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2019年12月31日火曜日

2019年 私的名盤フルアルバムランキング

(前記事・ミニアルバム編はこちら)

それではあらためて、2019年版・私的名盤フルアルバムランキングを発表したいと思います。
今年聴いた作品はこちらのCDアルバム視聴リストの方にも掲載されている全54作。
その中からベスト盤・カバー盤・企画盤を除いた、フルアルバムの計28作品から
ベスト10を発表します。ちなみに昨年の結果はこちらでした。ではいってみましょう。

2019年 私的名盤ミニアルバムランキング

恒例となりました、2019年版・私的名盤アルバムランキングを発表したいと思います。
今年聴いた作品はこちらのCDアルバム視聴リストの方にも掲載されている全54作。
その中からベスト盤・カバー盤・企画盤を除いた、オリジナルアルバム作品より
ベスト20を発表するのが例年でしたが、今年は発表のやり方を変えます。
ちなみに昨年の結果はこちらでした。

2019年にたくさんの音楽を聴いてきた中で、最大の特徴として真っ先に挙げたいのは
こんなにもミニアルバムをたくさん聴いた年は今までなかった。
比べてみると2018年は計7作品だったのに対して、2019年は計22作品。
なぜこんなにも増えたのか。その最大の理由は、
インティーズのガールズシーンで頑張っているバンドの沼にハマったから。
これらのバンドがリリースするCDはミニアルバム形式がとても多かった。
ということで、今年は年間の私的ベストアルバム紹介記事をベスト10形式にした上で
フルアルバムとミニアルバムに分けることにしました。フルアルバムの方が上位だと
思ってくれて結構ですし、ネットの音楽ブログ界の集計人などが見てくれているならば
この次の私的名盤フルアルバムの紹介記事の方で集計をお願いしたいですが、
ガールズ系ブログの本領発揮と言えるのはむしろこの記事の方。ではいってみましょう。

[CDアルバムレビュー]  竹原ピストル「It's My Life」


竹原ピストル「 It's My Life (CD)」
(2019/9/4)

1. おーい!おーい!!  [公式PV]
2. あ。っという間はあるさ
3. ON THE ROAD  [公式PV]
4. It’s my life
5. 狼煙(ver.2)
6. 藍色のハンカチ
7. 隠岐手紙
8. 奥底の歌
9. Gimme the mic !!
10. ひまわりさくまであとすこし
11. ハッピーエンド
お気に入り度:★★★★★★★★★★ (10/10)

2019年12月30日月曜日

[CDアルバムレビュー]  MOROHA「MOROHA IV」


MOROHA「 MOROHA IV(初回限定盤)(DVD付)」
(2019/5/29)

1. ストロンガー  [公式PV]
2. 上京タワー  [公式PV]
3. 遠郷タワー  [公式PV]
4. 米
5. 拝啓、MCアフロ様  [公式PV]
6. スタミナ太郎
7. 夜に数えて
8. いくつものいつもの
9. うぬぼれ
10. 五文銭  [公式PV]
お気に入り度:★★★★★★★★★ (9/10)



MOROHAの通算4枚目のオリジナルアルバムにしてメジャー1stアルバム。
若手トップクラスに魂のこもった歌を聴かせる男性ボーカリストである
MCアフロ様(なお髪型は坊主頭)と、アコギ担当のUKさんによる2人組ユニットの作品。
アコギ弾き語り形式によるポエトリーリーディングという独自のスタイルは
今作でも健在。そもそも今作も収録曲のタイトルの「スタミナ太郎」を見た時点から
確実にハマるだろうなと思ったのは自分が食欲旺盛リスナーだからでしょうね。
その予想したものとは一部違う所もあったが、確実にハマるというのは当たりでした。

まず1曲目「ストロンガー」の序盤の歌詞のメッセージからしていきなり感動した。
怒りや痛みや屈辱や葛藤などといったものをエネルギーに変えて歌われる、
強くなりたいというメッセージ。そうなんだこれこそが音楽の持つ力だ。
音楽に求めるものは人それぞれであり、例えば心地よさだと答える人もいていいと思うが、
自分が音楽に求めているものは迫力、そして生きるためのエネルギーだ。
MOROHAの音楽はそういう者たちにとりわけ響くエネルギッシュな音楽。
苦しい時も頑張ろうと思えて、弱い自分を変えることだってできる音楽だ。

