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2019年7月7日日曜日

[ライブレポ]  陰陽座、SEX MACHINEGUNS、摩天楼オペラ、BLINDMAN「PURE ROCK JAPAN LIVE 2019」

6月30日(日曜日)川崎・CLUB CITTA'にて開催されたライブイベント
「PURE ROCK JAPAN LIVE 2019 ~20th Anniversary~」に行ってきました。
出演者は、陰陽座、SEX MACHINEGUNS、摩天楼オペラ、BLINDMANの計4組。
音楽雑誌「WeROCK」「BURRN!JAPAN」などで活躍するライターの土屋京輔さんの主催により
1999年から始まったライブイベントで、今年が記念すべき20周年にして
初の2ヶ月連続開催が実現。その2日目に念願叶って行くことができました。

川崎クラブチッタに来たのは2年ぶり3回目。ちなみに前回来たのは
がんばれ!Victoryのラストライブが始まる前のついでに立ち寄ったアイドル対バンで、
その時のお目当ての1組がアンダービースティーでした(レポはこちら)
開演前にはクラブチッタの歴史を紹介する展示室に行ったりしていたので
ライブハウス内に入ったのは開演時間ギリギリでした。この時には既に満員で
観客数は前回来た時の3倍ぐらいはいるんじゃないかと。しかし聞いた話によると
これまでのピュアロックは前売りの時点でチケットが完売していたのに
今回は完売しなかったそうで・・・この事実には危機感を持たざるをえない。
完売しなかったから前日にチケットを取って行くことができたとはいえ複雑な気持ちだ。



・SEX MACHINEGUNS

[セットリスト]
・みかんのうた
・森のくまさん
・みどりのおばちゃん
・バイキンの逆襲
・愛人28
・BURN~愛の炎を燃やせ~
・桜島
・German Power

ご存知ジャパニーズメタル界でトップクラスの知名度と実力を誇る
自称インチキメタルバンド。まさかトップで出演するとは予想してなかった。
そうだと分かってたらもうちょい早く来て前の方に行ってたのに。
1曲目はいつも通り「みかんのうた」ということで何度聴いても最高に盛り上がるし、
加えて圧巻だったのが中盤のセットリスト。緑のカクテルライトに照らされながらの
「みどりのおばちゃん」には懐かしさを感じながらもギター演奏はエグいほどの実力を
見せつけてくれたし、さらにベーシストのSHINGO☆さんの「ハヒフヘホーー!」という
バイキンマンのセリフから始まる最新アルバム収録曲の「バイキンの逆襲」、
そして2000年代の傑作曲「愛人28」「BURN」といった、キーの高い曲も連発で
ボーカルのANCHANGの歌唱も高音連発。シャウトも決まりまくりで
前回でらロックフェスで観た時はキーの低い曲しかやらなかったのは一体なんだったのかと。
(レポはこちら)この日はボーカルも絶好調じゃないか!と心の中で歓喜するほどだった。

それに加えてMCではこの日もANCHANGのしゃべりが舌好調。今日のライブで
SEX MACHINEGUNSのことは好きにならなくてもいいけど、頑張ってるんだな、
まだやってるんだなというのは認めて欲しいと語ったのにはいきなり笑ってしまった。
さらに本日の出演者の1組である陰陽座の皆さんについて、
普段は「お前らも妖怪にしてやろうか!」と言っているバンドなのに
(なお実際には言ってません)楽屋ではお菓子を持ってきてくれるということを明かし、
ライブは激しいのに裏では優しい、これはメタル楽屋あるあるだという話をしてくれたのは
微笑ましかったし和んだ。さらにピュアロックを世界進出させたいという野望も語り、
陰陽座はアメリカだとスゴくウケそうだ、他人任せだと宣言した一方で
歌詞が伝わらないのがなぁ・・と言ってたのは確かにそうだなと納得してしまった。
マシンガンズは歌詞が分からないと面白さも魅力も半減だからなぁ。
英語でGreen old womanなどと歌っても通じなさそうだし。ライブ後半には
しゃべり過ぎたせいで1曲削るかといった冗談も飛び出したのにはツッコミたくなったが、
ラストナンバーの「German Power」では本来ならばジャーマンパワーと歌うところを
ピュアロックパワーと歌い、イベント主催者の土屋さんのことも歌詞の中に入れて
感謝の気持ちを曲で伝えながら最後にビシっと締めてくれたのは良かったですね。

これまで何度もライブを体験してきた中においても、今回が一番最高だった。
この日の観客は本当に良い時に観ることができたと思う。本日の出演者の中で
ボーカルに関しては唯一マシンガンズが心配と思ってたのも吹き飛ぶほどで、
この超満員の観客がより一層のパワーをくれたんじゃないかなとも思った。
次回以降もまた川崎クラブチッタの大舞台で活躍する姿が見たい。
9月にはTHE冠主催フェス「大冠祭」でまたこのクラブチッタのステージに立つことが
決まっているようで、こうなったらこちらにも行きたいところですけどね。



・BLINDMAN

[セットリスト]
・Now or Never
・Survive
・Rising Sun
・(Instrumental)
・The Tears of God
・Reach for the Sky
・The Touch of the Gray
・Being Human
・Living A Lie

