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2013年6月29日土曜日

[CDレビュー]  ガガガSP「友よ」


ガガガSP「 友よ」
(2013/5/22) 

1. 友よ  
2. ある一つの生きるという事




ガガガSPの約3年ぶりとなるシングル。
アニメ「ムシブギョー」主題歌として、久々にメジャー(エイベックス)から
リリースされた作品となりました。

表題曲「友よ」は、その名の通り大切な友人のことを歌った曲。
フォーク的なメロディを持ったパンクサウンドについてはいつも通りといえますが、
歌詞が今までの曲とはまた違った良さがある。それだけで新たな気持ちで聴ける。
今作はとにかく純粋で、ひたむきさが伝わってくるのが印象的。
「日の暮れた学舎の片隅で 汗まみれの素振りをしてたな」などといったフレーズは
やはり彼ららしい歌詞だなと。この熱さが相変わらず良い。
Cメロの「あんなふうに生きれたなら」というシャウトも心に響く。
聴く人によって、こんな友人に出会えた10代の頃はやっぱり良かったなぁと
懐かしい気持ちに浸りたくなる人もいるでしょうし、
もしくは、この曲のような10代を送りたかった・・と思う人もいるでしょうが、
(個人的には後者の気持ちの方が強いです)
しかしどちらにしろ、「40歳になっても50歳になっても、一生青春だ」
という、ボーカルのコザック前田さんのありがたい言葉がある通り、
今からでも青春だ。今からでもあんなふうに生きれるんだ、決して遅くはない。
俺も明日の草野球に備えて素振りをしよう、そして明日は、今の大切な友の前で
活躍してやるんだ!などといった気持ちにさせてくれるのも、この曲の持つ力。
ピュアなあの頃の気持ちを思い出させてくれる、文句無しの名曲でした。

カップリング曲「ある一つの生きるという事」は、彼らも大人になったんだなという
一面を感じさせてくれる、世の中をどこか達観的な目で見て歌った曲。
こういう曲を聴かせてくれるようになったのも、また面白いと思いました。


しかしこのシングルは、久々にアニメタイアップ付きでリリースしたにもかかわらず、
オリコン100位以内にも入っていないのか・・・?
もちろん売れることがすべてでは無いですが、だがこれでは前回のCOMIN'KOBE13で
出場宣言した、a-nationに呼ばれるかどうかがピンチではないか!?(レポはこちら)
一時期の青春パンクブームが終わり、時代が変わったとはいえ、
最近の世の中はこういう曲がなかなか売れないということを、残念に思います。
今の時代だからこそ、こんな曲を必要としてる人はいるはず!




2013年6月27日木曜日

[CDレビュー]  BABYMETAL「メギツネ」



BABYMETAL 「メギツネ」<通常盤>
(2013/6/19) 

1. メギツネ  
2. 紅月-アカツキ-   




BABYMETALのメジャー2ndシングル。
表題曲「メギツネ」は、これから夏祭りの季節を迎えるのに合わせる形で
「祭りメタル」というコンセプトをもとに作られた曲で、
陰陽座の曲を思い起こさせるような和風メタルサウンドと、
ダンスミュージックとして思わず一緒に踊りたくなるようなデジタルサウンドを
融合させてしまうという、これまたとんでもない曲を作ってくれました。
和楽器の音からイントロが始まったかと思いきや、一転シンセが豪快に響いたり、
Aメロではボーカルにエフェクトがかかったり、さらに間奏では
「さくらさくら」のメロディを引用して「♪キツネ~キツネ~」と歌ってみたりと
まさにやりたい放題。それでいてサビの疾走感と、ギターを含めたサウンドの重厚感は
メロスピとしての魅力を存分に発揮している。これぞ全く新しい形の音楽「祭りメタル」。
さらには歌詞の方も、移ろいゆく女心を歌った歌詞が印象的で、
ボーカルのSU-METALこと中元すず香さんはまだ15歳にしてこんな曲を歌い、
しかも15歳にして曲世界から漂う哀愁を、その歌唱で表現できているというから見事。
以前からBABYMETALは、メタルファンがライブで掲げる
メロイックサイン(人差し指と小指を立てて天に突き上げるサイン)を
「キツネ」と呼んでおり、そこから1曲作ってしまうという発想からして面白過ぎです。
こんな曲をもしライブで聴いたら、一緒に踊らずにはいられなくなるでしょう!

通常版カップリング曲「紅月-アカツキ-」の方も、ほのかに哀愁漂うメロスピナンバーで
透き通ったボーカルと歌謡曲っぽいサビメロが印象的。
これも並のアーティストならばシングルA面でも全然いけるぐらいの曲だと
思いますが、いかんせん「メギツネ」がスゴ過ぎるせいで、
このレベルの曲でもあまり目立たないカップリング曲になってしまうのかと・・・


BABYMETALの何が偉大かといったら、そもそもインディーズデビュー曲である
「ド・キ・ド・キ☆モーニング」からして衝撃的なまでに素晴らしい曲だったのに、
新曲を出すたびに、その前作をも超えるインパクトを持った曲を
さも簡単にリリースしてしまうということ。いったいどこまで進化を続けるんだ。
これからもずっと彼女たちを見続けていたい。
SU-METALこと中元すず香さんはおそらく近いうちに卒業してしまうのでしょうが、
今後はボーカル、ダンサーともにメンバーチェンジを繰り返すという形でもいいから、
5年10年と長く続いて欲しい。海外のメタルバンドだってメンバーチェンジを
何度も繰り返すバンドは多いのだから、それにあやかる形でいけるはず。
ただ、中学生ぐらいの年齢で今のSU-METAL並みに歌唱力のあるボーカルを探すのは
なかなか難しいかもしれませんが・・・




