6月2日(日曜日)奈良公園春日野園地 特設野外ステージにて開催された 「ムジーク・プラッツ2019 沖縄音楽フェスト ウタめぐり、島めぐり」に行ってきました。 毎年5月~6月にかけて奈良市内を中心とした各会場にて行われるフェスもといコンサート 「ムジークフェストなら」の一企画である野外コンサートで、今年が計7回目の開催。 音楽フェスといってもコンセプトは「クラシックを中心とした上質な音楽」であり ロックバンドなどはほとんど出ないし泥臭い音楽ばかりの自分とは無縁のフェスに思えて 地元でありながらこれまでは一度もライブに行ったことは無かったが、 そんな中でも数多くのライブの中から探せば興味を惹かれるものは見つかったわけで。 当ブログではこれまで登場回数は少なかったが、沖縄音楽は元々好きだったのに加えて 家から近いし何より入場無料ということから初めて行ってみることに。 なお今回の出演者でトリを務める宮沢和史さんは、前所属バンドであるTHE BOOM時代の 2013年に奈良県のかしはら万葉ホールでライブを開催してくれたのを観に行ったこともあり (レポはこちら)その時も計13公演ぐらいしか無かったはずの全国ツアーの会場の1つに ここを選んでくれたというのだから、奈良とは縁の深い歌手。 約10年活動していても全国ツアーで関西2府4県の中で奈良だけライブをやらないような バンドも数多くいるのに(参照1)(参照2)こうして何度も来てくれるというのは 本当にありがたい。ということでまずは13時50分開始の宮古島出身歌手のHIRARAさんから 観る予定だったはずが、駐車場のあるミ・ナーラ近辺からのバスが渋滞で30分以上 遅れたせいで間に合わず・・・さらに14時25分からの池田卓さんも予定時間を過ぎて 間に合わないかと思いきや、まだ始まってませんでした。ウチナータイムに助けられた。 会場内にはビニールシートが敷かれていて、座ってのんびりと観られるように なってるのは良かったですね。棒立ちはしんどいから。さらに中央付近には モッシュピットエリアもとい「ダンスエリア」も設けられていたがそこにいた人達は ほとんど棒立ちに近かった。アップテンポ曲ならばもっと踊ってもいいのに。 後方には沖縄料理の屋台もあってソーメンチャンプルーを買えたのも良かったし さらに写真撮影は全面OKで、SNSで拡散を呼び掛けていたのも印象的。 これだけのものが入場無料で楽しめるというのは最高。さすが県を挙げてやってるだけある。 ・池田卓 西表島・船浮出身のシンガーソングライター。 船浮は人口40人ほどの集落で、車道が通じておらず船で行くしかないそうで、 こんな最果ての秘境の地で生まれ育っただけある、生命力を感じる歌声を聴かせてくれた。 沖縄音楽の歌手は歌が上手くないとなれないよなと思った。「島の人よ」は特に良かった。 西表島はまだ行ったことがなくて写真でしか見てないけどその風景が目に浮かぶし いつか行きたい。プロフィールによると船浮で音楽イベントを毎年開催してるとはスゴい。 ・上間綾乃 2012年にメジャーデビューを果たした沖縄本島出身の女性シンガーで 個人的には宮沢和史さんと並んで期待が高かった歌手の1人。 この日は5人組バンド編成で登場。1曲目のアップテンポ曲を聴いた時点で モノが違うと感じた。どこまでも広がる青い海のようなスケール感溢れるメロディと 美しい歌声は、さすがメジャーでアルバムを5枚もリリースしている歌手なだけある。 2曲目にはこの後ご本人登場となる「島唄」のウチナーグチバージョンのカバーを披露し、 さらに3曲目には「ソランジュ」、そしてライブ後半からは三線を手にとって 弾き語り形式で歌ってくれた。美人さんで歌声も綺麗、この先何かのきっかけで 夏川りみさんのようにヒット曲が出て紅白歌合戦出場なんてことになっても 全然驚かないと言えるぐらいに良かったですね。 ・三線&カチャーシーレッスン 今回の沖縄音楽フェストでは観客向けのパンフレットなどに、三線を持っている人は 会場に持参してきて下さいという案内が。そしてこの場で三線を持ってきた人達と一緒に 「島唄」「唐船どーい」を演奏。一般人による参加型フェスというのは貴重。 ・奈良県・沖縄県交流タイム 今回の司会担当でもありYouTuberとしても活躍中の、奈良県出身の沖縄芸人 「せやろがいおじさん」がふんどしを着て登場。そしてまずは沖縄についての 豆知識を次々と披露。その中で高校野球熱が非常に高いことを紹介。 1990年に沖縄水産高校が県勢で初めて甲子園の決勝まで勝ち進んだ時は ものすごい盛り上がりだったそうだが、その決勝で惜しくも敗れた対戦相手が 奈良県の天理高校で、せやろがいおじさん自身は天理高校出身だということから、 沖縄県民の前では自分の出身校を言うと恨まれそうなので添上高校出身だということに してるという話はちょっとだけ面白かったかな。でもそれならば天理高校の野球部員に 奈良県民は非常に少ないということも最後にオチとして用意してくれたら完璧だったのに。 