そして2曲目「上京タワー」は個人的にMOROHAを知ったきっかけとなった曲であり
今までに無かったような衝撃を受けた曲。こんなにもシンプルな弾き語り系楽曲なのに
なぜこんなにも躍動感に満ち溢れているのか。それでいて歌詞も人間味に溢れている。
「♪ふるさとの悪口で盛り上がるその瞬間 本当は包まれてる」
この終盤の歌詞は特に、自分みたいな根っからの田舎者には共感しまくりだ・・・
自分の住んでる所なんてまともな音楽フェスも無いし見やすいライブハウスすら無い所だが
MOROHAのお2人がそのライブハウスに来てくれたことがあるというのは嬉しかったので
また来て欲しいしその時は近くの世界遺産にも寄って鹿さんのぬくもりに包まれて下さい。
今回あらためてこの傑作曲を再録してくれて良かった。そのきっかけとなったのが
上京タワーの続編的な新曲である3曲目の「遠郷タワー」。サビで何度も噛みしめるように
「♪ふるさとを捨てて良かった と言えるようにならなくちゃ」と歌うところは
本当はふるさとが恋しくてたまらないんだという思いが伝わってくるしまたしても共感。

4曲目「米」は予想ではいっぱい米食って大きくなろうぜと歌う曲かと思いきや全然違った。
自身の経済的に苦しい姿を歌った曲で、米とは生きるために必要な食べ物。
これぞまさに生きるためのエネルギーを歌った曲だとも感じられる楽曲であり
やっぱり苦労してきた人たちの音楽は心に刺さる。

5曲目「拝啓、MCアフロ様」は母親からの手紙を歌にした曲で優しい一面が表れている。
6曲目「スタミナ太郎」は予想ではいっぱい米食って筋トレしようぜと歌う曲かと思いきや
全然違った。自身の高校生の頃を歌った曲であり、若き衝動(性的衝動を含む)を
こんなにもぶちまけるなんて恥ずかしくないのだろうかとも思ってしまう曲だった。
だがそれでも、例え他人からどう思われようが、なりふり構わずでっかい声で歌う。
こういう青春時代って素敵だなとも思ってしまうのは、自分の10代の頃がそれとは
あまりにもかけ離れていたからなのか・・・ 「♪誰とも違う奴になる」と
言った通りに現在は誰とも違う音楽をやっているわけだから有言実行ですよね。

7曲目「夜に数えて」は羊の数を数える姿を歌った歌詞がうまいなぁと思ったと同時に、
時には眠れなくなるほど必死に生きているんだという熱い思いが伝わる曲。
曲の終盤で自分を責める気持ちを歌うところにも思わず感情移入してしまう。
そんな聴き手に向けての慰めの言葉が、
「♪バカにされても見下されても お前は手を抜かなかったじゃないか」
これには泣かせてくれるなぁ。自分なんて見下されっぱなしの人生だったから尚更響く。

8曲目「いくつものいつもの」9曲目「うぬぼれ」ではしんみりとしたバラード曲を
連続で歌う。これまでの曲を聴いていると子供の頃から苦労を重ねてきた半面、
実家の父さんや母さんやおじいさんなどの家族愛には恵まれていたんだなということが
分かるしその大切さがしみる。だからこそ人間愛を歌えるんだなと。

そして10曲目「五文銭」は収録時間約8分の大作。まず曲の序盤では2017年の大晦日の
紅白歌合戦について歌う。「♪土手っ腹にはピストル」って竹原ピストルのことだな?
同じアコギ弾き語り系アーティストとして先を越されて悔しい気持ちが伝わってくるが、
竹原ピストルが紅白出場歌手になれたならば、MOROHAだって十分なれる可能性がある!
曲の後半でメロディの展開が変わるところもこの楽曲ならではの面白さを感じたし
最初聞いた時は長いかなとも思ったけど、こんなにも歌いたいことがたくさんあるという
必死な思いが伝わるから、ならば2度3度と聴いてみたくなる曲でしたね。