2013年6月23日日曜日

[CDレビュー]  浜田麻里「Legenda」


浜田麻里「 Legenda」
(2012/2/15) 

1. Crisis Code 
2. Momentalia
3. Heartstorm
4. Crimson
5. El Dorado
6. Forest 
7. Ransei - Conscientia
8. The Greatest Cage
9. Etranger
10. Get Together
11. Aurea 
お気に入り度:★★★★★★★★★★ (10/10)





2012年にリリースされた、浜田麻里の通算24枚目となるオリジナルアルバム。
1983年に「麻里ちゃんはヘビーメタル」というキャッチフレーズを引っ提げ
メジャーデビューしたことからも分かる通り、初期の頃は主にHR/HM系の曲を歌う、
日本における女性Voメタルの元祖ともいえる歌手でした。
その後徐々にポップス路線へと転向してからは、「Return to Myself」が
オリコン1位を獲得するなどし、80年代後半~90年代にかけて数多くのヒット曲を
生み出しましたが、その中で個人的には何曲か好きな曲はあったものの、
私の中では彼女は90年代のガールズポップ歌手の中の1人でしかありませんでした。

しかし、海外のミュージシャン達を迎えて作った今作は、かつてのHR/HM路線が復活。
どの曲もメロディアスで聴きやすさを持ち合わせつつも、それでいてハードロック。
特に2曲目「Momentalia」や7曲目「Ransei - Conscientia」といった曲は
ガチのメロスピナンバーとなっていて、そのサウンドの迫力は圧倒的。
力強くもどこか哀愁を帯びた歌声との組み合わせも絶妙です。
さらにはバラード系の曲も軒並み素晴らしく、特に9曲目「Etranger」は
たまらないぐらいの美しさと憂いを帯びた、大傑作ロックバラードでした。
そして今作は本人自作の歌詞の方も、ダークな一面を覗かせつつどれもカッコ良い。
大地や天空といったスケール感のある世界観が広がっているのも素晴らしく感じる。
5曲目の「El Dorado」は、遥か遠くの楽園の地へと向かって旅を続ける人々の姿が
目に浮かぶかのようなミディアムバラード曲で、この曲は聖飢魔Ⅱの「EL.DO.RA.DO」にも
負けずとも劣らないぐらいの名曲だと感じました。
10曲目「Get Together」は、「Return to Myself」を思い起こさせるような
明るくポップな雰囲気の曲で、こういう曲が後半に入っていたのもまた良かったです。

このように楽曲はどれも最高レベル。しかし、今作のスゴさはこれだけではなかった。
それ以上に、何よりも一番圧倒的だったのは・・・・
これぞ本物の歌手だ!と絶賛せずにはいられなくなる、浜田麻里さんの歌唱力でした。

1曲目「Crisis Code」から十分に上手い歌唱を聴かせてくれてましたが、
本当に驚いたのは、まず2曲目の「Momentalia」のサビのラストからでした。
「♪抱けよモメターーリーーアーーーーーーーーーーーーーーーーー~~~~~~~~~~~~」
これには、どこまで伸びていくんだ!?ここまでロングトーンが伸びる上に
その後半に美しいビブラートまで聴かせてくれるなんてスゴい!と思いました。
さらに3曲目「Heartstorm」では、またしてもサビでロングトーンが聴ける。
そして曲の最後の最後でここまでの最高音記録を更新する「♪はーすとぉぉーーーーーーーーーーーーーーぁぁあぁぁぁーーーーーー~~~~」
これまたどこまでハイトーンが伸びていくんだ!? どうしたらこんな声が出るんだ!?
そして極めつけは、今作最大のキラーチューンである4曲目「Crimson」。
この曲は疾走感と解放感抜群のメロディだけでも素晴らしいのに、それに加えて
1番サビのラストで「♪くりぃーむぞぉぉぉーー~~~~~~~~~~ん!」
という超絶ハイトーン歌唱まで炸裂するというからまさに圧巻。
さらに2番サビのラストで、ここまでのロングトーン&ビブラート記録を更新する
「♪くりぃーむぞぉぉぉーーー~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ん!」
そして曲のラストでまた「♪くりぃーむぞぉぉぉーーー~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ん!」
さらにもう1回「♪くりぃーむぞぉぉぉーーー~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ん!」
ようやく曲が終わったかと思いきやまた最後に「♪くりぃーむぞぉぉぉーーー~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ん!」

