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2014年8月9日土曜日

[CDレビュー]  秋赤音「SQUARE」


秋赤音「 SQUARE(初回生産盤 CD+DVD)」
(2014/5/21)

1. Black Ganger
2. FIRST
3. 反鏡のバリアシード
4. カックラウ
5. シャクネツ
6. RUNWAY
7. 空間⇔Formation
8. Melancholic Degree
9. ah
10. 糸
11. Flash B ack (Instrumental) (Bonus Tracks) 
12. 感弩≠Reduction (Instrumental) (Bonus Tracks)   
お気に入り度:★★★★★★☆ (7.5/10)



ニコニコ動画発の歌い手兼イラストレーター、秋赤音の3rdアルバム。
「絶叫シンデレラ」というキャッチコピーからも分かる通りの
抜群の歌唱力とシャウト力を持っている女性歌手の作品でございますが、
しかし今作では、前作や前々作に多かったラウドロック系の曲がほとんど無く、
それに代わってデジタルサウンド系の曲ばかりになっていたことが、まず意外でした。

まず1曲目の「Black Ganger」は八王子P作曲のディスコナンバーで、
ノリの良さはあるもののサビメロが印象に残りにくいのが惜しい。
ボーカルにエフェクトをかける必要はあるのだろうか・・
それならばボーカロイドでいいのではと思ってしまいました。
2曲目「FIRST」はデジロック系の曲で、高音で一気に盛り上がるサビが良い。
「♪よーごーれーてーよーごーれーて」の連呼はインパクト抜群。これは名曲。
3曲目「反鏡のバリアシード」もデジロック系。前曲以上に派手にシンセが鳴り響く。
4曲目「カックラウ」はダンサブルなポップナンバー。
メロディ自体はR&Bっぽいですが、それ以上にシンセの音の印象の方が強い。
5曲目「シャクネツ」は「Duet with ろん」という名義でリリースされた曲。
気になる「ろん」の中の人とは、声優の小林ゆうさん。
かつてはCrush Tearsというバンド(レビューはこちら)のボーカルとしても活躍経験があり
当ブログでも絶賛したことのある声優歌手に、まさかこんなところで再会するとは!
楽曲の方も今作のデジロック系ナンバーの中で一番良かったです。
イントロからして高速かつ切迫感があり興奮させられる。サビのキレ味も素晴らしい。

6曲目「RUNWAY」はデジタル系ハードポップ。やはり今作はこのようなアレンジが多い。
7曲目「空間⇔Formation」は今作で唯一のラウド系ロックナンバー。
やっとこういう曲が出てきてくれたかと思いました。ボーカルによく合っている。
8曲目「Melancholic Degree」はメロディ自体はジャジーな雰囲気ですが、編曲の方はやはり電子音が多め。
9曲目「ah」は5曲目と同じく梅とらさん作曲のデジロック。
今作のプロデューサーの中では一番良いメロディを作っていると感じました。
そして10曲目の「糸」は、なんと中島みゆきさんの曲のカバー。
これはラスト曲にして一番驚かされました。原曲よりキーを上げて歌われる歌唱が良い。
あらためてこうしてカバーという形で聴くと名曲だなと。美メロ度はピカイチですし、
歌詞の方もニコ動発の人気Pの作る優秀な歌詞の数々に勝てそうなほどの質の高さ。
これならばニコニコユーザーも納得のカバーでしょう。最後にしっとりと名バラードで締めてくれて良かったです。

今作は全10曲中9曲が各Pの書き下ろしによるオリジナル曲で勝負した作品でしたが、
歌詞の質の高さはさすがだったのに対し、肝心のメロディの方は
1st・2ndアルバムの曲と比べると全体的に弱い気がしたのが惜しい。
作風の方も、デジタル系のポップス・ハードポップが多過ぎたのはやはり気になりました。
3~4曲ぐらいまでなら全然良かったが・・・ 
こういうのはニコニコ動画発の歌手の曲としてはよくあるタイプの作風だと言えるので、
彼女ならではの個性という点でも前作前々作と比べると一段落ちる。
超高音歌唱を見せつける場面もこれまでと比べると少なくなった気がしました。
やはり彼女の歌唱が一番生きるのはロック系の曲でしょう。
また1stアルバムのような気合いのこもった作品が聴きたいです。







2013年6月5日水曜日

[CDレビュー]  秋 赤音「ぼろぼろな生き様。」


秋 赤音「 ぼろぼろな生き様。【通常盤】」
(2012/4/18) 

