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2012年8月26日日曜日

[CDレビュー]  爆風スランプ「TENSION」

TENSION」 (1994/3/21) 1. 愛のチャンピオン 2. 渋谷でGO! 3. 美しい手 4. 日本人になれ 5. 恋の終わりはいつも 6. 勝負は時の運だから 7. 世直しロックンロール 8. ネムネムマンボ 9. お婿サンバ 10. 天国レイン お気に入り度:★★★★★★★★★ (9/10) 1994年にリリースされた、爆風スランプのアルバム。 この作品もまた、楽曲の方向性が10曲全部別の方向を向いているかのような作品。 歌詞のテーマも多種多様で、曲調に関してもバラードあり、マンボあり、 サンバありといったように見事なぐらいまでにバラバラです。 まず1曲目にして、永遠の愛を歌った名バラード「愛のチャンピオン」に始まり、 渋谷に集まる若者の姿を歌ったハードロック曲「渋谷でGO!」、 何かと汚いのに手だけは美しい女性に恋をするという、 この歌詞の発想からして素晴らしい「美しい手」、 歌謡曲風のメロディにのせて典型的日本人の姿を歌った「日本人になれ」、 失恋を歌ったバラード曲「恋の終わりはいつも」、 サビの終わりで鳴り響く鐘の音が印象的な応援ソング「勝負は時の運だから」、 社会をブッたぎった歌詞がカッコいい、パッパラー河合ボーカル曲「世直しロックンロール」 まったりとした雰囲気のファンキー末吉ボーカル曲「ネムネムマンボ」 家庭内での男性の地位低下を嘆いた歌詞に共感、ご存知お嫁サンバのパロディ曲 「お婿サンバ」、そして、最後の最後に素晴らしい名曲が誕生、 この荒涼とした大地に雨が降り注ぐ光景が目に浮かぶかのような曲で、 幻想的でスケール感満点の曲「天国レイン」 などといったように、1曲1曲は本当にどれも良い曲ばかり。 だが、アルバムとしてのコンセプトや統一感などといったものは何もない、 ゼロだと言っても過言ではない。でもそれがまた彼らの作品の魅力でした。 しかし3、4、9曲目のような、こんな面白い発想のもとに作られた歌詞というのが なぜ最近のバンドの楽曲にはほとんど無いのだろうかと思う。 今の時代でこのような歌詞の面白さを持った曲というのは、 それこそアニソン系やニコ動系の曲ばかりのような気がする。 「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています」とか、 こういうのを見るたびに、爆風スランプがもし現役なら今でもこんな感じの曲を 作ってたんじゃないかと思う。バンド系のアーティストでもまたこういう曲を 作れる人達が現れればいいのにと。しかもそれに加えて、 1、10曲目のような真剣に心を突き動かされる曲も作れるバンドとなると、 もう2度とこんな偉大なバンドは世に出てくることはないのではないかと・・・ つくづく彼らは90年代の音楽シーンにおいてもっと評価されるべきだったと思います。

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