スゴい!!スゴ過ぎる!!  なんだこの、序盤から怒涛のホームラン攻勢を見せられた上に中盤には伝説のバックスクリーン3連発までもが飛び出したかのような、信じられないぐらいの衝撃! さらに7曲目「Ransei - Conscientia」ではアウトロで徐々にフェードアウトしながら 「♪ウォーーーーーーーーーーーアアアァァーーーーーーー~~~~~~!」 と、ここまでの最高音記録をまたしても更新。まさかここで更新するとは! これぞ悶絶級の歌唱。もはや日本一です。決して大げさではありません。 本日をもちまして、もし「日本で一番歌が上手い歌手は誰だと思いますか?」と聞かれた場合には、迷わず浜田麻里さんであると答えることを宣言いたします。 ここまで歌手としての歌いっぷりに衝撃を受けたアルバム作品は、 2009年にリリースされた、北出菜奈の3rdアルバム「Bondage」以来です。 (こちらの作品は聴き手以上に歌い手が自ら悶絶するという、ある意味問題作でしたが) 音楽の好みは人それぞれあれど、今作を聴いて凄さを感じない人はおそらくいないでしょう。 まさに歴史的傑作。海外のミュージシャンも参加したのであれば、なおさら世界中に この歌声が轟いて欲しいと思いました。地球の裏側まで突き抜けるがいい! 以上をもちまして、当ブログの記念すべき300作目となるアルバムレビューを 終わりたいと思います。くりぃーむぞぉぉぉーーー~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ん!

2013年6月21日金曜日

[CDレビュー]  S.P.N POWER「この風の向こうに」


S.P.N POWER「この風の向こうに」
(2013/1/23) 

1. 防風林の向こうに  
2. 明日の鍵  
3. 雪 吹けば
4. 北風  
5. 街灯の下
6. 風が吹いている  
7. 夕陽ニ誓フ  
8. 影笑う  
9. 鳴かない空  
お気に入り度:★★★★★★★★★☆ (9.5/10)





青森在住の3ピースロックバンド、S.P.N POWERの2ndアルバム。

Youtubeの公式PVにて
「eastern youthやsmileなどを彷彿とさせる『漢の歌』を聴かせる数少ないバンド」
と紹介されていただけあって、これぞ(男性ボーカルの)バンドとして
個人的に最も好みのど真ん中にあるような曲ばかりが並んでいる作品でした。
しかし、誰かのフォロワーであることを事実上宣言してしまうのって
アーティストとしてどうなのか・・・ そんなこと言わずとも、
彼らには彼らなりの良さがある。まず「防風林の向こうに」や
「雪 吹けば」「北風」などといった曲のタイトルからして分かる通り
彼らの曲からは、北の大地で力強く生きる人々の姿を思い起こさせてくれる。
冬場は厳しい自然環境の中にありながらも、それに負けじとばかりに、
降り積もる雪をも溶かすかのような情熱を感じさせてくれるのが素晴らしいです。

そしてこのバンドで最も印象に残ったのは、3人のコーラスワーク。
2曲目「明日の鍵」では初っ端から3人で「ウォーオーオー オオオオーオーオオー」
と力を合わせて声をあげる。この一体感がシビれる。
さらにサビではどの曲も3人のコーラスがガッチリと入ってくるのが良い。
まるで、野球などのスポーツの試合前や試合中に、選手が円陣を組んで
気合を入れるために一斉に声をあげているかのような熱さを感じさせてくれる。
eastern youthがどこか哲学的でボーカルがメガネをかけていて文化系なイメージの
バンドだとしたら、S.P.N POWERは思いっきり体育会系なバンドだなと。
やっぱりこういう曲は好きだ。俺も早くホームラン打ちたい!と思えてくる(笑)

歌謡曲っぽいメロディの曲が多いこともあってか、中盤~後半には似た雰囲気の曲が
固まっているような感じもしましたが、2~3分台の短い曲が多いこともあり、
最後までダレずに聴ける作品でした。ぜひライブステージも観てみたいです。




公式サイト
http://www.spnpower.com/home.htm

余談ですが、この公式HPの「HISTORY」を見て驚きました。
このバンドは結成以来16年の間に一体どれだけメンバーチェンジしてるんだ!?
ドラムだけで10回替わってるというのはなぜなんだ・・・
もはやSEX MACHINEGUNSよりもメンバーチェンジ回数が多いじゃないかと!
それはさておき、「すっぽんパワー」という曲はすごく聴いてみたいと思いました。
バンド名のS.P.Nってのは、すっぽんの略なのでしょうか?




2013年6月19日水曜日

お知らせ

リンク集を追加いたしました。

・白い羽の形をしたなにか
 EruR249さんのブログ。女性ソロ歌手のCD感想が中心の内容となっています。
 開設以来ハイペースで更新しているようなので、今後とも楽しみなブログです。




・当ブログのCDアルバムレビューについて、さほど重大でもない発表です。

 先日レビューしたKOKIA「trip trip」をもって、
 当ブログ通算298作目のアルバムレビューが完成いたしました。
 ということであと2作で、通算300レビューを達成いたします!

 ちなみに200作目の時点では、レビューの通算枚数を全くカウントしておらず
 気が付いたら200を通り過ぎてました。
 あらためて数えてみたら、ももいろクローバーZ「バトル アンド ロマンス」が
 当ブログの通算200作目のレビューであることが後から分かりました。
 この作品も良い作品でしたが、もし事前にもうすぐ200作目だと気付いていたら、
 200作目にはこれ以上の私的大傑作を用意していたのにと、通算202作品目の
 JAM project「Get over the Border ~JAM Project BEST COLLECTION VI~」
 を、200作目の記念レビューにすれば良かった!と後から思ってしまいました。

 なので、通算300作品目のレビューは、300という記念すべき節目にふさわしい
 私的大傑作をレビューしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 以上、大して重要でもない発表でございました。


