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2013年3月7日木曜日

[CDレビュー]  Cocco「ザンサイアン」


Cocco「 ザンサイアン(初回限定盤)(DVD付)」
(2006/6/21) 

1. 音速パンチ  
2. 暗黙情事  
3. 夏色
4. Beauty C
5. 四月馬鹿  
6. Swinging night  
7. 野火
8. 唄い人  
9. 愛うらら
10. インディゴブルー
11. 陽の照りながら雨の降る
12. Happy Ending
お気に入り度:★★★★★★★★★ (9/10)




2006年にリリースされた、Coccoの5thアルバム。
約5年にわたる活動休止期間を経ての復活作品となりました。

まずオープニングナンバー「音速パンチ」は、イントロからして素晴らしい。
時空を超えて、歌手としてこの場所に戻ってきたかのようなシーンが浮かぶ。
この1曲を聴いただけで、よくぞ帰ってきてくれた!と思いました。
美しさと激しさと優しさを兼ね備え、神秘的でメロディアスでスケール感抜群で、
時に打ちのめされ、時に癒されと、私が音楽に求めているもののほぼ全てが詰まった、
あのCoccoの音楽が帰ってきてくれました。

しかしこの復活作は今までの作品と比べると、音楽を楽しんでいる姿が
伝わってくる作品となったのが、大きな変化に感じました。
6曲目「Swinging night」はジャズ風味の曲となっており、
この曲でMステに出演してバレエを披露したことなどは、
以前からすれば考えられないぐらいの変化だなと。
アルバム全体では以前と比べると穏やかな曲の割合が増えた印象ですが、
2曲目「暗黙情事」や7曲目「野火」といった曲では、初期路線ともいえる
過激なまでの愛を歌ったハードナンバーも歌われています。
しかし、以前はそういった曲に悲壮感すら感じたのと比べると、
今作は激しい曲であっても、歌うことを楽しみながらシャウトしているように聴こえる。
初期の頃の、魂の叫びとも言える楽曲に心を撃たれていた人にとっては
物足りないという意見もありましたが、しかしそれでも曲の質自体は
決して落ちていない上に、本人が歌うことに充実感を感じているのであれば、
これでいいんだと思いました。

アルバム中盤の曲は、地味な印象に感じた曲もありましたが、
しかし、終盤の9~12曲目の流れは圧倒的に素晴らしい!
9曲目「愛うらら」を聴くたびに、一体どうすればここまでの美しいポップスを
作れるのだろうかと思えてくる。その歌声と歌詞とギターの音色の美しさは、
この大空へと響き渡り、遥か遠くの地の愛する人にまで伝わるかのよう。
「ただ 君に会いたい」 このシンプルな言葉がここまで心に響く曲はそう滅多にない。

そしてタイトルからすれば予想外なぐらいに激しい曲である「インディゴブルー」
を挟み、今作最大のクライマックスとなるが11曲目「陽の照りながら雨の降る」。
サビの「♪ハーーイヤイーヨーーー」というこの歌詞と歌声には、
沖縄で生まれ育った彼女の魂がこもっている。そしてこの楽曲からは
美しい空、海、大地の景色を思い起こさせるかのような曲世界が広がっており、
そして後半にいけばいくほどに曲が盛り上がり、感動が押し寄せてくる。
個人的にこの曲は、沖縄のエメラルド色の海を見ながら聴きたい曲No.1でした。
そしてラストは、文字通りに「Happy Ending」で締めるというのも良かったです。

復活作として申し分ない作品でした。しかしこの次のアルバムは
ファンならご存知の通り、今作以上に賛否両論の作品となるわけですが・・・
次作で個人的には一時期の熱が冷めてしまったわけですが、
しかしこうやって過去の作品を振り返って聴いてレビューしてみれば、
やはりCoccoは天才だ。そう感じずにはいられないです。


2 件のコメント:

EruR249 さんのコメント...

先日はコメントをくださり、ありがとうございました。
実を言いますと、自分は、Coccoさんというアーティストを知ってからそれほど長くないのですけれども、『ザンサイアン』は自分にとっても驚きに満ちた作品でした。休止前のCoccoさんのイメージが自分の中にはあって、こんなにも変わってしまったのかと、ある意味では戸惑いもあったような気がします。

しかし、最後の「Happy Ending」を聴いた時、今までにない強い衝撃に見舞われました。それと同時に、Coccoさんの「唄い人」としての苦悩や紆余曲折、そして、今という瞬間。全部が伝わってきたのですね。おそらくこのアルバムと「Happy Ending」が、Coccoさんというアーティストを「好きだ」と言えるようになる決定打になったと思います。

それでは、これからもよろしくお願いします。

えむけー さんのコメント...

紆余曲折がありながらも、こうして歌手に復帰してくれたことが素直に嬉しいと感じました。
歌うことの喜びが伝わってくる作品でしたね。「Happy Ending」もまた名曲です。
こちらこそこれからもよろしくお願いします。