ブログトップ


2015年12月20日日曜日

[CDレビュー]  THE冠「鎧兜鎖血」


THE冠「 鎧兜鎖血」
(2015/9/9)

1. 鎧兜鎖血
2. ビキニライン
3. 断裂
4. WW3
5. 野垂れ死んだら許さない
6. 初志冠徹
7. 初志冠徹 (THE GAME SHOP REMIX)
お気に入り度:★★★★★★★★☆ (8.5/10)




THE冠のミニアルバム。ヘビーメタルに市民権をと訴え、苦節20年以上にわたって
活動してきたアーティストの作品。現在のソロプロジェクトとなってからは、
今作はとりわけメロディの平均点が高い作品になったのでは。

以前までの曲は、サビが来たかと思えばメロディレスなシャウトだけで
終わるといった曲もあったのに対し、今作はどの曲もサビメロにキャッチーさがある。
盟友であるマシンガンズとは、もはや楽曲の質まで逆転したのかと思ったほど。
ボーカルの生歌に関しては以前からTHE冠の方に分がありましたが・・・
さらには歌詞に関しても、時にユーモアを交えて面白く、
時にカッコ良く決めるあたりに冠さんならではの人間味と魅力を感じる。
より多くの人に親しみを持ってもらおうという意思が伝わってくる。

まず今作のリードトラックである1曲目「鎧兜鎖血」は力強い歌詞と歌唱に励まされる
正統派メタルチューン。間奏部分では一転レゲエ調になり、ママごめんなさいという
メッセージなども入ってくる。冠さんはオカンから「あんたいつまでヘビメタやってるの?」
と言われているらしいですからね。親孝行できるほどのヒット曲が早く出て欲しいです。

2曲目「ビキニライン」は規制や周りの目に縛られて言いたいことも言えない今の世の中を
ビキニの締めつけに例えた比喩表現のうまさが光る。
ただこういった歌詞の曲を冠さんが歌うと、例によってライブでパツンパツンのパンツを着て
お尻を半分出して歌っている姿の方が目に浮かんでしまうが(汗)それを差し置いても名曲。

3曲目「断裂」はAメロから疾走感溢れる、王道の戦闘系メタルナンバーかと思いきや
運動会の父兄対抗リレーの歌だったのか! 曲名もこういうオチに使われるとは。

4曲目「WW3」は一転してズシリと重い雰囲気が漂うミドルテンポ曲。
歌詞には反戦平和への願いが込められている。社会風刺系の曲といえば前アルバム曲の
「糞野郎」では小学生の頃にお漏らししたなどといったコミカルな比喩表現も入れていたが
この曲ではそういった歌詞もなく、終始真面目なことに逆に驚いてしまった。

5曲目「野垂れ死んだら許さない」はウルフルズの借金大王を彷彿させるかのような曲。
サビメロも良いが、Bメロ部分のノリがダンサブルで聴いていて楽しい。

6曲目「初志冠徹」は、「♪ほないこかー!」という圧巻のシャウトで幕を開け、
Aメロではラップ風歌唱を交え、サビはメロディアスに聴かせるというTHE冠らしい曲。
歌詞からもガムシャラさが伝わってくるのが良い。「その憎しみを 笑いに変えるまで」
このフレーズがこれほどまでに似合っている歌手が他にいるだろうか。
ボーナストラックとして7曲目に収録された「初志冠徹 (THE GAME SHOP REMIX) 」は
デジロック系のアレンジに加えてボーカルにもエフェクトをかけたりと
ラスベガスっぽい感じの曲になっており、これもまた新たな試みといえる。

先日はNHKのMUSIC JAPANにも出演。これまでもDMCの曲を歌ったり、
島田紳助さんの番組に出演したりと、注目されるチャンスは何度かあったのに
ブレイクしそうでしきれない感があるのは本当に惜しい。
歌唱力に関しては日本屈指の男性ボーカリストといってもいいだけに何とか躍進して欲しい。
NHKに出た時に「MJではヘビーメタルを応援します」とまで言ってもらえたのであれば、
次は何かの間違いで紅白歌合戦に出たりしないだろうか?さすがに間違え過ぎか・・・







0 件のコメント: