三上ちさこ「 Emergence 初回盤」 (2020/10/7) 1. Inner STAR [MV] 2. re:life(Album Mix) [MV] 3. ヌード [MV] 4. ひかりの淵で ~in the Darkest Light~ 5. go on 6. ユートピア (Album Mix) [MV] 7. TRAJECTORY-キセキ- [MV] 8. 羽化 9. Super Civilization 10. Red Burn [MV] 11. sNow letteR [MV] 12. SA (Samurai Anthem) 13. 聖域 14. ホーム・ステイ・ホーム★ お気に入り度:★★★★★★★★★☆ (9.5/10) 三上ちさこの通算4枚目(現公式サイトでは2枚目扱い?)のソロアルバム。 2000年にfra-foaのボーカリストとしてメジャーデビュー、そして2005年に解散後は ソロ歌手に転向。途中に活動休止期間などを挟むも2017年から再び本格的に活動再開。 バンド時代は初期のCoccoさんのようなダークテイストで激情型のバラード曲を 歌うイメージが強かったのに対し、現在は楽曲・歌唱ともに全体的に穏やかになった印象。 にもかかわらず歌声はなぜこんなにも胸に響くのか。 切なさを帯びた美声でありながらも抜群に刺さる、エモーショナルな歌声は まさに歌手になるために生まれてきたかのようで、これぞ歌姫と呼びたくなる。 まず1曲目「Inner STAR」はその歌声の魅力を存分に引き出したミドルチューンで 誰もが持っている、自分自身の中にある光を呼び覚ましてくれる曲。 歌詞もなんて素晴らしいんだとあらためて実感。三上さん自身も苦労を重ねた先に 辿り着いた歌なのかなと思う。これには共感できると同時に希望をもらえる。 最初聴いた時はサビの「批判されても 自分信じ抜くんだ」が特に良いなと思いきや 歌詞カードを見たら正しくは「♪見放されても 自分信じ抜くんだ」だった。 こう聴こえるってことは自分が子供の頃から何よりも批判を恐れてるからなのかなぁ。 2曲目「re:life」は軽快で爽やか、そして伸びやかな歌唱が楽しめる曲。 サビでシャウトする場面は久しぶりだなと思いつつも、 バンド時代とは違って楽しくシャウトしているところが生まれ変わったと感じる。 3曲目「ヌード」は一転してダークで剥き出しの感情を歌う曲。 ストリングスアレンジに重厚感がありつつもバンド時代とは一味違うテイストがいい。 4曲目「ひかりの淵で ~in the Darkest Light~」は ピアノとストリングスを加えてしっとりと聴かせるバラード曲。 5曲目「go on」はまさかのレゲエテイストでカラっと聴かせる。 6曲目「ユートピア」はイントロの木琴のメロディの良さからして一発で惹かれた。 ポップでありながらも深みがある。一緒に寄り添いながら歌ってくれてるような曲だ。 「♪99人が僕を馬鹿にしたとしても 君の一歩を踏み出す勇気になればいい」 こんなこと歌えるなんてスゴい。その歌が希望になる。 7曲目「TRAJECTORY-キセキ-」はNHK BSの「ワースポ×MLB」テーマ曲として 野球好きには知名度の高い曲なのではないだろうか。サビの高揚感抜群、 ハイトーンかつビブラートを加えた歌唱にもたまらなくシビれさせられる。 自分も休日の草野球の試合前にカーステレオで聴く曲の定番となってしまった。 8曲目「羽化」は切ないバラード曲でありながらもサビで力強さを増すギターサウンドで グッと盛り上がるところはfra-foa時代を彷彿させるものがある。懐かしさ感じる名曲。 9曲目「Super Civilization」はラップを組み込んだミクスチャーロックながらも サウンド自体はFMラジオで流れそうな洗練された感じで意外性がある。 10曲目「Red Burn」は野球独立リーグ・福島レッドホープスの応援歌で グラウンドという名の大地を駆け抜けるかのような圧倒的パノラマ感。 Cメロの展開と歌声の美しさには感動すら覚えるほど。文句無しの傑作! 11曲目「sNow letteR」は永遠の別れを歌った、泣ける歌詞とメロディが印象的な曲。 こういうテーマの曲は重過ぎて気軽に聴けないこともあるものだが この曲は抑揚に富んだサビメロの良さが抜群だから何度でも聴ける。 12曲目「SA (Samurai Anthem)」は打ち込み系サウンドのノリの良さに加えて イントロからうおおおおおおおおというコーラスが入るところも最高に盛り上がる。 「♪左中間へ伸びろ 弧を描き大きく翔べよ」この爽快感たまらんと思いきや こちらの楽曲解説によるとMLB番組主題歌をきっかけに交流があるという シンシナティ・レッズの秋山翔吾選手をモデルに作った曲らしい。そうだと思った。 ちなみに個人的には音楽を聴く上で全く重視しないポイントなのだが、 この曲も歌詞が聞き取りにくい部分があるよなぁ。「♪SAMURAIの PRIDE」が 「声援のグラウンド」って聞こえたがこれでも意味通じるからなぁ。 13曲目「聖域」はほぼアカペラに近いほどにシンプルなピアノバラード曲で これが実質ラストナンバー。14曲目「ホーム・ステイ・ホーム★」は 可愛げな歌唱が意外にも程があるボーナストラック的な弾き語り楽曲。 先行シングル曲の時点から期待度が非常に高かったが本当にその期待に応えてくれた。 前アルバムはリード曲の「1004」以外は全体的にそこまで大きくハマらずで 本来の歌声の魅力を十分に引き出せていないと感じる曲もあったのに対し、 今作はバラードもアップテンポ曲もメロディが良いからこそ歌唱も歌詞も生きまくり。 fra-foa時代のようなダークで重厚な世界観を求める人達からすれば 近年のソロ作品の数々には賛否両論があるのかもしれないが、 以前からは想像もつかないほどに音楽性の幅を広げたことは進化で間違いない。 加えて野球応援歌路線もバンド時代からすれば想像できなかったよなと思うが それもまた自称野球人の俺的にはドハマリというわけで、 当ブログにてカムバック賞をあげたいと思える。よくぞ表舞台に帰ってきてくれた!
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2020年12月22日火曜日
[CDアルバムレビュー] 三上ちさこ「Emergence」
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