筋肉少女帯「 THE SHOW MUST GO ON【初回生産限定盤】」 (2014/10/8) 1. オーディエンス・イズ・ゴッド 2. 労働讃歌 3. ゾロ目 4. 霊媒少女キャリー 5. ムツオさん 6. みんなの歌 7. 月に一度の天使 (前編) 8. 愛の讃歌 9. 月に一度の天使 (後編) 10. 恋の蜜蜂飛行 11. 吉原炎上 12. 気もそぞろ 13. ニルヴァナ お気に入り度:★★★★★★★★★ (9/10) 筋肉少女帯の通算17枚目のオリジナルアルバム。 前作より4年ぶりのリリース。まさに待望のニューアルバムとなりました。 まず1曲目「オーディエンス・イズ・ゴッド」は、 ブラスバンドサウンドにのせて、ロックバンドのライブに懸ける思いを歌った曲。 1曲目からバンドとしての気合が伝わってくるのが良い。オープニングにふさわしい曲です。 2曲目「労働讃歌」はももクロに提供した曲のセルフカバー。 原曲同様に賑やかさを感じられるカバーになっているのは良いですが、 しかしサビの「♪働こう働こう」というフレーズはももクロには合っているものの、 私のようなダメ人間の味方であるはずの彼らの曲としてはどうかと・・・ むしろ「働きたくないよ~」などと歌う方が似合ってるのではと思ってしまいました。 3曲目「ゾロ目」は、ゾロ目を出すと過去に戻れるサイコロを手に入れた人が主人公の物語を、 疾走感溢れるメタルサウンドにのせて歌う。これぞ筋少らしさが存分に出た名曲。 4曲目「霊媒少女キャリー」はミドルテンポで重い雰囲気の曲ながらも、 前曲以上に凝った物語風の歌詞が見事。 ゲストボーカルには、アーバンギャルドの浜崎容子さんが参加しています。 5曲目「ムツオさん」はテクノポップ要素を加えたバンドサウンドが斬新。 一見可愛げがある曲に聴こえて、歌詞はブッ飛んでいるのが面白い。 6曲目「みんなの歌」は、あたしのだけのために歌ってと頼む恋人に対し、 お前だけの歌ではなくみんなの歌だと、ひたすら諭す曲。 「自分だけのために歌ってもらえるなんてのは冒涜でゴーマンだ!」 これは素晴らしい! 自分の恋人のために曲を作ってるなどと公言する歌手もいる中で、 それとは対照的なことを堂々と宣言してしまうとは、さすがです。 だが曲の終盤の方では結局折れてしまい「お前だけのために歌ってやるぜ」 となってしまうのですが(笑)まぁそれも含めて面白いと思います。 7曲目&9曲目「月に一度の天使」ではこれまでの楽曲とは曲調が一転。 優しいアコースティック系の曲で、聴いていてほっこりさせられる。 こういう曲が毎回のようにアルバムに入っているのは彼らの音楽性の幅の広さの証明。 バンドマンの恋を描いた歌詞もどこか微笑ましいです。 8曲目「愛の讃歌」はまさかの洋楽カバー。歌詞は日本語バージョンで歌われています。 「♪あなたの燃える手で あたしを抱きしめて」 これをロックバラード仕立てにしてオーケンが熱唱するというだけで聴き応えがある。 10曲目「恋の蜜蜂飛行」は久々のメタルナンバー。 「♪ブンブンブブブン」というハチの飛ぶ音を表したフレーズは特に印象的。 まるで高速道路を車でブッ飛ばしているかのような疾走感を感じられて好きです。 間奏のギターソロやピアノソロの速弾きっぷりも見事。文句無しの名曲。 11曲目「吉原炎上」は筋少流歌謡ロック。これも歌詞メロディ共に素晴らしい。 一見陰陽座っぽいと思いきや、歌詞に「タンドリーチキン」「マルキ・ド・サド」 などというフレーズが出てくるあたりがオーケンらしくて面白いです。 12曲目「気もそぞろ」はアルバム終盤を飾るポップナンバーですが今作の中では印象が薄いか。 13曲目「ニルヴァナ」はバンギャの姿を宗教チックに描いた歌詞が面白い。 痛快なロックナンバーで、思わずライブに行って一緒に踊りたくなる。 確かにバンギャにとっては、バンドは宗教みたいなものか? それをこんなコミカルな歌にしてしまうという発想力は、素晴らしいの一言です。 今作はまず、3曲目や11曲目に代表されるように、 歌メロに歌謡曲っぽさを感じる曲が多いという特徴を感じました。 個人的にはこういうメロディは好きなので大歓迎です。 歌詞はコミカルなものからシリアスなものまで幅広く、そのどれも天才的なのに加えて、 楽器隊の皆さんの編曲や演奏力も相変わらず素晴らしい。 やはり彼らは日本トップクラスの実力派バンドであることが存分に分かる作品でした。 ぜひこれからも、30年40年と長く活躍し続けて欲しいベテランバンドです。
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2014年11月7日金曜日
[CDレビュー] 筋肉少女帯「THE SHOW MUST GO ON」
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