1. Give Me Your Light  
2. Flash B ack  
3. 参月の雨
4. 修羅ノ庭
5. antinotice
6. バイビーベイビーサヨウナラ  
7. 花弁  
8. 文学少年の憂鬱 
9. sleeping beauty 
10. 弾かれた空は蒼  
11. 100度目のロックスター  
12. Lost Story  
13. Out Of Eden  
14. ホントハドッチ  
お気に入り度:★★★★★★★★★★ (10/10)




ニコニコ動画発の歌い手、秋 赤音の1stアルバム。

今作は正式なオリジナル曲というのは少なく、ニコニコのクリエイターが作った
初音ミクなどのボーカロイド曲を「歌ってみた」楽曲が中心のアルバムとなっていますが、
やはり人間が歌うと、その楽曲の数々に新たな命が吹きこまれていくかのよう。
しかもその歌い手の歌唱力が、抜群にスゴいというのだから最高です。

1曲目「Give Me Your Light」はKz(livetune)作曲のトランスナンバーで、
この曲は良い曲ではあるがアルバムの全体の中では浮いている。
次曲の「Flash B ack」から、一気にエンジンがかかったかのように、
ハードなロックサウンドが鳴り響く楽曲が続き、ハイトーン歌唱が炸裂する。
2曲目から最後まで、とてつもない疾走感と破壊力を感じることのできる作品です。

その中でも特に素晴らしいと感じた曲は、まずは4曲目「修羅ノ庭」。
この曲は陰陽座インスパイアといっていいような、和楽器の音を随所に取り入れた
高品質ハードロックナンバーで、さらにサビのキーの高さは本家以上。
こんな楽曲を、ここまで完璧に歌いこなしてしまうという歌唱もこれまた見事。
さらに、いきなりのシャウトから始まる6曲目「バイビーベイビーサヨウナラ」は
Aメロからサビの間で、丸ごと1オクターブ上がるのには驚き。
しかもそれでいて終盤には転調してさらにキーが上がるというからスゴ過ぎる。
ラストのサビの「♪バイバイ サヨナラ ルキンルキンベリー」はまさに圧巻。
11曲目「100度目のロックスター」も、超高音で叫ぶように歌う
「♪ぱっぱっぱーぱらぱっぱっぱー」というサビは一度聴いたら頭から離れないインパクト。
どうしたらここまで高い声が出るんだ!?と思わずにはいられないです。

3曲目「参月の雨」や10曲目「弾かれた空は蒼」のような、
どこか哀愁漂うロックナンバーを得意としているのも特徴で、
UNLIMITSあたりが好きな人はハマりそうだというのは納得。
切ないバラードナンバーの「花弁」「文学少年の憂鬱」や、
ゆよゆっぺ作曲のハードロックバラード「Lost Story」といった曲も良く、
近未来的なポップロックナンバーの13曲目「Out Of Eden」もまた違った味があって良い。

どれもニコニコ動画界の人気楽曲なだけあって、収録曲全曲レベルが高いです。
その中でも特筆すべきなのは、歌詞がみんな素晴らしいということ。
「花弁」のサビの「I love youを誰かが 死んでもいいと訳してた」
というフレーズは真っ先に印象に残りましたし、
「文学少年の憂鬱」に至っては小説をほとんど読まない私ですら
曲の世界に思わず引きずり込まれてしまうぐらいに歌詞の完成度が高い。
ニコ動の音楽はいわば同人音楽であるにもかかわらず、さすがプロが作ったと
思えるような歌詞ばかりで、良いと思う表現を1つひとつ挙げていけばきりがないぐらい。
この作品を聴いていると、少なくとも日本のポップス界においては、
歌詞についてアマチュアとプロの逆転現象が起きてるような気がしてならない。
プロが「ストレートな歌詞」という言葉に甘えて、それ本当に真剣に作ったのかと
疑わしくなるような誰でも作れそうな歌詞や曲を平気で世に出しているのを聴くと
なおさらそう思ってしまう。今の10代にニコ動の楽曲が人気なのはうなずけます。

今作はハードロック好きな人には特に聴いて欲しい作品です。
仮にロックバンドのカテゴリの中に入ったとしても十二分に通用するぐらいの
圧倒的な歌唱力と、ハイレベルな楽曲があるだけに、
ぜひこれからはニコ動の枠を超えてブレイクすることを期待したいです。