2013年6月16日日曜日

[CDレビュー]  KOKIA「trip trip」


KOKIA「 trip trip」
(2002/1/23) 

1. 調和
2. 次会う時は
3. Say Hi!!
4. The rule of the universe
5. Princess EHIME
6. 天使
7. ぴんくの象
8. Hello passing days
9. 花
10. 人間ってそんなものね
11. 足音
12. tomoni
13. a gift  
お気に入り度:★★★★★★★★★☆ (9.5/10)




2002年にリリースされた、KOKIAの2ndアルバム。
多彩な楽曲を、抜群の歌唱力で情念たっぷりに歌う作品でございます。

まず1曲目の「調和」に、いきなり圧倒されました。この曲はまるで広大な大地の
その果てまで轟くかのようなスケール感を持った、民族音楽風の曲。
かつてTBS系列で放送されていた番組「神々の詩」のオープニング曲などを思い出しました。
(果たして知っている人はどれぐらいいるでしょうか)
こぶし・ビブラートを存分にきかせたその声で、「KOKIA語」という独自の言語を
歌い上げるその姿は、まさに神が宿ったかのよう。

このように1曲目からいきなりとんでもない曲を聴かせてくれましたが、
その後の曲についても、まず5曲目の王道バラード「天使」は曲終盤の歌唱がスゴい。
どこまでも伸びていく声、さらにその声の数々が重なり合うところなどは圧巻。
さらに、つぶ入りみかんジュースの中に溶けていくかのような「Princess Ehime」や
ちょっぴりアフリカンな童謡「ぴんくの象」といった幻想浮遊系ナンバーも印象的。

しかし今作のクライマックスはなんといっても後半の10~12曲目でしょう。
特に10曲目の「人間ってそんなものね」には、心から癒されました。
この曲はまず歌詞が素晴らしい。1番もさることながら2番の歌詞も良い。
「迷惑をかけるのはイヤだなんて 一人で歩いて来たつもりなの?」
これには胸をつかまれました。
そして、サビで一気に盛り上がるバンドサウンドに乗せて、
「人間ってそんなものね 許し逢えるって素晴らしい」といった
メッセージの数々をその美しい声で歌われたら、もはや感動するしかない。
ここまで人間愛に満ち溢れた曲が聴けるとは・・・
そして、ポップで明るい曲ながらノスタルジーな雰囲気も感じさせてくれる「足音」、
自然の尊さを歌った曲で、まるで日本の原風景が目に浮かんでくるかのような
民謡風のメロディと伸びやかな歌唱に、1曲目同様神々しさを感じる
「tomoni」といった曲も素晴らしいです。
アルバム終盤にして、この怒涛の名曲ラッシュには参りました。

今作はポップな曲から、どこか神秘的な曲まで聴けるといったように
楽曲の幅が広い上に、これらどんな曲種であったとしても
魂のこもった歌唱を聴かせてくれるから、その曲がより一層名曲に感じる。
聴けば聴くほどに味があるスルメ作品であると同時に、女性ソロ歌手のアルバム作品は
このようにアレンジが多彩な方が好きだなと、あらためて感じました。
今までKOKIAさんの作品は他には3rdアルバムぐらいしか聴いたことがなかったですが、
仮にこれから今までリリースされたアルバム全てを聴いたとしても、
今作が私的最高傑作になりそうだなと思いました。
ここまで素晴らしいシンガーソングライターだったとは。これから本格的にハマるかも・・・





2013年6月13日木曜日

[CDレビュー]  Rie a.k.a. Suzaku「Dreaming Eyes」


Rie a.k.a. Suzaku「 Dreaming Eyes」
(2012/5/9) 

1. Angelism (インスト)
2. Dreaming Eyes 
3. Desire
4. Grab the Sky 
5. Oblivion 
6. Not Escape
7. Aurora (インスト) 
お気に入り度:★★★★★★★★☆ (8.5/10)




女性メタルギタリスト、Rie a.k.a. Suzakuの3rdミニアルバム。

そのアルバムタイトル通りに「夢」というコンセプトをもとに、
ゲストボーカルとして計3人の女性歌手を迎えて作られた今作は、
ひたすら前向きで明るい。HR/HM系でここまで全編通して明快な作品は珍しいぐらい。
歌詞はベタと言われれば相当ベタで、中にはもう少し表現方法を工夫した方が
いいんじゃないかと思ってしまうものもありますが、それでも聴いていて
心の底からスカっとさせてくれるメロディと、ギターをはじめとした楽器隊の
豪快な演奏をバックに、ボーカルから放たれる前向きなメッセージの数々を
目の前で聴かされてしまえば、もはや細かいことはどうでもよくなります。

特に2曲目「Dreaming Eyes」と5曲目「Oblivion」の突進力は素晴らしい。
キーボードの旋律が加わったサビの、そのキラキラ感には希望の未来を予感させてくれる。
この曲を歌うボーカルのDiaさんの歌唱についても、3人のボーカルの中では
一番声質が太いこともあって、最大級の迫力を感じることができます。
6曲目「Not Escape」では「人の命を命とも思わない 腐った奴ら」などといった、
今作の中においてはかなりダークな一面を覗かせる歌詞もありますが、
それでもサビでは「もう逃げない」「立ち上がれ」と歌うからやっぱり前向きだなと。
ラストの収録時間5分台のインスト曲「Aurora」は、まさに美しいオーロラの景色が
目の前に浮かんでくるかのようなロックバラード曲。ギタリストRieさんが奏でる
そのギターの旋律の美しさが、今作で最も全面に出た曲でございました。