当ブログ的に音楽で重視する4つの要素といえば、まず第一に編曲であり、
その次にメロディ、ボーカル、歌詞という順番であるのだが、
ここまでボーカルと歌詞の2つの圧倒的魅力のみで聴き続けているアーティストは
他に思いつかない。個人的にはサビ部分でメロディアスな歌メロを入れた楽曲だったり
アコギ以外の数多くの楽器を取り入れて編曲した楽曲が半分ぐらいあっても
全然良いと思ってるのだが、今作でもそういったことは一切やらずに愚直なまでに
アコギとラップ歌唱のみで勝負という自分達のスタイルを貫いているところには
信念を感じられる。そもそもエレキギターのギターソロがこう来てストリングスがこう来て
電子音がこう入る編曲が最高だとかそんなことばかり書いている当ブログが取り上げる
アーティストとしては異質にも程がある。だが異質でも好きになることがある。
これこそが音楽が持つ面白さであり、音楽が持つ無限の可能性だと思う。
そしてやっぱりジャンルなんてのは関係無く、魂のこもった音楽こそが素晴らしいんだと、
MOROHAの曲を聴けばあらためてそう思えた。今作にてめでたくメジャー進出を果たしたが、
どうかこれからもこの調子で自分の色を思う存分に出し続けて欲しい。
それに共感する人がついてくればいいし、きっと多くの人の心に届く可能性のある音楽だ。






2019年12月29日日曜日

[CDアルバムレビュー]  BABYMETAL「METAL GALAXY」


BABYMETAL「METAL GALAXY (初回生産限定盤 - Japan Complete Edition -) [2CD+DVD]」
(2019/10/11)

ディスク:1 
1. FUTURE METAL
2. DA DA DANCE (feat.Tak Matsumoto)  [公式PV]
3. Elevator Girl  [公式PV]
4. Shanti Shanti Shanti  [公式PV]
5. Oh! MAJINAI (feat.Joakim Broden)
6. Brand New Day (feat.Tim Henson and Scott LePage)
7. ↑↓←→BBAB
8. Night Night Burn!
ディスク:2 
1. IN THE NAME OF
2. Distortion (feat.Alissa White-Gluz)  [公式PV]
3. PA PA YA!! (feat.F.HERO)  [公式PV]
4. BxMxC
5. Kagerou
6. Starlight  [公式PV]
7. Shine
8. Arkadia
お気に入り度:★★★★★★★★★ (9/10)



BABYMETALの3rdアルバム。今作は前半の曲を中心にワールドミュージックの要素を取り入れ
より世界を巻き込んで自分たちの音楽を響かせるという意思を感じられる作品となっていた。
世界を超えてアルバムタイトル通りに宇宙や銀河にまで響き渡れと言わんばかりだなと
アルバム前半の5曲目までを聴いた時点では思ったし、大傑作になるかと期待したが・・・

まずはオープニング曲となる約2分の半インスト曲「FUTURE METAL」で始まり、
続く2曲目「DA DA DANCE」ではB'zの松本さんとのコラボによるトランスメタルを聴かせ
序盤にしていきなり最高潮。イントロからのギターの速弾きはさすがの一言だし
それに加えてコーラスの「♪フゥー!」もユーロビートっぽくてノリノリで、抜群に華やか。
トランスメタルといえば女性ボーカルがいた頃のBLOOD STAIN CHILDが
これに近い曲をやってたなと思い出した。「Stargazer」は特に大好きな曲だったが
こんなにもキラキラを通り越してギッラギラでバッキバキな曲を
年間ベストソングの上位に挙げるような音楽系ブログは当ブログ以外無さそうと思ってた。
なので世界のベビメタがこんな曲をやってくれたのは嬉しい。やっと認められた気分。

