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2018年9月20日木曜日

[CDアルバムレビュー]  上坂すみれ「ノ―フューチャーバカンス」


上坂すみれ「 ノ―フューチャーバカンス 【初回限定盤A】」
(2018/8/1)

1. 予感03 (Instrumental)
2. POP TEAM EPIC  [公式PV]
3. 恋する図形(cubic futurismo)  [公式PV]
4. よっぱらっぴ☆
5. 地獄でホットケーキ
6. リバーサイド・ラヴァーズ(奈落の恋)  [公式PV]
7. 祈りの星空
8. 平成生まれ
9. Hello my kitty
10. チチキトク スグカエレ
11. ヤバい○○
12. 文豪でGO!
13. どうして!ルイ先生
14. アンチテーゼ・エスケイプ
15. 踊れ!きゅーきょく哲学
16. ノーフューチャーバカンス  [公式PV]
お気に入り度:★★★★★★★★ (8/10)




上坂すみれの3rdアルバム。前アルバム「20世紀の逆襲」は2016年の当ブログの
年間ベストアルバムで1位を獲得するほどの傑作で(レビューはこちら)
ありとあらゆるジャンルの音楽をすみぺ流に面白く聴かせる姿が最高だった。
だが今作ではまさかここまでデジタルポップ中心のアルバムになるとは意外だった。
2曲目に収録されているクソアニメ「ポプテピピック」主題歌の
「POP TEAM EPIC」がヒットした影響もあるのだろうか。
それでもアルバムオリジナル曲には数多くの名曲が詰まっているもので、
前半の楽曲だと4曲目「よっぱらっぴ☆」はキャッチーなユーロビートにのせて
お酒を飲みながら三国志を読んでいるところを歌ってるのがらしさ全開、
サビのキュートでパンチのきいた歌声もインパクト抜群。
5曲目「地獄でホットケーキ」も地獄の世界を面白く描いた歌詞が最高レベル、
いずれも本人作詞ではないにもかかわらずここまですみぺらしさが出てるのがスゴい。

後半の楽曲だと10曲目「チチキトク スグカエレ」がお見事な迷曲テクノチューン。
父親が危篤で早く帰ろうとしている時に脳内でお相撲さんが登場するというのは
どういうことなんだとツッコミたくなったが、いやこれはただのお笑いではなく、
それぐらい頭が混乱しきってるんだ、焦燥しきっているんだという姿を
描いた曲に違いない・・・そう考えると妙に納得できるものがあった。
12曲目「文豪でGO!」も「♪う~~~ん ドストエフスキー!」のキラーっぷりが半端ない。
今作では数少ないロシア要素でもあったしヘンテコポップな曲をスパシーバ。
そして13曲目「どうして!ルイ先生」は今作のマイベストソング。
MOSAIC.WAV作詞作曲の電波ソングでありながらも、
歌詞が素晴らしき応援ソングに聴こえる。人生は遺伝なんかでは決まらないんだ、
「♪あなたはできる子なのよ!」とすみぺに言ってもらえて元気百倍です。
イントロのコーラスがfripSideっぽいのも何気にツボにはまった。

その一方で3曲目などデジタルポップ系の中でも地味な印象の曲がいくつかあったのと、
何より前作にはElements Gardenのメンバーが提供したロックナンバーや
人間椅子のメンバーが提供したメタルナンバー、さらにはロシア民謡風の楽曲などが
宝石箱のように詰まっていたのが素晴らしかったのに、今作にはそういった曲が無いのが
残念に感じてしまった。編曲の多様性という点で後退してしまったように感じる。
前作が人間椅子ならば今作では筋肉少女帯もしくは聖飢魔Ⅱのメンバーから楽曲提供を
受けたりとかあったならば一層面白かったはずなのに。さらにはロシア・東欧風音楽ならば
バックドロップシンデレラから楽曲提供を受けても面白そうだなと思うのに。
せめてElements Gardenの曲があればなぁとか、あと前作もそうだったが
R.O.Nさんには1曲目のインスト曲以外にもロック系の曲を提供してくれたらなぁとか思った。
歌詞や楽曲の世界観は相変わらずブッ飛んだ曲もあるし、他と比べれば十分個性はあるが
サウンド的には万人ウケしやすいポップス路線で統一感をもたせたのかなという印象で、
それではすみぺのアルバムとしては魅力半減な気がする。もっとめちゃくちゃした上で
それらを程よくポップに聴かせるという挑戦を続けて欲しい。前作の方こそが
すみぺのフルパワーが発揮されていたアルバムだった。こちらの記事でも書いた通り、
当ブログ管理人のような、自分の(音楽)趣味を他人から理解してもらえない人にとっては
すみぺは希望の星だったんだ。かつてNHKFMの今日は一日ハードロック・ヘヴィメタル三昧の
放送を聴いて「うぅ・・癒されます」とツイートしてくれたことは今でも忘れられない。
こういうこと言ってもいいんだなと、救われる人がここにいた。それならば今作にも
1曲ぐらいはメタルナンバーを入れて欲しかったし、なおかつ相撲も好きというならば、
次作こそはデーモン閣下から楽曲提供を受けて欲しいですね。来年2月からは
ライブツアーも始まるということで行きたいなと思ってるのでこれからも期待したいです。







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