今作はJAM projectが好きな人などには特にオススメしたい作品です。
というかいっそのことJAMに加入してもいいんじゃないかと思えてくるぐらいに
楽曲のコンセプトが似ている。たとえ歌詞はどこかで見たことあるフレーズだろうが、
なんとなくカッコ良ければそれでいい! ドラマチックかつパワフルな曲の数々に
聴いていて勇気をもらえる、これこそが最高だ! 次はフルアルバムが待ち遠しいです。




2013年6月11日火曜日

[私的名曲ランキング]  2013年4月度 マイベスト10

みんなでいい曲を発見する音楽投票企画「Japanese Dream -We Love J-Pop-」
の協力により、今月も月間私的名曲ベスト10を紹介したいと思います。

今月は谷間の月、来月5月度はシングル曲だけでベスト10が作れるほどの大激戦確実、
その結果来月のマイベスト10は1位も2位も3位もJD必聴曲には選ばれないんじゃないか、
などと当初は思ってましたが、いざ作ってみるとやっぱり今月も
マイベスト10に15曲入れたいなぁとか思ってしまうぐらいの激戦でした。
ただ事前の有力作品が少なかった分、今月の1位はおそらくまだ見ぬ新人が獲るんだろうなと
予想していましたが、果たして結果はどうなったでしょうか・・・
ということで、いってみましょう。






第10位 レイト「君を愛す」 [公式PV]

何としてもこのメッセージを届けたいんだとばかりに、歌詞やサウンドから必死さが伝わってくるのが良い。
以前までは苦手意識があったラップも今なら抵抗無く聴けます。




第9位 Zwei「Re:Set」 [公式PV]

アルバム「Re:Set」より(レビューはこちら) 2作ぶり3回目のランクイン。
やはりこの歌声と、近未来的デジロックサウンドは良い。ゼロを恐れるな!




第8位 amazarashi「性善説」 [公式PV]

歌詞が胸に突き刺さる。重い内容ながらも共感できる曲でした。




第7位 凛として時雨「Beautiful Circus」 [公式PV]

アルバム「i'mperfect 」より(レビュー予定地はこちら) 2作連続2回目のランクイン。
以前よりもメロディがより良くなった上に、この曲ではダンサブルな要素まで
感じさせてくれるのが面白い。さらなる進化を感じました。




第6位 DESTROSE「Nostphilia」 [公式PV]

今月のメタル枠。毎月のようにこの枠がある時点でJD的にはどうなんだとそのうちツッコまれそうだが・・・
声の迫力はトップクラスなまでに印象的。近日アルバムレビュー予定。




第5位 玉置浩二「純情」 [公式PV]

何度聴いても声が良い。母への感謝を歌った歌詞も心に響くし説得力がある。
たとえ色んな騒動があろうがやっぱり彼は天才だと思わせてくれる曲でした。




第4位 THE LOCAL ART「夜空をこえて」 [公式PV]

圧倒的な疾走感。勢い余ってシャウトをかますところは特に大好きです。
ドラムを叩きながらこれだけ歌えるというのもスゴい。
今のGacharic Spinもそうですがこれって大変なことだと思います。




第3位 国吉亜耶子and西川真吾Duo「遺伝子ヒストリー」 [公式PV]

「♪いざ行け少年よ」がいいですね。この曲からは未来への希望を感じさせてくれる。
美しくもスケール感のあるバラード曲はやっぱり好きです。




第2位 玉置成実「REAL」 [公式PV]

初期の頃のダンス&ロック路線復活来たーー!!
もうこんな曲は聴けないんだろうなと思っていただけに嬉しいです。
やっぱりこのようなアッパーチューンに乗せてダンスを踊る姿が一番ハマってる。




第1位 後ろから這いより隊G「恋は渾沌の隷也」

そのノリの良さとダンサブルな勢いに完全にもっていかれた。
「SAN値」って何なんだと思いましたが、もはやそんなことはどうでもいい!

しかし、アニソンはアニソンでも電波ソング系の曲がマイベスト10に入ったのは史上初。
そして史上初にして1位という、自分でもビックリの結果になってしまいました。
意外かもしれませんが、そもそも当ブログで月間マイベスト10企画が始まって以来
アニソンが1位を獲ったことは過去1度も無かったのに、
(アニソン系アーティストの1位は2012年5月に黒崎真音が獲得してますが
この曲は映画主題歌だったため「アニソン」では無かったりする)
まさか初1位が水樹奈々の曲でもJAM projectの曲でも飛蘭の曲でも妖精帝國の曲でもなく後ろから這いより隊Gの曲になるなんて・・・





(次点)
AZUMA HITOMI「情けない顔で」 [公式PV]
やくしまるえつこ「ロンリープラネット」 [公式PV]
怒髪天「ドリーム・バイキング・ロック」 [公式PV]
angela「僕じゃない」
みきとP「サリシノハラ」 [公式PV]