3曲目「Elevator Girl」はダークファンタジーな世界観の広がる曲で
こんな綺麗な声で「♪次は地獄にとまります」ってむしろ面白いし俺的には天国だ。
余談だが当ブログ管理人は子供の頃から夜中に何度も、乗っているエレベーターが
ボタンを押しても止まらなくなるという夢を見てきた。なのでこの曲には人一倍共感する。
4曲目「Shanti Shanti Shanti」はアラビアン風で異国情緒漂うメロディが美しい、
妖艶なメタルソング。シャンティだけに島谷ひとみさんが歌いそうな曲だなとも思った。
5曲目「Oh! MAJINAI」はロシア民謡っぽいメロディが印象的な疾走曲。
ボーカルのSU-METALのピュアな歌声と、男性コーラスのゴリゴリでゴツい歌声が
手を組んで走り抜けるサビはカオスティックで最高に面白かったし、
1stアルバム曲の数々の衝撃を彷彿させるものがあった。
実際これを運動会の二人三脚や借り物競争のBGMで流せば意外と合うんじゃなかろうか。

ここまではとても良かったのだが、続く6曲目「Brand New Day」7曲目「↑↓←→BBAB」
は洋楽ポップスみたい曲でこれって言うほどメタルか?と感じてしまった。
そしてディスク2ではデジロック色強めでカッコいい路線ど真ん中の
2曲目「Distortion」や、お祭りソングの3曲目「PA PA YA!!」は素晴らしかったが、
続く4曲目「BxMxC」はメロディが単調でどうしてしまったんだ!?と思ったほど。
5曲目「Kagerou」は日本の歌謡曲を彷彿させる切ない歌メロが光るミドルバラード曲だが
これも言うほどメタルか?とも感じてしまった。今作全体に言えることは
ギャラクシーなだけあってキラキラとしたキーボードのメロディは印象に残ることが多いが
それに対してギターのメロディにグッとくる場面は少ないなぁとも感じてしまった。
近年ギターソロが世界的に減ってきているといった記事を見た時には危機感を持ったが
その傾向が今作にも表れたのか? バンドの曲でもアニソン系アーティストの曲でも
イントロや間奏でJAM Projectや遠藤正明さんのソロ曲みたいなメタルなギターがあれば
最高だと思うほどのギターソロ大好きリスナーとしてはどうか減らないで欲しい。
だがそれでも最後の最後でやってくれた。8曲目「Arkadia」はイントロのギターからの
曲展開にいきなり圧倒された。無限の広がりを感じさせるメロディックメタル。
サビメロも伸びやかでSU-METALの芯のある歌声も生きているし、これぞ銀河系楽曲だ。

アイドルとメタルの融合というこれまでに誰も成しえなかった発明的な曲が並び
音楽的価値の高さを感じられた1stアルバムの路線を、より進化させたような曲が
多いと感じられた作品。ガールズメタルをより極めた2ndアルバムとはやはり作風が違うが、
どちらかというと前作は他のメタル系ガールズバンドの皆さんもやっているような曲が
多かっただけに、むしろ今作の方がベビメタらしいと言えるのではないだろうか。
世界のベビメタだけにこれからも様々な洋楽の影響を受けながら進化していくのだろうが、
その中でどうかメロディの良さが後退するようなことだけはあって欲しくないなと思う。
なんだかんだ言っても当ブログの歴史上ほぼ唯一といっていい、
無名の時点から注目してブレイクを当てたアーティストなだけに頑張って欲しいですよ。






2019年12月27日金曜日

[CDアルバムレビュー]  水樹奈々「CANNONBALL RUNNING」


水樹奈々「 CANNONBALL RUNNING【初回限定盤CD+2DVD】」
(2019/12/11)

1. Higher Dimension 
2. カルペディエム 
3. Love Fight!
4. DAYBREAKERS
5. Knock U down  [公式PV]
6. BLUE ROSE 
7. Sweet Dealer 
8. WHAT YOU WANT  [公式PV]
9. マーガレット 
10. METANOIA -Aufwachen Form-  [公式PV]
11. glitch
12. NEVER SURRENDER  [公式PV]
13. Light Births Shadow 
14. REBELLION
15. UPSETTER 
16. ALL FOR LOVE
17. FINAL COMMANDER -Aufwachen Form-
お気に入り度:★★★★★★★★★☆ (9.5/10)



水樹奈々の通算13枚目のオリジナルアルバム。
アニソン系アーティストのトップランナーが、アルバムタイトルの通りに
弾丸のように最初から最後までひたすら走り抜ける作品でありながらも、
その景色に合わせて走り方を変えて楽しんでいるかのような余裕と貫録も感じられて
やっぱり格が違うなと思った。それでは全曲レビューにいってみましょう。

