水樹奈々「 NEOGENE CREATION(初回限定盤)(Blu-ray Disc付)」 (2016/12/21) 1. めぐり逢うすべてに 2. STAND UP! 3. Please Download 4. ALONE ARROWS 5. TWIST&TIGER 6. Rock Ride Riot 7. はつ恋 8. JEWEL 9. UNLIMITED BEAT 10. WAKE UP THE SOULS 11. STARTING NOW! 12. GLORIA 13. RODEO COWGIRL 14. 君よ叫べ 15. 絶対的幸福論 お気に入り度:★★★★★★★★★★ (10/10) 水樹奈々の通算12枚目のオリジナルアルバム。 今作ではアニソン界の歌姫完全復活! アニメタイアップのシングル曲は1曲のみだが そんなことは関係なく、近年のアニソン系アーティストの楽曲の魅力が凝縮された作品。 王道ポップス中心の1st~4thアルバムと、Elements Gardenの提供による 抜群のスケール感を持った楽曲を中心とした5th~9thアルバムの ちょうど中間あたりの作風で、良いところを総取りしたようなアルバムになっている。 このことが何よりも嬉しく思うのですよ・・・ まず1曲目「めぐり逢うすべてに」はピアノイントロから始まるバラード曲。 夢に向かって一歩ずつ進もうとする姿を情感たっぷりに歌いあげてくれる。 2曲目「STAND UP!」は今年9月の甲子園ライブでいち早く披露された曲。 序盤から野球に例えた歌詞が数多く登場する曲で、これはぜひ阪神戦の試合でも 攻守交替の間あたりで球場内に流して欲しいと思いますね(笑) たとえ大人になったとしても、人生という名のグラウンドには まだまだ多くの夢や希望が詰まっているんだと感じさせてくれる傑作曲。 歌唱に元気をもらえるし、編曲にアイリッシュっぽいアレンジが加わっているところも スケール感があって良い。曲名はフィールド・オブ・ドリームスとかの方が 良かったんじゃないかと思うほど。それだとDoAsの名曲とかぶるか。 3曲目「Please Download」はats-の楽曲提供によるEDMチューン。 ats-とは誰なのかを調べたら自動列車停止装置・・ではなく元HΛLのメンバーだったとは これまた懐かしいエイベックス所属アーティストの名前が出てきた。 ボーカルにはエフェクトがかかっているが、それでいて奈々様の歌唱の魅力も壊れてはいない。 このバランス感覚は絶妙。今作の曲の中では最も斬新なアレンジに感じられた。 4曲目「ALONE ARROWS」はシンフォニックアレンジの効いたポップチューンだが Elements Gardenメンバーの編曲では無いんですね。歌詞も含めて近年のアニソンの王道。 5曲目「TWIST&TIGER」はブラスロックサウンドに加えてピアノの速弾きが活躍する、 ダンサブルでノリノリな曲。今風のバンドっぽくてこちらもまた斬新。 6曲目「Rock Ride Riot」はイントロの掛け声の時点から一気に盛り上がる ハイパーデジタルポップチューン。言うまでもなく好きな路線の曲ですよ。 7曲目「はつ恋」は和テイストに溢れた歌謡ロックナンバー。 かつては演歌歌手志望だっただけあって、やっぱりこういう曲こそ 最も歌唱の魅力が発揮されているように思う。聴き惚れてまうやろ・・・ 来年開催予定の出雲大社ライブで歌えばより一層絵になること間違いなし。 8曲目「JEWEL」はバラード調のラブソング。自作の歌詞がストレートに伝わる。 並の歌手が歌っていたならば普通の曲だったがやはり歌唱の魅力が段違い。 9曲目「UNLIMITED BEAT」はエレガの上松さん作曲のシンフォニックメタル。 ロングトーンが響き渡る歌い出しの時点から圧巻。 これぞ今作のクライマックスといってもいいほどにドラマチックな傑作曲。 10曲目「WAKE UP THE SOULS」はバンドサウンドにデジタルビートが融合した曲で このような華やかな曲を、高い歌唱力で情熱的に歌いあげるのを聴けることが 近年のアニソン系アーティストの大きな魅力だなと思う。 11曲目「STARTING NOW!」はこちらのシングルレビューで書いた通りの初期路線の名曲。 この曲しかシングル曲になっていないことが何だか惜しく感じてしまう。 12曲目「GLORIA」は王道デジタルポップとロックとストリングスサウンドが融合した、 ある意味今作を象徴するような曲。このような華やかな曲を(以下10曲目と同じ) 13曲目「RODEO COWGIRL」は11曲目同様に初期の路線に近い王道ポップチューン。 サビの「♪あいあいあいあい」は一度聴いただけで耳から離れない。 ライブで思いっきり盛り上がれること確実な曲。カウガール姿の奈々様も見てみたい。 14曲目「君よ叫べ」はアニソン的な比喩表現が光る歌詞と 抑揚の大きなサビの歌唱がスケール感抜群のシンフォニックロックナンバー。 作詞作曲ともに自作でこういう曲を作ってくれたことが嬉しい。 間奏のストリングスがこれまた神懸かり的なまでにエモーショナル。 編曲はエレガの藤永龍太郎さんって初めてみる名前ですね。新人とは思えない。 15曲目「絶対的幸福論」はラストを飾るラブバラード。 歌詞的には最もストレートな曲で、並の歌手が(以下8曲目と同じ) 前作ではこれまでには無いような新たな挑戦を見せた曲もあった半面、 やはり年齢的な意識もあったのか、どちらかというと音楽通が好みそうな 大人のポップスも増えた印象で、もしも今後この路線が中心になってしまうようならば 少し気持ちが離れてしまいそうになるなぁと思ってたが・・・ 今作では高い歌唱力があるからこそ歌える、壮大な迫力を感じられる芸術性に溢れた曲と ポップでエンターテイメント性に溢れた曲とが共存した、多種多様な楽曲に加えて たとえ年を重ねたとしてもそんなことは関係ないとばかりに 夢と希望がたっぷり詰まった歌詞のメッセージが響く、 これぞアニソン系アーティストの曲世界の魅力を全面に感じる作品を作ってくれた。 圧倒的歌唱力を生かした作品という点では、惜しくも活動休止となった 藍井エイルさんの穴も私が埋めるんだと言わんばかりに、 トップランナーが本領を発揮してくれたのではないかと思うほどだった。 何やら行きつけのブログの検索ワードでは「水樹奈々 失速 2016」なんてのがあったようだが(参照) 今作を聴けば少なくとも音楽的には全くそんなことないぞ!むしろ前作より加速しているぞ! と言いたくなる。最後の最後で2016年を代表する名盤アルバムに出会えた。 これには年間ベストもどんがらがっしゃんとひっくり返りそうで嬉しい悩みですよ。
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2016年12月30日金曜日
[CDレビュー] 水樹奈々「NEOGENE CREATION」
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