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2016年1月22日金曜日

[CDレビュー]  竹原ピストル「youth」


竹原ピストル「 youth」
(2015/11/25)

1. youth
2. 全て身に覚えのある痛みだろう?
3. 午前2時 私は今 自画像に描かれた自画像
4. じゅうじか
5. 高円寺
6. へっちゃらさ、ベイビー
7. 月夜をたがやせ
8. よー、そこの若いの
9. ぼくの夢でした
10. 石ころみたいにひとりぼっちで、命の底から駆け抜けるんだ
11. トム・ジョード
お気に入り度:★★★★★★★★★☆ (9.5/10)




竹原ピストルの通算6枚目のフルアルバム。
フォークを基調にしながらも多彩なアプローチで曲を聴かせるという点では前作同様、
さらに今作ではメジャーレーベルにて複数のタイアップをもらったこともあってか
今まで以上にメジャー感のある楽曲も登場、これには新たな幕開けを感じさせられる。

まず1曲目「youth」は学生時代の思い出を振り返りながら、
今こうしてフォークシンガーとして歌えることへの喜びを表した曲。
たとえ何歳になろうが、あの頃の青春時代の輝きは失われてないんだとばかりに
力いっぱい歌う姿には、聴いてる方も心を動かされる。
「こいつのお陰で諦めずにすんでる」 私も同じく何歳になったとしても
夢を諦めずに頑張れる人になりたい、そう思えてくる名曲です。


2曲目「全て身に覚えのある痛みだろう?」は哀愁漂うフォークバンドサウンドと
素朴かつひたむきな歌唱が何ともたまらない。懐かしさを感じられる名曲。

3曲目「午前2時 私は今 自画像に描かれた自画像」は高速ラップ歌唱で押しまくる
フォークロックナンバー。前曲とは一転して荒削りな勢いを感じられるのが良い。

4曲目「じゅうじか」は前バンドの野狐禅時代の楽曲のセルフカバー。
心に沁みるロックバラード。タイトルは十字架と10時かを掛けたという、
いわばダジャレなのだが寒くはないですよ。むしろ自然と耳に入ってくる。

5曲目「高円寺」は語りを多く取り入れながら自身の日常を歌った曲。
三角食いなんていうフレーズが入った曲は他に聴いた記憶が無いですね。
頭に浮かんだことを包み隠さず歌う、フォークシンガーとしての本領が発揮されている。

6曲目「へっちゃらさ、ベイビー」はアコースティックなミドルテンポ曲。
アルバム中盤で見せる優しい一面にホッとさせられる。

7曲目「月夜をたがやせ」は、昨年2月の竹原ピストル(ズ)のライブで聞いた話によると
H Jungle With Tの「WOW WAR TONIGHT」を意識して作った曲とのこと(レポはこちら)
ジャングルというよりはレゲエに近いアレンジで聴かせる曲となったのは意外。
個人的には昨年のライブで聴いたバンドサウンドのアレンジの方が好きだったかなぁ。

8曲目「よー、そこの若いの」はCMソングとしてもオンエアされた今作のリードトラック。
「俺の言うことをきいてくれ」「俺を含め誰の言うことも聞くなよ」
このサビの歌詞だけで素晴らしいと思える。自分らしく生きればいいと、
上から目線の説教で終わらずに寄り添って歌いかけるように励ましてくれる、
最高の応援歌。そんな曲を歌ってくれるあなたを、アニキ!もしくは竹原先輩!と呼びたい。


9曲目「ぼくの夢でした」は6曲目同様ほっこりとさせられるミドルバラード曲。
間奏でストリングスアレンジが加わったのは意外だったが、それも含めて良かったと思う。

10曲目「石ころみたいにひとりぼっちで、命の底から駆け抜けるんだ」は
インディーズ時代の曲のセルフカバー。以前よりもエレキギターを効かせたアレンジで
ラップ調の歌唱を聴かせる。歌詞が攻めまくっていてスゴみを感じる。
「いつものメンツでジョイントライブ」だけではいけないんだと
ミュージシャンが自ら歌ったのはとりわけ印象に残った。私の好きなバンドには
アウェイの地でもライブに挑戦していって欲しいと思うバンドがたくさん・・・

11曲目「トム・ジョード」は渋いフォークロック系の曲で
男気が感じられてカッコいいなと思いきや、サビで一転して
EDM系サウンドが流れてきたのにはブッたまげた。
こんなん意外にも程がある!さすがに冒険し過ぎではなかろうか?


フォーク調のメロディは良い、歌詞についても詩人という表現がピッタリなほどに質が高い、
そして何よりその歌声が男らしくて素晴らしい!
魂のこもった、この熱いボーカルがあるだけで何度もCDを聴きたくなるほど。
つくづく、この歌手は生まれてくる時代が違えばもっと有名になっていたのでないかと思う。
近年はナヨナヨした歌声の男性ボーカルバンドが増えて、それらが人気を集めている
時代なだけに、そんな音楽シーンに一石を投じて欲しいという気持ちもあるのだが・・・
ライブだとその歌に一層の迫力を感じられるので、これからもまた行きたいところです。



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