AZUMA HITOMI「情けない顔で」のような、メロディアスかつ疾走感のある
デジタル系ナンバーも上位に抜擢したいがなかなか上にいかないのは、
やっぱり聴く場所が高速道路上じゃないからなのか・・・
まぁ来月はあの曲が確実に上位に行きますが。
やくしまるえつこ「ロンリープラネット」は9分台の収録時間を
6~7分ぐらいにまとめてくれていたら確実にもっと上に入れてた。
以前はこういう感じのボーカルに苦手意識があったのですが、
今作はそれを上回るぐらいに曲の世界観に魅力を感じました。
みきとP「サリシノハラ」はやっぱり歌詞が良い。
そろそろボカロ曲が1位になる月も出ないかなと思っているんですけどね。


2013年6月10日月曜日

[CDレビュー]  GARNET CROW「first soundscope~水のない晴れた海へ~」


GARNET CROW「 first soundscope~水のない晴れた海へ~」
 (2001/1/31) 

1. 水のない晴れた海へ
2. 君の家に着くまでずっと走ってゆく
3. 夏の幻
4. 二人のロケット
5. 巡り来る春に
6. HAPPY DAYS?
7. Mysterious Eyes
8. Rhythm
9. Holding you,and swinging
10. flying
11. 千以上の言葉を並べても…
12. wonder land
13. 夏の幻(secret arrange ver.)
お気に入り度:★★★★★★★★★ (9/10)




2001年にリリースされた、GARNET CROWの1stアルバム。

このアルバムは彼らがリリースした全10作のオリジナルアルバムの中でも
他の作品とは違った空気を感じる、孤高の作品といえるでしょう。
ツインキーボードという珍しい形のバンド編成により作られたサウンドは、
一見地味にも聴こえるが、アコースティックな質感に今作ならではの温かみを感じる。
そしてボーカルの中村由利さんの、切なげながらも耳に強く残る歌声が
曲にインパクトを加えていて、なおかつサウンドの中に絶妙に溶け込んでいる。
今作はまるで木陰に差し込む光、もしくは雨戸が閉まった暗い部屋の中に差し込む
朝の光のよう。圧倒的に輝いているとは言えないかもしれないが、
それでも今作には確かなまぶしさを感じ、聴けば聴くほどに暖かさが伝わってくる、
そんな作品でした。

2、5曲目のようなバラード曲は、この時点で既に完成された魅力がある。
そしてアップテンポ曲については、中期~後期の曲よりもどこか影を帯びているのが印象的。
羽ばたきながら堕ちていく姿を歌った「flying」は光と影のコントラストが見事な
これぞ初期の名曲といえる曲で、今作の中でも一番のお気に入りナンバーです。
同じく初期の代表曲である「夏の幻」は、アルバムラストに収録されている
ニューアレンジバージョンの方がより開放感を感じる。これは原曲以上に好きになりました。

名曲揃いのシングル曲と比べると、アルバム曲は個人的にはもう一押し欲しかったか。
歌詞もラブソング一辺倒ではなくもう少しバリエーションがあればなお良かったが・・・
アルバム曲の中では1曲目「水のない晴れた海へ」が、キーボードアレンジの美しさが光る
幻想的かつ浮遊感に溢れた曲で、こんな曲は彼らがその後にリリースした曲全部を探しても
無いような曲だったので、より強く印象に残った楽曲でした。

約13年間に渡って数々の名曲を世に送り出したGARNET CROWの原点の作品として、
今作は必聴作品といえるでしょう。その後、歌詞もサウンドも徐々に幅を広げていき、
ここから更なる進化を遂げていった姿は見事でした。解散が本当に惜しまれます。




2013年6月8日土曜日

6月8日(土曜日)の日記

たまにはタワーレコード橿原店での買い物日記でも書いてみたいと思います。


以前に当ブログのコメント欄にて存在を教えて頂いた、DESTROSEのアルバムを買ってきました。
さっそく聴いてみたがやはり期待通り素晴らしい。ガールズHR/HMバンドでまた1組、
好きなバンドが増えてしまいました。

私が好きになった女性メタル歌手はこれで何組目だろうか。当ブログでは既に、
CyntiaやAldiousやLIGHT BRINGERや陰陽座や妖精帝國やBABYMETALといったところは
ご存知の通りによく名前が出てくる常連アーティストとなっていますが、
このCDレビュー対象アーティストを上記6組からさらに倍に増やせるぐらいの
アルバム音源は現時点でも既に持っていますからね。

私が以前からお世話になっているCDレビューブログの中には、
女性声優歌手の全コンプリートという(おそらく)前人未到の挑戦に臨んでいるブログや、
中島みゆきの全アルバムコンプリートを目指して現在レビューを書き続けているブログも
ありますので、いっそのこと当ブログのCDレビューのコーナーでは、
日本の女性Voメタル(嬢メタル)アーティストの全コンプリートに挑戦してみようかという
誰得企画を考えてしまった。これって一体どこに需要があるんだ、
少なくとも現在ツイッターで相互フォローして頂いている皆さんなどに需要があるとは思えない。
なんせツイッターでは「最近人気の邦ロックバンドより邦メタルの方が好きだった」とかいう
普段は滅多に言わないような本音をつぶやいたらその瞬間フォロワー様が1人減るなんてことが
あったぐらいなので、もう二度とこんな発言はしません。
こんなツイッターなんかをフォローして頂いてる皆さんにはいつも感謝の気持ちでいっぱいです。
メタルのことは日記に書きます。日記なら周りに気を遣うこと無く本音が書けるから良いですね!