まず1曲目「Higher Dimension」は曲名や歌詞から予想したイメージとは全く違う
ジャズ風味の軽快かつおしゃれなポップスで私的名盤紹介さんが好きそう(参照)
サビ終盤のハイトーンボイスはいきなりの貫録モノ。

2曲目「カルペディエム」は速弾きピアノとバイオリンのメロディにイントロから圧倒。
ハイテンポかつ歌詞も詰め込み型でボカロ曲っぽくもある2010年代型音楽で
作曲編曲がElements Gardeメンバーでもこれまでの曲とは一味違うスリリングさ満点。
歌う方も演奏する方も難易度ハイレベルな曲を華麗にやってのける姿はお見事。
どんだけ疾走するんだ。まさに止まったら死んでしまうマグロのような曲だ。
さすがラジオで私マグロなんですと言ってのけただけある(参照)

3曲目「Love Fight!」は奈々様流行進曲。歌詞を見てみるとラブソングにもかかわらず
まるで革命でも起こすかのようなパワーを感じられるのがキャラに合ってる。
4曲目「DAYBREAKERS」はデジタルビートとストリングスを組み合わせたサウンドに
これまたイントロからテンション激上がり。それに加えてビブラートを交えながら
伸びやかな歌唱をたくさん聴かせる場面があるのが最高。奈々様の音楽には華がある。
このようなキラピカドーンとした曲を高評価しまくるブログって他に無いんだろうか?

5曲目「Knock U down」はセクシーな洋楽ポップス風のミドルテンポ曲。
Bメロのアハーンアハーン♪で某女芸人のネタを思い出してしまうのはさておき、
こういう個人的に聴かないFMラジオが好みそうな曲調でも良いと思えるのがミラクル。

6曲目「BLUE ROSE」はしっとりした歌謡曲テイストを感じさせつつも
アッパーで熱情がこもっているお得意路線の曲。
7曲目「Sweet Dealer」はストリングスアレンジを適度に加えつつも
大人の雰囲気を漂わせている楽曲。まるで舞踏会で流れる曲のよう。

8曲目「WHAT YOU WANT」はこちらのシングルレビューで書いた通りの傑作。
近年のアニソン系アーティストの曲はハードロックがむしろ主流だという話は
聞いたことがあるが、その割に音楽系ブログをやってる人達の中においては
こういった曲は過少評価されている気がしてならない。
奈々様ですら聴いてる人は少数派なのかと錯覚しそうになるのはなんでなんだろう。

9曲目「マーガレット」はアコースティックなアレンジで聴かせる系の楽曲だが
サビのメロディが盛り上がりに欠けるような気もする。
10曲目「METANOIA -Aufwachen Form-」はこちらのシングルレビューで書いた通りの
傑作でありシンフォギアの曲ということで今作ではイントロがさらにパワーアップ。

11曲目「glitch」はサビのなんでなんでなんでなんでの弾丸15連射に
耳を撃ち抜かれること確実なダンサブルロックナンバー。
12曲目「NEVER SURRENDER」は今作の流れで聴くと先行シングル曲として
聴いた時以上に良さを感じられた。13曲目「Light Births Shadow」は楽曲歌唱ともに
アニソン歌手ではなく声優歌手寄りのキュートな曲。実際声優歌手なのだが。
しかしこれだけ歌手としての活動歴を重ねても、まるで永遠の17歳であるかのごとく
甘酸っぱい恋の歌を歌えるのはなんでなんでなんでなんだ!?不老不死かと思えてくる。

14曲目「REBELLION」はRPGゲーム主題歌でTHEアニソンって感じの曲で当然お気に入り。
15曲目「UPSETTER」は本人作詞作曲によるライブ感のある応援ソング。
「♪楽しもう?百も承知!明日を掴もう」このサビ終盤は特にライブ映像が目に浮かぶ。
16曲目「ALL FOR LOVE」はこれまでのバラード系の曲の中でも上位クラスに感じられた。
歌詞はシンプルなのにその一言一言に深みを感じられるのは名曲の証拠。

