天野月子「 ZERO [リマスター版]」 (2014/10/1) 1. ZERO 2. SPY 3. Primal Scream 4. Howling 5. HANDS 6. 糸電話 7. HEAVEN’S GATE 8. KITCHEN 9. Polar Bear 10. Hello 11. Jam Tomorrow 12. ゼロの調律 (Bonus track) 13. NOISE (Bonus track) お気に入り度:★★★★★★★★ (8/10) 2008年にリリースされた、天野月子の5thオリジナルアルバム。 前作までとは違いインディーズからのリリースとなったこともあってか、 長らく入手困難となっていた作品でしたが、この2014年にリマスターされ、 ボーナストラック2曲を追加した上で、めでたく再リリースされることとなりました。 まず1曲目「ZERO」は先行シングル曲「ゼロの調律」の英詞バージョン。 シンフォニックロック調のサウンドにのせて、圧倒的なまでの深い愛情を歌う。 これぞつっこさんの真骨頂といえるラブソングでしょう。素晴らしいの一言です。 2曲目「SPY」は前曲以上に勢いが加速したロックナンバー。 「♪空砲を奏でてるソルジャー」というサビの歌詞は耳に残るものがある。 1stアルバム収録曲の「スナイパー」もそうでしたが、彼女には狙い撃ち系の曲が似合っている。 3曲目「Primal Scream」は重厚感のあるミドルテンポの全英詞ロック。 今作は全英詞の曲が多いというのが大きな特徴です。 4曲目「Howling」はシングルにもなったバラード曲ですが個人的にはあまり印象に残らず。 5曲目「HANDS」はサビのコーラスワークが美しい。幻想的な雰囲気が漂うバラード曲。 6曲目「糸電話」はピアノバラード。良い曲なのですがバラード系が3曲も続くのは・・・ 7曲目「HEAVEN’S GATE」で久々のアッパーチューンが登場。 今作の中で唯一ラブソングではない曲で、歌詞はかなり難解ながらも、 考えるな感じろといわんばかりのスケール感がある。デジロック調の編曲も、 今までの曲にはほとんど無かっただけに斬新。文字通り新たなゲートを開いた曲といえます。 アルバム後半は、8曲目「KITCHEN」はポップ感のある洋楽風ロックナンバーで 9曲目「Polar Bear」はメルヘンチックな全英詞バラード、 さらに10曲目「Hello」もバラード、11曲目「Jam Tomorrow」は全英詞の アコースティック系ポップスといったように、どの曲も大人しい印象。 作風もさることながら、それ以上に歌メロの良さという点で、 これまでにリリースした数々の名曲と比べると見劣りする気がしたのが惜しい。 しかし今作のリマスター版は、最終曲にボーナストラックとして 「NOISE」が収録されたというだけで、大きな価値がありました。 この曲は天野月子名義の曲としては最後となった曲で、 終わりゆく愛を、哀愁込めて力強くも美しく歌い上げたロックバラード。 メロディの良さ、サビで一気に胸に迫りくるような歌唱と編曲、どれをとっても最高。 この大傑作をもって「天野月子」は終わりを告げた。それだけに思い入れのある曲でした。 今までCD入手困難となっていた、あの幻の名曲がついに復活してくれたんだなと・・・ 今作は1st~4thアルバムまでとは明らかに雰囲気が違う作品で、 天野月という名前になる前のこの時点から、作風が徐々に穏やかになっていくのが 手に取るように分かる作品でした。「ゼロの調律」のような迫力満点のロックナンバーこそが 彼女の真骨頂だと思っていた私のような者にとっては、物足りなさも感じたアルバムでしたが、 それでもボーナストラックの「NOISE」だけでこのCDを買った価値があると思いました。
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2014年11月4日火曜日
[CDレビュー] 天野月子「ZERO [リマスター版]」
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