ただしこのジャンルとなると、レンタルに無い作品も多い。
つくづく、一般的なJ-POPよりもお金がかかる趣味を持ってしまった・・・
でもいざ買ってみると、3000円出しても十二分に元が取れたと思えるぐらいの
お気に入りとなる作品ばかりなんですよね! まぁマイペースで出来る範囲内でやります。



その頃、行きつけの無名CDレンタルショップでは、
いつの間にかご当地ラーメンのコーナーが誕生していました。

いくらご当地ラーメン大好きだからといってもCDレンタル店にまでやってきてしまうのは
さすがに場違い感が・・・ 別に私が要望したわけでもないのに(当たり前)
そんなことよりも、肝心のCD作品の品揃えが悪くなってきてることを何とかして欲しい。
どれくらい品揃えが悪くなったかというと、GARNET CROWのラストアルバムや
fripSideのオリコン1位獲得のニューシングルが入荷しないぐらいになってしまった。
どちらも去年までなら確実に入ってただろうと言える作品です。
某アイドル系歌手達がシングルをタイプA、B、Cと出してそれらが全部入荷するように
なって以来、割を食う形でアニソン系などの品揃えが悪くなってしまったのだろうなと。
こんなことになるならやっぱり複数商法は要らないって思ってしまうよな!
やっぱりアニソンとHR/HMの方が好きだ。Cyntiaも複数商法やってるだろ!というツッコミはどうか無しでお願いします・・・


2013年6月7日金曜日

[CDレビュー]  angela「ZERO」


angela「 ZERO(初回限定盤)」
(2013/4/24) 

1. KINGS 
2. 僕じゃない
3. So sweet memories
4. Remember me
5. 生命 -イノチ-
6. 境界線 Set me free
7. THE LIGHTS OF HEROES
8. This is my wish
9. Always 好きだよ
10. いつかのゼロから
11. -レクイエム・オブ・レッド-
12. To be with U! 
お気に入り度:★★★★★★★★ (8/10)




angelaの通算6枚目のオリジナルアルバム。

まず今作を聴いた第一印象は、今まで以上にシリアスな作品になったなと感じました。
前作までは、気楽に聴けるJ-POP的な曲もそれなりに多かったのに対し、
今作では、9曲目に収録されているラブソングナンバー「Always 好きだよ」が
アルバムの中では異色だと感じてしまうぐらいに、曲のテーマが、
命や生きることについて、さらには人生という戦いについての内容が多い。
それでも、メロディや編曲についてはそれなりにポップさを持ち合わせているので、
必要以上に重さを感じること無く聴けてしまうのはさすが彼らの成せる技です。

しかし、序盤や終盤の曲に比べると中盤の曲がやや弱く、
特にバラード系が冗長に感じたのは惜しいところ。
4thアルバム収録の「光、探せなくとも」のような傑作バラード曲と比べると
今作のバラードは・・・と思ってしまうのは、それだけ彼らの曲に慣れてしまったのか。

それでもアッパーチューンの出来はどれも良く、特に1曲目「KINGS」は突出してスゴい。
サビは2つあるように聴こえ、予測不能かつドラマチックな展開美を味わえる。
ラスト曲「To be with U!」はボーカルのatsukoさんのダイナミックな歌唱が光る
歌謡ロックナンバーで、アルバムオリジナル曲の中では一番のお気に入りです。

そろそろベテランの域に入りつつあるユニットですが、これからも更なる進化を
期待したいです。「KINGS」を聴く限りではまだまだいけるはず!




2013年6月5日水曜日

[CDレビュー]  秋 赤音「ぼろぼろな生き様。」


秋 赤音「 ぼろぼろな生き様。【通常盤】」
(2012/4/18) 

1. Give Me Your Light  
2. Flash B ack  
3. 参月の雨
4. 修羅ノ庭
5. antinotice
6. バイビーベイビーサヨウナラ  
7. 花弁  
8. 文学少年の憂鬱 
9. sleeping beauty 
10. 弾かれた空は蒼  
11. 100度目のロックスター  
12. Lost Story  
13. Out Of Eden  
14. ホントハドッチ  
お気に入り度:★★★★★★★★★★ (10/10)




ニコニコ動画発の歌い手、秋 赤音の1stアルバム。

今作は正式なオリジナル曲というのは少なく、ニコニコのクリエイターが作った
初音ミクなどのボーカロイド曲を「歌ってみた」楽曲が中心のアルバムとなっていますが、
やはり人間が歌うと、その楽曲の数々に新たな命が吹きこまれていくかのよう。
しかもその歌い手の歌唱力が、抜群にスゴいというのだから最高です。

1曲目「Give Me Your Light」はKz(livetune)作曲のトランスナンバーで、
この曲は良い曲ではあるがアルバムの全体の中では浮いている。
次曲の「Flash B ack」から、一気にエンジンがかかったかのように、
ハードなロックサウンドが鳴り響く楽曲が続き、ハイトーン歌唱が炸裂する。
2曲目から最後まで、とてつもない疾走感と破壊力を感じることのできる作品です。

