギターサウンドをバックに、ひたすらブツブツとつぶやき続け、そして、
「抱いてーーっ!」「そのままーーっ」「アーーンギャーーーーーッ!」 と叫ぶ! あえぐ! 
もうなんていうか、こんな曲聴いたことがない! すさまじい!


そして2曲目は、ゆったり、ジワジワとくるような感じのロックサウンドにのった、
力強くも、どこか妖しげな歌唱が・・・ これがまた素晴らしい。
間奏では「ハァ・・ハァ」と息をあらげ・・・
そしてラストでは「アーーーーーーーッ!!」 絶叫! またしても叫ぶ! あえぐ! 


とにかくこのアルバムは、全編通して、叫ぶ、吠える、あえぐ、悶える・・・
特に、シングル曲よりもアルバム曲がすごいです。
5・10曲目なんてまさに異様なテンション。狂気すら感じる。
全体を通して、ダークなテイストが入ってるのもまたいいですね。
ハードロックを、ゴスロリクイーンが歌うとこうなるのか・・・って感じです。
(といっても私は、ゴスロリってのがどういう意味かすら完全には分かってないんですが)


しかしその一方で、シングル曲である3・4・9・11曲目も、これがまたすごく質が高い。
シングル曲に関しては叫び声は割と抑えめで、キャッチーに作られている感じです。
その中でも特に、タイトル通りといっていい痛快なパンクナンバー「PUNK&BABYs」は最高!
「♪負けないでベイビー 負けって認めたりしないで」
「♪いこうぜ逆境へダイブして」 
って歌詞に、聴いてて元気をもらいます。


あと、ハードな曲だけでなく、4・6・8曲目といったバラード曲も質が高いのが素晴らしい。
まさに捨て曲が1曲もないアルバムです。
ここまで全曲が文句無しに素晴らしいアルバムってのは、1年に1度あるかないかレベルですね。最近ではハイカラの「参」以来か?


いやもう、本当たまらん・・・ たまらんとしか言いようがないっす・・・


ただこのアルバム、絶対に万人ウケはしないでしょう。
残念ながら、今の音楽シーンでは、これが売れる姿は想像がつかないです。 
個人的には100点満点なんですが、人によっては1曲目の時点でドン引きするかもしれませんし・・・
でも、この熱唱、絶叫っぷりは本当にすごいので、
そういう感じの音楽が好きな人は、ぜひ聴いてみることをおすすめします。
あと、あえぎ声が好きな人もぜひ聴いてみることをおすすめします。
このブログを見ている人にも、きっとそういう人はいるでしょう!


2009年2月15日日曜日

[CDレビュー]  榎本くるみ「NOTEBOOK II~冒険ノート中~」


榎本くるみ「 NOTEBOOK2~冒険ノート中~」
(2009/1/21) 

1. note 
2. リアル 
3. 冒険彗星 
4. エメラルド
5. EPISODE I 
6. 未来記念日 
7. 朝顔 
8. サンタさんはいないんです。 
9. ファントム 
10. 夕陽が丘 
11. イエスタデイズ~大切な贈りもの~
12. 昨日の未来
13. みんな元気
14. 雨降り小僧 
15. ぼくのうた 
16. book 
17. CURE
お気に入り度:★★★★★★★★★★ (10/10)





「冒険彗星」のヒットで注目を集めた、榎本くるみさんの2ndアルバム。
私がこの歌手を知ったきっかけは、いつもお世話になっているブログ
「Japanese Music~現在・そして未来へ~ 」での楽曲レビューにて
「イエスタデイズ~大切な贈りもの~」という曲が絶賛されていたのがきっかけで知りました。
この曲で彼女のことを知ったこともあってか、当初は「冒険彗星」のような曲は
いわば異色で、ピアノバラード系の曲がメインの歌手かと思ってました。

しかしアルバム曲を全曲聴いてみると、まず曲の振り幅の広さに驚かされました。
バンドサウンドの曲が意外と多く、その中でも10曲目の「夕陽が丘」は
文字通り、バックに夕陽の美しい光景が浮かんでくるかのような
輝きと力強さを感じるバンド曲で、個人的には一番ハマりました。
さらには、ダークさ全開のハードロックナンバー「ファントム」のような曲もあれば、
軽快でポップなナンバー「エメラルド」「昨日の未来」のような曲や、
優しさ溢れる歌声が印象的なミディアムナンバー「未来記念日」のような曲もある。
そして、NHKみんなのうたで使われてもおかしくなさそうな、
懐かしさとスケール感を感じる「雨降り小僧」「ぼくのうた」は
後半の曲の中でも特に良いと思いました。

これだけいろんな曲を歌っていて、しかもインスト2曲を除いた実質15曲も入っていて、
(ちなみに、当ブログでは曲数が多いことを理由に減点するなんてことはしません)
それでいて、作品にビシっと統一感を感じるのは、すごいです。
これはやはり、この独特の魅力のある声という名のもとに
アルバムとして1本の筋が通っているからだと思います。
力強い声でありながらも、同時に聴けば聴くほどじんわりと癒されるような声でもある。
そしてこのアルバム全体を通して聴くと、作品の中で激しさと優しさ、ダークさと明るさが
絶妙に融合していることが感じられ、これには素晴らしいと感じるばかり。
早くも、2009年を代表する名盤が誕生したと思います。
これはもっと評価されるべき!