そして17曲目「FINAL COMMANDER -Aufwachen Form-」ではラストナンバーにして
今作最大級の疾走曲が登場するというまさかの展開が待っていた。
ストリングスアレンジもコーラスも歌詞も何もかもが勇壮かつ最高にドラマチックで
シンフォニックメタル好きはとりわけ歓喜間違いなしの悶絶級傑作。

今作もジャンルの壁を飛び越えて、若さ溢れる曲から大人っぽい曲まで
バラエティに富んだ音楽を全17曲、CD収録可能時間の目一杯まで存分に楽しませてくれた。
その中には普段ならば個人的には敬遠してしまうような系統の楽曲だって入っていたが
それでも聴いてみれば良さを感じられるほどに、この歌唱があれば何でも聴けてしまう。
ジャンルだとかファン層がどうだとかいった余計な先入観などは無しに
純粋に音楽を楽しんでいたあの頃を思い出させてくれるかのような歌の数々だった。
過去のシングルレビュー記事でも書いたが「METANOIA」の終盤の
「♪いーのちのーおーとをぉぉおおおおぉーー~~~っ」この浜田麻里様ばりの
超絶ハイトーン&ビブラートには感動したし、これを聴かされた時点で
歌唱は今でも日々進化を続けているんだということがよく分かる。
きっと人知れず相当な努力をしているに違いない。こういう歌手が
アニソン系アーティストのトップランナーになれたのは本当に良かったなと思う。
これぞ理想の女性ボーカリストだ。麻里様は理想を超越してるので奈々様こそがね。






2019年12月20日金曜日

[CDアルバムレビュー]  BAND-MAID「CONQUEROR」


BAND-MAID「 CONQUEROR (初回生産限定盤A)」
(2019/12/11)

1. PAGE
2. glory  [公式PV]
3. Liberal
4. endless Story  [公式PV]
5. Mirage
6. At the drop of a hat
7. Wonderland
8. azure
9. Dilemma
10. Bubble  [公式PV]
11. The Dragon Cries
12. flying high
13. カタルシス
14. Blooming  [公式PV]
15. 輪廻  [公式PV]
お気に入り度:★★★★★★★★★ (9/10)



BAND-MAIDのメジャー4thアルバム。メイドのガールズバンドとして国境や年代を超えて
人気の幅を拡大するとともに、日々実力もつけていっているのが分かる作品。
今作の楽曲も、作詞はくるっぽーでおなじみの小さい鳩の小鳩ミクちゃん(810歳)が
全15曲中14曲を担当。そして作曲は全曲がBAND-MAID名義。

前アルバム「WORLD DOMINATION」(記事はこちら)は
1曲目から10曲目までアッパーチューンで押しまくる作品だったのに対し、
今作ではアルバム前半からほぼ交互にミドルテンポ曲やバラード系の曲を交えてきた。
4曲目「endless Story」では序盤からうおおおおーおーおーと合唱したくなるような
一体感を持ったスタジアムロックナンバーを歌ったり、
5~7曲目では前アルバムの作風とはうって変わって甘く切ないラブソングを
次々と歌ったりと、楽曲の幅に関しては前作以上といえる。
全体的にメロディが洋楽ロックテイストに感じられる曲が多いが、
それがミドルテンポ曲やバラード曲となると平坦な印象に感じる曲もちらほら。
11曲目「The Dragon Cries」に至ってはアメリカの超有名音楽プロデューサーの
トニー・ヴィスコンティさんがプロデュースした全英語詞の楽曲。
これはどう聴いても洋楽ロックにしか聴こえない曲であり、今やこんなコラボが
実現するまでに世界的躍進を遂げたのかと感心させられる半面、
ミドルバラード系の曲といえばシングル「Bubble」のカップリング曲で
今作には収録されていない阿久津健太郎さん作曲の「Smile」って相当良かったのになぁと
思ってしまったのは、やっぱり自分は歌謡曲脳なのか、それとも同じ所属事務所で
同じ作家から楽曲提供を受けていたPASSPO☆の幻影を見たような気がしたからなのだろうか。