その中でも特に素晴らしいと感じた曲は、まずは4曲目「修羅ノ庭」。
この曲は陰陽座インスパイアといっていいような、和楽器の音を随所に取り入れた
高品質ハードロックナンバーで、さらにサビのキーの高さは本家以上。
こんな楽曲を、ここまで完璧に歌いこなしてしまうという歌唱もこれまた見事。
さらに、いきなりのシャウトから始まる6曲目「バイビーベイビーサヨウナラ」は
Aメロからサビの間で、丸ごと1オクターブ上がるのには驚き。
しかもそれでいて終盤には転調してさらにキーが上がるというからスゴ過ぎる。
ラストのサビの「♪バイバイ サヨナラ ルキンルキンベリー」はまさに圧巻。
11曲目「100度目のロックスター」も、超高音で叫ぶように歌う
「♪ぱっぱっぱーぱらぱっぱっぱー」というサビは一度聴いたら頭から離れないインパクト。
どうしたらここまで高い声が出るんだ!?と思わずにはいられないです。

3曲目「参月の雨」や10曲目「弾かれた空は蒼」のような、
どこか哀愁漂うロックナンバーを得意としているのも特徴で、
UNLIMITSあたりが好きな人はハマりそうだというのは納得。
切ないバラードナンバーの「花弁」「文学少年の憂鬱」や、
ゆよゆっぺ作曲のハードロックバラード「Lost Story」といった曲も良く、
近未来的なポップロックナンバーの13曲目「Out Of Eden」もまた違った味があって良い。

どれもニコニコ動画界の人気楽曲なだけあって、収録曲全曲レベルが高いです。
その中でも特筆すべきなのは、歌詞がみんな素晴らしいということ。
「花弁」のサビの「I love youを誰かが 死んでもいいと訳してた」
というフレーズは真っ先に印象に残りましたし、
「文学少年の憂鬱」に至っては小説をほとんど読まない私ですら
曲の世界に思わず引きずり込まれてしまうぐらいに歌詞の完成度が高い。
ニコ動の音楽はいわば同人音楽であるにもかかわらず、さすがプロが作ったと
思えるような歌詞ばかりで、良いと思う表現を1つひとつ挙げていけばきりがないぐらい。
この作品を聴いていると、少なくとも日本のポップス界においては、
歌詞についてアマチュアとプロの逆転現象が起きてるような気がしてならない。
プロが「ストレートな歌詞」という言葉に甘えて、それ本当に真剣に作ったのかと
疑わしくなるような誰でも作れそうな歌詞や曲を平気で世に出しているのを聴くと
なおさらそう思ってしまう。今の10代にニコ動の楽曲が人気なのはうなずけます。

今作はハードロック好きな人には特に聴いて欲しい作品です。
仮にロックバンドのカテゴリの中に入ったとしても十二分に通用するぐらいの
圧倒的な歌唱力と、ハイレベルな楽曲があるだけに、
ぜひこれからはニコ動の枠を超えてブレイクすることを期待したいです。






2013年6月4日火曜日

[CDレビュー]  JACKPOT BELL「RE:VIVAL」


JACKPOT BELL「 RE:VIVAL」
(2013/2/20) 

1. FIND THE WAY 
2. NEW WORLD
3. Waiting for
4. 順応カタストロフィー
5. Meaning of life
6. Lagtime 
7. START AND END
8. 例え散りゆく定めでも
お気に入り度:★★★★★★★★☆ (8.5/10)





仙台出身の男女ツインボーカルバンド、JACKPOT BELLの1stミニアルバム。

まず彼らを知ったきっかけである、3曲目「Waiting for」は、
まずAメロを男性ボーカルがシャウト込みで歌い、Bメロで女性ボーカルに代わり
サビではツインボーカルになるというスタイルが、
個人的にはHIGH and MIGHTY COLORを思い出させるものがありましたがそれはさておき、
震災を背景として作られたこの曲は、歌詞や歌唱から、何があっても負けないんだという
強い思いが伝わってくる曲で、ロックサウンドにこの2人のボーカルが
組み合わさることによる一体感と突進力がスゴい。
この曲を聴いた瞬間から、これは素晴らしいバンドに出会えたと思いました。

しかしアルバムを聴いてみると、彼らの音楽はハイカラとはまた違い、
パンクがルーツだというのが伝わってくる内容でした。
1曲目「FIND THE WAY」は底抜けに明るい雰囲気の全英語詞パンクナンバーで、
このような曲からアルバムが始まったというのは意外。
そして2曲目以降はラウド色を増したサウンドをベースにしながらも、
曲ごとに多彩なアプローチを見せ、なおかつメロディはどれもキャッチーさを持っている。
4曲目「順応カタストロフィー」は思わず踊り出したくなるようなサウンドが良い。
そして英詞ながらも「少数派にも真実はある」と歌うその姿勢にはロック魂を感じる。
6曲目「Lagtime」は、Aメロが男性ラップでサビが女性ボーカルの
ミディアムバラードという、有線でも流れてそうなJ-POP寄りの曲ながらも、
メロディが良い上にバンドサウンドの力強さは健在なので、彼らなりの魅力を出せている。
ラスト曲の「例え散りゆく定めでも」は、和風のサビメロと激しい演奏&シャウトが
1曲の中に同居した曲で、このやりたい放題感はやはり面白いと感じました。

アルバム全体では1~3分台の短い曲が多く、一番長い「Waiting for」が4分4秒。
多彩な魅力を詰め込んだロックアルバムながらも、全体ではコンパクトにまとまった作品。
それだけに、次はぜひフルアルバムが聴きたいと思わせてくれる内容でした。
いつかライブにも行ってみたいと思いました。これからの飛躍に期待したいバンドです。