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2019年12月31日火曜日

[CDアルバムレビュー]  竹原ピストル「It's My Life」


竹原ピストル「 It's My Life (CD)」
(2019/9/4)

1. おーい!おーい!!  [公式PV]
2. あ。っという間はあるさ
3. ON THE ROAD  [公式PV]
4. It’s my life
5. 狼煙(ver.2)
6. 藍色のハンカチ
7. 隠岐手紙
8. 奥底の歌
9. Gimme the mic !!
10. ひまわりさくまであとすこし
11. ハッピーエンド
お気に入り度:★★★★★★★★★★ (10/10)



竹原ピストルのメジャー通算5枚目のフルアルバム。
2017年には紅白歌合戦にも出場するなどして見事ブレイクを果たしたが、
その後にリリースされた前アルバムは、やっぱりそれにどこか満足してしまったからなのか、
それとも所属事務所のオフィスオーガスタに染まってしまったのか、
ずいぶん穏やかで大人しい作風になったなぁと思えて個人的には満足いく内容ではなかった。
しかし今作はそれとは違う。1曲目からして完全復活だと思えた作品だった。

まず1曲目「おーい!おーい!!」は自分探しの歌。「♪確かにぼくはここにいるけれど 
確かなぼくはどこにいるんだろ」この最初の歌詞からして心を掴まれた。
そんなどこにいて何がしたいのか分からないような自分を深く探すがあまりに
「♪うおおおおおーーーーっい」と呼びかけるその圧倒的な歌声に感動。
これぞ魂の雄叫び。これには俺もうおおおおおーーーーっいとなった。
当ブログで今年の最優秀男性ボーカリスト賞をあげたい楽曲を選ぶならばこの曲か、
もしくは大友康平さんの「いすゞのトラック」かどっちかだなと思ったほど。
映画「泣くな赤鬼」の主題歌でそちらの方はこれからDVDで観たいと思ってるが
こんな歌を映画の最後に流されたら泣いてしまうだろ・・・顔も真っ赤になりそう。

2曲目「あ。っという間はあるさ」はCMソングとしてもオンエア中の曲で
カントリーっぽくて軽快で微笑ましい。前作はこういう雰囲気の曲が多かったですね。
3曲目「ON THE ROAD」は重低音の響くバンドサウンドとともに聴かせる
シブいフォークロック。なんて頼もしい歌声そして歌詞なんだ。
「♪君のためならなんでもするさ」だけならばありがちな歌詞で
中には安っぽく聴こえてしまうような歌手もいるが、それに加えて
「♪金のためならなんでもやるさ 但し 金でなんでも買えるなら」
とまで歌ってくれるのだから貫録が違う。現実的ながらもウソじゃないと思える。

4曲目「It’s my life」はアコギ一本での弾き語り楽曲。列車旅で自身のドサ回りを
歌った曲でありながらも、人生という名の旅を続ける多くの人達の心にも響く曲に違いない。
5曲目「狼煙(ver.2)」はAメロから語りを加えながら、歌手としてまだまだ上を
目指すんだという決意表明を歌う。この曲を聴いた時点で完全復活を確信させられた。
6曲目「藍色のハンカチ」はアコギとハーモニカのみの編曲で聴かせる弾き語り曲で
文字通りにハンカチがいるほどに、泣かせにきてるとしか思えない曲だ。

7曲目「隠岐手紙」はアコギとパーカッションのみのシンプルな編曲でありながらも
これほどまでにズシリと重厚感があって抜群にカッコいい曲が他にあっただろうか。
島根県の隠岐の島で作ったと思われる、これぞ流浪の旅人と呼びたくなるような曲で
ダンディさ満点。竹原ピストルこそがヒゲダンだと言いたくなる。
「♪誰かと間違ってねーか?俺がまともなわけねーだろが」このサビが特にたまらん。
実際まともな人生を歩んでない自分のような者には共感度MAXの歌詞だ。
こんなほとんど誰も見てないようなブログを12年もやってる俺がまともなわけねーだろが。

8曲目「奥底の歌」はバンドサウンドで聴かせるバラード曲にしてまたしても傑作。
「♪陽の光を知らぬまま」「♪奥底にのみ朽ち果てる 歌に光を」
これは自分みたいな日陰者にも光をと歌ってくれているかのような曲だ。
言いたいことも言えずに、いつも奥底に感情に閉じ込めて・・・
そんな歌という名の感情にも光をと歌う、その包容力と人間愛に感動。
ちなみに当ブログの音楽系記事は無名で埋もれた名曲に光をというコンセプトで始めたので
こういう歌こそ紹介しておすすめしたいとも思えた。

9曲目「Gimme the mic!!」はラップ調の歌が聴ける曲でこういうのも得意なことが分かる。
10曲目「ひまわりさくまであとすこし」はNHKみんなのうたみたいな曲かと思いきや
実際はACジャパンのCMソングで、歌詞カードも全てひらがなで書かれている癒し系楽曲。
そして11曲目「ハッピーエンド」にして曲名通りの大団円。アルバムの構成的にも完璧。

これだけタイアップ曲が多い中でもよくぞここまでインディーズ時代と同レベルなまでに
自分の色を出せたなと思う。それでいてメロディは前作と同レベルなまでに
メジャー感のある曲が多くて質の高さは最高レベルだという、これまでの総決算的作品。
相変わらず全身全霊で放たれるぶっとい歌声が声質的にも大好きでもあるのだが、
加えてあらためて、歌詞がここではとても書ききれないほどに素晴らしいと感じられた。
前記事のMOROHAもそうだったが、本当は歌詞を年々重視しなくなってる当ブログではなく
歌詞解釈についてのブログ記事をしっかり書ける人がレビューして欲しいと思うほど。
実直で変にひねくれてなくて誰でも分かりそうな内容でありながらもカッコ良さ抜群で、
それでいて他にこんなこと描ける人は滅多にいないレベルのフレーズが次々と出てくるのは
中島みゆきさんに並ぶレベルの詩人だと思う。そんな歌詞のメッセージの数々を
魂を震わすほどの歌声にて自ら聴かせる。こういうミュージシャンこそが
天才と呼ばれてしかるべきだと思うんですけどね。文句無しの最高傑作!







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