ということで個人的には前半よりも後半の楽曲の方がツボにハマりまくった。
やっぱりアッパーチューンの急展開に一気にもってかれるような曲がいい。
9曲目「Dilemma」のBメロのベース、そしてサビ終盤の「♪Let me see it」からの
ギター演奏なんてもうカッコ良過ぎで思わずぽっぽっぽーと声が出てしまうほど興奮したし、
14曲目「Blooming」ではこれまでに無いようなメロコア風のパンキッシュなノリを
交えたのも新鮮だった。そして何よりラストナンバーの「輪廻」の覚醒っぷりときたら
そりゃもう半端ない。イントロや間奏からして圧倒的なまでの重低音を聴かせ、
そしてサビではボーカルのSAIKIさんの切れ味鋭い歌唱と共にメロディの展開も
一気に盛り上がる。今作の中でも最もハードな曲をリード曲としてYouTubeにも
公開してしまうのも最高にガチロックでぽっぽぽっぽー!と叫びたくなるほどでしたよ。

ここに来てハリウッドデビューも決まったり、世界最大級のエージェントである
「United Talent Agency」との契約も決定したりといったビッグニュースも
次々と舞い込んできたのには驚かされた。ほんのつい最近までは
所属事務所のプラチナムプロダクションはBAND-MAIDこそ事務所総出で売り出すべきだと
思っていたところだったのに、もはやそんな次元をも超えてしまった。
もしかすると間近な距離からお給仕(ライブ)を楽しめるのは今だけなのかもしれない。
行くなら今のうち。なので12月22日には京都で開催されるお給仕に行ってくるっぽーと
いうことで楽しみにしてます。お給仕を体験してこそアルバムも一層良さを感じられるはず。








2019年12月14日土曜日

[ライブレポ]  EXiNA LiVE 2019 “XiX GiG”

12月8日(日曜日)大阪・ESAKA MUSEにて開催された
EXiNAの1stワンマンライブ「EXiNA LiVE 2019 “XiX GiG”」に行ってきました。
西沢幸奏さんのライブを体験するのは、個人的にはぜひ復活を希望したい
伝説のガールズロックフェス「DRAGON GIRLS CARNIVAL」(レポはこちら)
以来2年ぶり3回目で、ワンマンに行くのはそもそも初めて。
今年に入ってソロプロジェクトの「EXiNA」が始動、そして8月にリリースされた
新作ミニアルバムを聴いた結果(レビューはこちら)行こうと決めました。
最近はアニソン現場にあまり行けてないだけにそろそろまた行きたいと思ってたのに加えて、
本人公式ツイッターによるとヘドバンも思う存分にできる現場だとは一石二鳥にも程がある。

そして会場入りするも、観客の数が思ったより少ないではないか・・・なぜだと思いきや、
そもそもアニソン現場といえばこの日は京都で大型アニソンフェスの
「京Premium Live 2019」も開催される日だったことに今更気付いてしまった。
そちらの方は後半の出演者がASCA→鈴木このみ→藍井エイル→TRUEって最強じゃないか。
後半だけ行きたかった。なぜよりにもよってこの日に大阪ワンマンをやってしまったんだ。
それでもアーティストをより間近な距離から観られるのはこちらのライブハウスの方だ。

2019年12月9日月曜日

[CDアルバムレビュー]  鈴木このみ「Shake Up!」

鈴木このみ 4thアルバム 「Shake Up!」【初回限定盤】」
(2019/11/6)

1. シアワセスパイス  [公式PV]
2. Sparking light
3. Humming Flight!  [公式PV]
4. 真理の鏡、剣乃ように  [公式PV]
5. ANOTHER REAL
6. アルカテイル
7. p.u.p.a.
8. Relight
9. MOTHER
10. 歌えばそこに君がいるから  [公式PV]
11. My Days
12. 蒼の彼方  [公式PV]
13. あなたが笑えば
お気に入り度:★★★★★★★★☆ (8.5/10)

2019年12月4日水曜日

[CDアルバムレビュー]  虎の子ラミー「激動するヒューマニズム」


虎の子ラミー「 激動するヒューマニズム」
(2019/10/2)