1998年にデビューを果たした、ギタリストの中村達也さん率いるハードロックの至宝。
まず1曲目に最新アルバムリード曲の「Now or Never」を披露。
こんなにもガツンとした正統派ハードロックでありながらも、
楽器隊の奏でるメロディには透き通った美しさを感じられた曲で、
これぞピュアロックと呼びたくなるような傑作だった。
そして2曲目以降にはよりメタル色の強い曲もやってくれて思わずガッツポーズ。
何より圧倒的だったのはボーカルのRayさんの存在感。歌唱力はとんでもなくスゴいし、
それに加えてステージ上での立ち振る舞いが最強を証明していた。
サビで左右の拳を交互に上げたり、手の平を開いたりといった動きの数々は
初見で即座にマネできるほどキャッチーでありながらも迫力抜群でライブ感満載、
これには思わず一緒に拳を上げ下げせずにはいられないほど盛り上がった。
やっぱりバンドの男性ボーカリストは拳や筋肉を見せつけながら歌ってこそ最強だ。
楽器隊の皆さんの演奏も、バラード調のギターソロを聴かせる場面があったり
ピアノの音色をじっくり聴かせる曲もあったりと、聴きどころ満載。
なんでこのバンドはもっと有名にならないのか不思議に思えるほど最高のライブでした。
恥ずかしながらなんで今まで知らなかったのか・・・ 2000年代に一度解散したり、
再結成後にもメンバーチェンジを繰り返したりしながらも、20年以上に渡って地道に
活動を続けていたバンドだそうで、まさに継続こそ力なりというのが分かるバンドでしたね。



・摩天楼オペラ

[セットリスト]
・Human Dignity
・BURNING SOUL
・GLORIA
・Psychic Paradise
・MONSTER
・箱の底のMUSIC
・actor
・SNOW
・The WORLD
・PHOENIX

2007年結成、本日の出演者の中では最も若手となる5人組ヴィジュアル系メタルバンド。
以前からライブも体験してみたいと思っていたがこの日ようやく初見を迎えられることに。
まず序盤の1曲目から最新アルバムタイトル曲の「Human Dignity」、そして2曲目に
「BURNING SOUL」とぜひ聴きたかった疾走メタルナンバー連発でうおおーーーっ!と
テンション上がりまくった。これにはそりゃヘドバンしまくって応えるしかない。
そしてボーカルの苑さんの歌唱はCDで聴く以上にスゴかった。
このお方が以前からお世話になっているちづるさんの音楽ブログ「インテリジェンヌ」で
大西ライオン呼ばわりされてたボーカリストかと思ってしまったのはさておき(参照)
ハイトーンやビブラートを聴かせながら時折がなり上げるような歌い方をするのも好きで
あなたこそがライオンキングもといバンド界の王様だと思えるほどの歌唱だった。

さらに3曲目に披露された「GLORIA」はあまりにも華麗なシンフォニックメタルナンバー。
聴くもの全てを摩天楼のさらに上空の天国に誘ってくれるかのような、圧倒的スケール感に
思わず感動・・・これには観客の中にサイリウムを振って応える人たちも現れた。
バンドのライブでサイリウムを使うというのは滅多に見ない光景だが、
この曲にはそれも抜群に合っていた。ワンマンライブだと光の海になるのかな?

MCではボーカルの苑さんのみがしゃべる形で進行。そのしゃべりは
これぞTHEヴィジュアル系とでも紹介したくなるような、お上品な口調。
同じV系メタルバンドのボーカルでも自ら積極的に笑いを取りにいってしまうような
団長さんとは対照的だなと思ってしまった(レポはこちら)
まず最初に語ったのは、摩天楼オペラははピュアロックに最もふさわしい
ヴィジュアル系バンドであり、フェスというものは新たな音楽に出会う場所でもあるから
摩天楼オペラの音楽を好きになって欲しいといった内容。先ほどのマシンガンズとは
対照的なことを言ってるなと思ったし、むしろこれがバンドの本来のあるべき姿だ。
そしてライブ後半には最新アルバムについても紹介し、セットリストもその収録曲を
中心に披露。「actor」「SNOW」といった辺りはV系歌謡ロックに近い感じの曲で
ハードロックやメタルとは一味違うが、こういうのも良いなと思わせるほど
聴き手を引き込むものがあった。ラスト2曲では再びメタルナンバーで盛り上げて終了。
ようやくライブを体験出来て本当に良かった。文字通りクラブチッタで輝いてましたよ。