さらにステージにせんとくんが登場したり、県知事の言葉の代読があったりした後、 6月23日は沖縄慰霊の日という紹介があり、平和への願いを込めたメッセージが。 やっぱり音楽こそが世界平和に通じる、人種や国境を超えて楽しめる最高のものですよ。 ・大工哲弘with苗子 1948年石垣島生まれ、八重山民謡の第一人者である大工哲弘さんが 夫人の苗子さんなどをバンドメンバーに加えた4人組編成で登場。 前出演者の池田卓さんや上間綾乃さんは沖縄ポップスだったのに対してこちらは 本格的な民謡を歌う。1曲目には数多くの歌手がカバーする「安里屋ユンタ」に始まり 大ベテランらしい貫録の歌声をたっぷりと聴かせてくれたのは良かった。 だがその一方でMCの方はオヤジギャグが多くて個人的にはかなり厳しい内容だった。 今日は奈良公園で鹿のフンを踏んだから、ライブでフンとう(奮闘)するだとか、 あと奈良といえば豆腐だということで、豆腐を使ったダジャレも何か言っていたけど 内容は忘れた。てか地元民としては奈良イコール豆腐のイメージが無いのだが・・・ ・宮沢和史 [セットリスト] ・星のラブレター ・風になりたい ・世界で一番美しい島 ・ダイナミック琉球 ・島唄 ・シンカヌチャー (アンコール) ・ハリクヤマク ご存知の通りTHE BOOMのボーカルとして世界的ヒット曲「島唄」などを生み出した歌手で バンド解散後はソロ歌手名義で活動。この日はまず1~3曲目まで THE BOOM時代の楽曲を歌ってくれたというのは意外だった。 「星のラブレター」はスカ系楽曲で「風になりたい」はラテン系楽曲、 沖縄要素はどこいったんだって感じだが、しかしそんなことは関係ないと言えるぐらい この時点から会場は一気に盛り上がった。さすが格が違うと言えるライブステージ。 MCではまずバンドメンバー紹介があったが、メンバーの出身地は沖縄、大阪、北海道から アルゼンチンまでいるというから、音楽は国境を超えて楽しめるものだというのが分かる。 歌声が素晴らしいのは言うもでもないが、MCでのしゃべり声もシブくてカッコいいし 自分も年齢を重ねたらこういう感じの大人の男性になりたいなと思える。 4曲目に披露された「ダイナミック琉球」では、これまでコーラスとして参加していた アルゼンチン出身女性歌手の大城クラウディアさんがメインボーカルをとることに。 ツインボーカル形式による歌は圧倒的ダイナミック、本日の優勝が決定した瞬間だった。 そして世界的ヒット曲「島唄」をじっくりと聴かせてくれたかと思えば、 「シンカヌチャー」では琉球國祭り太鼓の皆さんが登場してステージを盛り上げ、 さらにアンコールの沖縄民謡カバー「ハリクヤマク」では観客の皆さんに向けて 立ち上がって踊ろうと呼び掛ける。するとたちまち観客達が次々とカチャーシーを 踊り始めて会場全体がダンスエリアと化した。この日一番の盛り上がり。 ならば当ブログ管理人もカチャーシーを踊ろうということで両手を上げて手首を ヒラヒラさせながらステップを踏むも、阿波踊りとの違いがいまいち分からない(汗) ともあれ最後に沖縄音楽フェスの醍醐味を味わえたということで楽しかったですね! ・フィナーレ 出演者全員で「島唄」「唐船どーい」を披露。これぞ夢のコラボと呼ぶに ふさわしいステージだった。このメンバーでCD化して欲しいと思える。 終わったのは予定よりも45分押しの18時20分頃。そりゃウチナータイムですからね。 沖縄はウタの島。綺麗なメロディと情感たっぷりな歌唱の魅力に ゆったりと浸ることができて、こういうフェスもいいなと思えました。 ジャンルとか関係なく良いものは良い。この「ムジークフェストなら」は 様々なジャンルの良質な音楽を届けるというコンセプトなはず。でもそれならば尚更、 個人的にはやっぱりロックフェス的なライブもやって欲しいと思うんですよね・・・ 公式サイト内の検索機能を使って出演者を調べてみても、ジャンルの欄のロックで検索して 出てきたバンドは、90年代に日本語直訳ロックでブレイク経験のある「王様」ぐらい。 せっかく最近になってAge Factoryやスピラ・スピカなどといった地元出身の 楽しみな若手バンドも台頭してきているというのに、それらの活躍の場は全然無いし、 奈良県は保守的というか、クラシックやジャズこそが上質な音楽であり 一方でJ-POPやロックは下に見られるという風潮がまだあるのかとも思ってしまう。 その点では県を挙げてイナズマロックフェスを開催するような滋賀県がうらやましい。 せっかく奈良公園にこんな立派なステージを組むのであれば、 来年からは沖縄音楽フェスの計1日だけで終わりではなく、 2日目にはそれこそ全国どこでも開催されているような バンド勢が活躍する音楽フェスをやるというのはどうでしょうか?
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2019年6月16日日曜日
[ライブレポ] 宮沢和史、上間綾乃、他「ムジーク・プラッツ2019 沖縄音楽フェスト ウタめぐり、島めぐり」
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