1. THE END
2. めっちゃ元気  [公式PV]
3. 君はイルカ 
4. 桜を見て君を想う
5. ドブネズミ 
6. 音楽  
7. {Secret Track}  
お気に入り度:★★★★★★★★ (8/10)



虎の子ラミーの通算4枚目のミニアルバム。「立体型サファリロックバンド」を名乗る
3人組ガールズバンドの作品。今年の9月に開催されたちょこロックフェスにて
初めて体験したライブは(レポはこちら)ボーカルのマザー・ヤナギさんを中心とした
ライブパフォーマンスの面白さが全開。キャッチコピー通りに良い意味で
何が飛び出すか分からないサファリパークのようで一躍ハマったのは記憶に新しい。
なお上記のレポにはありがたいことに、ヤナギさん本人からも反響を頂きました(参照)
中学生の頃にして周りからM-1グランプリでの優勝を期待されていた
女芸人もとい女性ボーカリストがいるバンドなだけあって、
このCDアルバムの方も良い意味で笑ってしまうほどの作品でしたよ。

まず1曲目「THE END」からヤナギさんの持ち前の歌唱力を存分に生かしたド派手な曲が炸裂。
デジロック系のサウンドにのせて「♪私は死にました」と歌うサビはシリアスでありながらも
悲壮感はそれほど感じさせず、むしろ清々しいとすら思えるのはその豪快な歌いっぷりが
聴いていて気持ちいいから。一度死んだものが生まれ変わるという希望すら感じる。
そして2曲目「めっちゃ元気」では生まれ変わって元気百倍。前曲とのギャップあり過ぎ。
だがこういった歌詞の方がヤナギさんのキャラにはピッタリハマってる。
「♪めっちゃ元気めちゃめちゃ元気」というフレーズは一度聴いただけで
耳から離れないほどなのに、さらに良いサビメロが後の方にあるというのだから
あらためて以前の曲と比べても歌メロが良くなったなと思う。
3曲目「君はイルカ」はロマンチックなラブソングでありながらも、中盤の間奏部分で
一気にメタリックな演奏が加わったりと急展開をみせるのがまるでサファリパークのよう。
4曲目「桜を見て君を想う」では失恋を歌ったバラード曲をヤナギさんが猛獣のごとく熱唱。
こんだけやるせない感情をぶつけてたのに終盤では「♪本当はタイプじゃないはずなのに」
って今更何言ってるんだとツッコミたくなったが、そういう恋もあるということだろう。
5曲目「ドブネズミ」は歌謡ロックテイストの曲ながらも中盤以降がカオスティック。
ピアノ早弾きはまるで筋肉少女帯みたいでダミ声がかった歌唱も含めてそりゃ好きになる。
6曲目「音楽」はサビの「♪鳴らせーーー!!」の伸びやかさと豪快さに加えて
「♪自由を 叫べーー!!」このハイトーンボイスが聴いていて気持ち良過ぎ。
今作の中でも最もキャッチーなメロディにのせて、音楽の素晴らしさを存分に歌う。
そうだ音楽は自由だからこそ最高だ。ヤナギさんは女芸人でも成功できた可能性があるけど
やっぱりバンドのボーカルで良かったなとあらためてこの曲を聴いて思った。
7曲目にはシークレットトラックを収録。「激動戦隊ジャンケンジャー」と歌ってる?
約1分半の曲で1コーラスのみで終わってしまったのが惜しく感じたほどの曲だった。
4分ぐらいは聴きたかった。ところでこの曲はiTunesで再生すると
曲名が「Secret Trak」と出てしまうのだが、正しくはSecret Trackですよね?

このバンドのアルバム作品を聴くのは2015年リリースの2ndミニアルバム
「あくまでも、愛故の衝動」を聴いて以来だったが、その頃よりもメロディの訴求力が
大きく上がり、成長を遂げたのがよく分かる作品となっていた。キャッチーな歌メロが
軸にあるからこそ、時にぶっ飛んだ展開を見せる楽器隊の演奏もより面白く感じられる。
そしてボーカルのマザー・ヤナギさんは近年の若手ガールズロックボーカリストの中でも
トップクラスの歌唱力の持ち主だと実感。その声量と表現力は頼もしく感じるほどで
これぞガールズバンド界の肝っ玉母さん。毎日骨太や健康家族が似合う歌手だ。
次はフルアルバムを期待したくなるし、次作でメジャーデビューとなっても全く驚かない。
むしろそうなるべきだと思えてくるほどの所まで来ている。
しかもライブも抜群に面白いというならば尚更。またライブにも行きたいですね。