・陰陽座

[セットリスト]
・覇王
・覇邪の封印
・隷
・甲賀忍法帖
・蒼き独眼
・火車の轍
・焔之鳥
・鳳翼天翔
・羅刹
・無礼講

トリを務めるのは結成20周年を迎えた妖怪ヘヴィメタルバンド。
バジリスク~甲賀忍法帖でもおなじみのこのバンドのライブを初めて体験したのは
2008年の11月の和歌山GATEででした。当時はいろんなアーティストのライブに行き始めて
まだ間もない頃でしたが、この時点にして人生史上最高と言ってもいいほどのライブで、
さらにアンコール終了直後にはドラマーの斗羅さんがフロアに投げ入れたスティックを
ゲットすることもできました。こんなことはもちろん初めてでとても嬉しくて、
旧ブログに画像をアップして一生の宝物にしますと宣言したにもかかわらず、
その数ヶ月後に斗羅さんが陰陽座を脱退してしまうという、ブログ開設史上最大の
黒歴史となる事件が起きてしまい、決してそのせいで行きにくくなったわけではないが
それ以来本当に久しぶり、約10年半ぶりということで今回最も楽しみにしてました。

この10年半の間で何百ものアーティストのライブを体験して、
その後にあらためて観る陰陽座は、結論から言うとやっぱり史上最高レベルのライブでした。
男女ツインボーカル形式で歌われる和風メタルという、唯一無二の世界を作り上げていて
ベーシスト兼男性ボーカリストの瞬火さん(なお誕生日が私と同じらしいです)の
歌唱力と演奏も文句無しに素晴らしい。そして何より女性ボーカリストの黒猫さんの歌唱が
圧倒的過ぎる。ハイトーンやロングトーンに加えてサビの最後の超絶ビブラートには
拳を上げたまま聴き入ってしまい、放心状態になってしまうほどだった。
こんな体験をしたのは浜田麻里さんのライブ以来だ。
黒猫さんも麻里さんの領域に達してるとすら感じた。日本2大女性ボーカリスト。
さらに歌うだけでなく楽器隊の演奏に合わせて舞い踊る姿までもが華麗だというから
まさにモンスターであり妖怪だ。てか本当に人間の皮を被った妖怪なんじゃないの?
年齢は10万歳を超えてるんじゃないの?そう思えてくるほどスゴかったということですよ。

MCではリーダーの瞬火さんが、先ほどのマシンガンズのANCHANGの話に乗ってあげる形で
観客の皆さんに向けて「お前らも妖怪にしてやろうか!」と決めゼリフを放つ場面が。
なおこのセリフは「20年活動してきて初めて言いました」これには思わず笑ってしまった。
マシンガンズが絡むと陰陽座の皆さんまで面白くなるのかって。
さらに黒猫さんはMCになるとまるで若手女性アナウンサーみたいな元気印なしゃべりで、
妖怪感は全然無くなるよなと思ったが、それもまた愛嬌ということで良いんじゃないかな。

代表曲の「甲賀忍法帖」はポップな魅力を発揮した曲でメロディの綺麗さが際立ってたし
「鳳翼天翔」では歌唱の素晴らしさに加えてギターソロのスケール感に圧倒、
さらに「羅刹」では疾走感ありまくりのゴリゴリのメタルサウンドで
思いっきりヘドバンしまくってこの日トップクラスに盛り上がったし、
なんで10年間も行ってなかったんた、なぜ観る機会が無かったんだと後悔するほどだった。
ライブ後半のMCにて、瞬火さんがピュアロックに呼んでもらえたことについて
感謝の言葉を述べる一方で、普段はフェスやイベントに呼んでもらえない
バンドだからと言ってたのは唯一気になってしまった。ぜひもっと呼ばれて欲しいし
もっと多くの人達に観られる機会があって欲しいですよ。これほどまでの超実力派バンドが
フェスなどに滅多に呼ばれないのは、日本の音楽シーンの構造的欠陥だとしか思えない。
なお10月にはワンマンライブで奈良ネバーランドにも来てくれるということで
行きたいが8日は火曜日の平日なので行けないのが残念だ・・・休日なら行ってたのに。



・アンコール
陰陽座の皆さんが招き入れる形で本日の出演者全員がステージに再登場。
マシンガンズのANCHANGは登場するなり「お前らも藁人形にしてやろうか!」と言ったのには
笑ってしまった。来年のピュアロックにはマシンガンズと共にデーモン閣下も呼んで欲しい。
そしてアンコールの楽曲は全員でセッションという形で、JUDAS PRIESTの
「Living After Midnight」のカバーを披露。豪華メンバーによる歌唱の共演が良かったが
黒猫さんのソロパートが無いのは唯一惜しかった。メインボーカルでもいいぐらいなのに。


2019年の私的最優秀ライブは、本日のPURE ROCK JAPAN LIVEでほぼ決定いたしました。
例えばGOLD RUSHのようなインディーズ中心のサーキットフェスに出るバンドなども
若手らしく頑張っているのが伝わってくるバンドばかりで、それはそれで魅力的だが、
やっぱり20年前後もハイレベルな次元で活躍し続けているバンドは別格。
ハードロック・メタル系のバンドの楽曲は歌唱力が抜群に高くないと
歌えない曲ばかりだし、演奏技術も抜群に高くないと弾けないような曲ばかり。
全てにおいて実力が段違いでありながらも、それでいて4者4様の個性も
感じられたというのが何より最高だった。よくぞこれほどまでのライブイベントが
実現できたなと思う。なのでできれば川崎クラブチッタだけでなく全国でこういう
イベントやフェスをやってくれませんかね?それが今の私のピュアな気持ちですよ。



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