野水いおり「 Hat Trick(初回限定盤)(DVD付)」 (2013/8/21) 1. h@trick. 2. 小さな恋のメロディ 3. *** パショナート 4. WISH 5. SAVE MY HEART 6. MICRO DISTANCE 7. 君と永遠に同じ夢を見る 8. サイレン 9. BREATHLESS 10. ストロベリーレイン 11. Signalize 12. SAVE THE WORLD 13. Black † White お気に入り度:★★★★★★★★☆ (8.5/10) 声優歌手、野水いおりの1stフルアルバム。 「ロリータVロック」というコンセプトをもとに作られた作品です。 いかにも声優といった感じの甘い声質と、音程が十分にとれていない不安定な歌唱で、 「吹けよ嵐 鳴りひびけ稲妻」などと歌った、衝撃のメロスピナンバー 「*** パショナート」から約1年、待ちに待ったアルバムリリ-スとなりました。 アニメ声でハードロック系の曲を歌う歌手といえば妖精帝國が思い浮かびますが、 しかし妖精帝國が歌詞や楽曲やバンド全体の世界観をしっかりと作り込むことで、 ゴスロリ歌姫バンドとして完全に独自の芸術性を持つアーティストに化けたのに対し、 野水いおりは、その安定しない歌唱のせいもあり、同じロリータロックでも どことなくB級感を漂わせているのが最大の特徴ではないかと。 しかしこの、触れれば壊れてしまいそうな危うさを持った歌唱が、 楽曲に危うい雰囲気を与えており、個性や萌え要素にもなっていると言える・・かも。 声質は耳に残る良い声をしてますし、楽曲はどれも良い曲ばかり。 1曲目「h@trick.」はシンフォニックで幻想的な曲世界が良い。 そして2曲目「小さな恋のメロディ」は、なんと筋肉少女帯のカバー。 ちなみに妖精帝國も最新アルバムでは筋少の曲をカバーしており、 これには、そんなところまで似せるのか!と思わずにはいられませんでした。 しかしいざ聴いてみると、原曲のメタルサウンドにキラキラ感をプラスしたアレンジが 歌声にうまくハマっていて、良かったです。そもそも原曲が素晴らし過ぎる上に、 ボーカルの音程に関しては本家とそう大差無いような気もするのですんなり聴けた。 Aメロ部分で1人2役をやるかのように歌声の色を変えるのはさすが声優だなと。 さらにアルバム中盤にはアイドルポップ系の曲も収録されており、声質には合っている。 伸びやかなサビが印象的な8曲目「サイレン」は、本人なりに頑張って 歌っているのは伝わってくるが、これだけサビで音を伸ばす曲は もっと上手い人が歌えばさらなる名曲になるのになと。 9曲目「BREATHLESS」は疾走感のあるロックナンバーで好きな曲調。 歌唱については不安定ながらも必死についていこうと一生懸命歌っているだけに、 サビの「息もできなくて」という歌詞に説得力を感じてしまう。 そして今作のアルバム曲の中で意外なほどに良いと感じたのが、 10曲目の「ストロベリーレイン」。可愛らしい歌唱が聴けるバラード曲でありながら、 サビで「血の味がした」という歌詞が出てきたのにはドキっとさせられた。 甘さの中にもトゲを持つ名曲。北出菜奈の曲を思い起こさせるような芸術性を感じました。 ラスト曲は、シングル曲にもなった「Black † White」。 この曲も「*** パショナート」同様に破壊力を持った楽曲で素晴らしい。 この歌声でこんな曲を歌うのかというギャップに、面白さを感じずにはいられないです。 1stフルアルバムとしては全体的にまずまずの作品だと感じましたが、 やはり課題は歌唱力でしょう。歌手を名乗る以上はさらなる向上を望みたいところ。 1回聴いた感じではインパクトがあって面白いが、何度も聴きたいかと聞かれれば、 歌唱的にちょっと厳しいかなと思う曲もチラホラあっただけに・・・ 歌の上手い歌手の作品は、何度でも繰り返して聴きたいと思う。 さすがに次作でいきなり水樹奈々や高垣彩陽レベルの歌唱を期待するのは酷でしょうが、 少しでもそれに近づく努力をしてくれることを期待したいです。
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2013年9月23日月曜日
[CDレビュー] 野水いおり「Hat Trick」
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