上坂すみれ「20世紀の逆襲(初回限定盤A)(Blu-ray Disc付)」 (2016/1/6) 1. 予感02 (instrumental) 2. 20世紀の逆襲 第一章~紅蓮の道~ 3. パララックス・ビュー 4. 冥界通信~慕情編~ 5. 繋がれ人、酔い痴れ人。 6. すみれコード 7. TRAUMAよ未来を開け!! 8. Inner Urge 9. 無限マトリョーシカ 10. 無窮なり趣味者集団 11. 来たれ!暁の同志 12. 20世紀の逆襲 第二章~蠱惑の牙~ 13. 閻魔大王に訊いてごらん 14. 罪と罰 -Sweet Inferno- 15. 全円スペクトル 16. 革命的ブロードウェイ主義者同盟 (INST piano solo ver.) 17. ツワモノドモガ ユメノアト 18. 20世紀の逆襲 第三章~絶境の蝶~ お気に入り度:★★★★★★★★★★ (10/10) 上坂すみれの2ndアルバム。先行シングル曲の数々からして傑作になることは 確定的でしたが、まさかここまでコンセプトアルバムとしての完成度の高い作品を 届けてくれるとは予想してなかった。デジタルポップからロシア民謡まで、 あまりにも多彩かつ面白い曲の数々。前作にはほとんど無かったロック系の曲も増えて より一層の進化を感じさせつつも、全編通してノスタルジックな基調で統一された作品。 アルバムオリジナルの新曲はインストを除くと実質5曲ですが、コラボ曲満載な シングルのカップリング曲を全て収録したのはむしろ良かったと思えました。 まるでテーマパークのような唯一無二の世界が広がっている。これは絶賛せずにはいられない。 1曲目「予感02」はオープニングを飾る2分台のインスト曲。 今作にはR・O・Nさんが提供した曲があるということで大いに期待したのですが それがこのインスト曲だったとは。次回は歌有りの曲をお願いします。 2曲目「20世紀の逆襲 第一章~紅蓮の道~」は初音ミクのような歌唱で聴かせる アニソン風アッパーチューン。尺八の音が入ったアレンジなどにノスタルジックな 雰囲気を感じさせる。これには初っ端からアルバムの世界観に引きずり込まれる。 3曲目「パララックス・ビュー」は作詞大槻ケンヂ、作曲NARASAKIの 特撮コンビにより作られた和風パンクチューン。地獄の恋をテーマにした曲で 途中エフェクトをかけたシャウトなどを交えつつも、それでいて程よくキュートに 聴かせる辺りは何ともすみぺの曲らしい。素晴らしいとしか言えない。 4曲目「冥界通信~慕情編~」は人間椅子の和嶋慎治さん作詞作曲による ミドルテンポの和風メタルナンバー。優しく微笑みかけるかのようなその歌声で 中和されたこともあってか、ポップで聴きやすい。コラボ効果が見事に発揮された名曲。 5曲目「繋がれ人、酔い痴れ人。」はデジタルポップをベースにしながらも 途中でアコギを利かせたりといったアレンジが凝っている。詰め込み歌詞も特徴的で サビの高速歌唱はテンポが良い。曲後半のライライライという掛け声も耳に残るが それを「磊々」と表現する辺りがこれまた個性的で面白い。 6曲目「すみれコード」はアーバンギャルドの松永天馬さん作詞作曲の昭和アイドル歌謡。 まるでミラーボールのような輝きを感じられる。「四十五回転」「三十三回転」といった 歌詞も印象的。今作はぐるぐる回る系の曲が多いな(笑) 7曲目「TRAUMAよ未来を開け!!」はサエキけんぞうさんにより作られた歌詞は良いが、 今作の曲の中だと普通のポップスに聴こえてしまう。他が良すぎるだけだ。 8曲目「Inner Urge」はこちらのシングルレビューで書いた通りの セクシー系歌謡ディスコチューン。性的な抑圧からの解放を歌った大傑作です(爆) 9曲目「無限マトリョーシカ」はすみぺが大好きなロシア民謡曲。作詞は谷山浩子さんが担当。 歌詞世界は幻想的ながらも、曲調のノリの良さに盛り上がる。 今作は見ての通りに数多くの個性派アーティストの皆さんとコラボしていますが、 この次のコラボ相手はバックドロップシンデレラとか良いんじゃないですかね? 10曲目「無窮なり趣味者集団」は唯一の本人作詞により作られた行進曲。 早く決起集会(ライブ)で一緒に行進してみたい。 11曲目「来たれ!暁の同志」はユーロビートにのせてすみぺのスローガンである 「生産!団結!反抑圧!」を歌った曲。こんな歌詞でありながらも歌唱は何とも可愛らしい。 今作の曲の中でもとりわけ表情豊かな歌声を聴かせてくれている。これは盛り上がらずにはいられない! 12曲目「20世紀の逆襲 第二章~蠱惑の牙~」は、 イントロからいきなりクサメタル系のサウンドが流れてきたのに笑ってしまった。 ダークテイストの入った曲で、例えるならMALICE MIZERのようなV系っぽさもある。 歌唱は相変わらずキュート。こういう曲調でもポップ感があるのは逆に不思議だ。 13曲目「閻魔大王に訊いてごらん」はこちらのシングルレビューで書いた通りの アニソン風歌謡ロックナンバー。文句無しの傑作。 14曲目「罪と罰 -Sweet Inferno-」は王道エレガ節なシンフォニック系ハードポップ。 イントロの笛の音やシンセの旋律などの細かいところも含めて編曲が素晴らしい。 ヒーローソングを歌うすみぺといった感じでカッコいいです。 15曲目「全円スペクトル」は懐かしさを感じられる歌詞が印象的なデジタルポップス。 機関車とか今はほとんど走ってないよな・・・ 曲後半の「♪ぐるぐる回れ」はツボにはまった。これがロック系のアーティストならば ライブではここでサークルモッシュを期待したくなるのだが(笑) 16曲目「革命的ブロードウェイ主義者同盟 (INST piano solo ver.)は短いピアノインスト。 17曲目「ツワモノドモガ ユメノアト」はシリアスな雰囲気のバラード曲。 バンドサウンドの中に切なげで淡々とした歌唱がうまく溶け込んでいる。 アルバム終盤のクライマックス。最後はどう決めるのか次の曲も楽しみになる。 18曲目「20世紀の逆襲 第三章~絶境の蝶~」は今作を締めくくるアニソンテイストの曲。 変わりゆく時代の中で例え辛いことがあっても、一緒に乗り越えていこうと 歌いかけてくれる曲であり、これぞ大団円ですね。 これだけ多種多彩な音楽趣味を全てぶっこみ、ご本人様の好きなミュージシャン達も その楽曲の提供に協力してくれたとはスゴ過ぎる、そして面白過ぎる。 こんなにもやりたい放題やりながら、CDセールスではオリコンデイリー6位を 取れてしまうというのもこれまたスゴい。声優としての活動実績、 さらには可愛いからというのも売れる理由の1つでしょうが、それ以上に感じたのは、 マニアックな要素が多く入りつつも、それらの曲を程よくポップに聴かせる魅力があること。 これこそがアニソン系アーティストの良さであり、懐の深さ。 今作を聴くと、音楽は自由だ!と大声で宣言したくなりました。 そこには抑圧なんて何もない。あるのは希望の明日だ。 2016年を代表する傑作アルバムが早くも誕生いたしました。 決起集会もぜひ行きたいが、関西でなかなかやってくれないのが唯一残念なところだ・・・
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2016年1月9日土曜日
[CDレビュー] 上坂すみれ「20世紀の逆襲」
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