8月は、今まで忙しくてなかなか聴けなかったCD作品を、新作旧作ともに片っ端から聴きました。 おそらく、約30作品ぐらいは聴いたのではないでしょうか。 そんな数々の作品の中で、最も素晴らしいと思った作品を今日はレビューしたいと思います。 レビュー需要があるかどうかなんてのは今回は関係無しです! 例え需要ゼロだったとしても絶賛レビューを書かずにはいられない、そんな作品、それではいってみましょう。 ザ・コブラツイスターズ「 日本見聞ロック」 (2006/7/26) 1. 東京ひより 2. ラッセロック 3. どっこい どっこい 4. 激流 5. 島風 6. 感謝感激日本晴れ ~優しき女神たち~ 7. 鬼いかし 8. 冬の川 9. 抜け殻 10. 自分に勝とう お気に入り度:★★★★★★★★★★ (10/10) 2006年にリリースされた、ザ・コブラツイスターズの6thアルバム。 これが残念ながら、彼らにとっての最後のオリジナルアルバムとなってしまいしまた。 このアルバムを、擬音で分かりやすく表現するなら 「ラッセーラー ラッセーラー」 「はっけよいよい あ~~~ どすこい どすこい」 「えんやこらーせーの どっこいせー」 「ダンス ダンス ダンス ハイハイ」 というアルバム。これぞ日本伝統のお祭りだ!と思わせてくれるアルバムです。 この作品はラストにして、彼らの作品の中でも最高傑作といえるアルバムになったのではと思います。 なぜもっと早く聴かなかったんだと我ながら後悔するぐらいの作品でした。 まず1曲目は、これぞ演歌ロック、それでいながら所々にGSの要素まで入ったサウンドにのせ、 田舎から東京に出てきた人たちの悲哀を、ユーモアたっぷりに歌う「東京ひより」。この1曲目からしてとんでもない名曲。 そして2曲目は、青森ねぶた祭りの「ラッセーラー」という掛け声に、男気あふれる歌詞とサウンド、 さらには「太宰治」や「ゴッホ」といった哲学的な雰囲気のする歌詞までが登場する「ラッセロック」、 さらに3曲目は、三味線の音とバンドサウンドの融合、民謡ロックというべきサウンド、 まるで、日本人の魂の奥底を動かすかのごとく、思わず踊り出したくなる「どっこい どっこい」。 この前半3曲からしてどれも素晴らしい、唯一無二の個性を放つ日本のロックを作り上げています。 そしてそれ以降の曲も、沖縄の三線の音が響くバラード曲で、この島の美しい風景が 思わず浮かんでくるかのような「島風」、今作では最もストレートでポップなバンドサウンドが、 まさしく晴れの日のような爽快感を存分に感じさせてくれる「感謝感激日本晴れ」、 このアルバム唯一のラブソングとでもいえる曲で、今では遠く離れてしまった、会いたい人への気持ちを思う、その切なさ、哀愁をこれでもかとばかりに感じさせるバラード「冬の川」、 三線の音や「イーヤーサーサー」という掛け声が響く、沖縄テイストのサウンドにバイオリンの音を融合させ、そして歌詞は高校球児たちの夏が終わった姿を描いたという、これまたとんでもない発想の曲「抜け殻」など、本当にどれも良い曲ばかりです。 そしてラストの「自分に勝とう」は、「ザ・世界仰天ニュース」という番組の加藤大応援ソングの第2弾として(ちなみに、第1弾は1stアルバム収録の「夢の旅人」で、第2弾がこの曲です) 聴いたことがある人も多いのではと思います。この曲もラストを締めくくるには良い曲だったと思います。 そんな傑作揃いの今作の中でも一番すごかったのは、7曲目に収録されている「鬼いかし」。 人里を離れて鬼になってしまった現代人の姿を描いたという、まるで日本昔話の現代版のような歌詞と、このアルバムの収録曲の中でも最も骨太で、重厚なロックサウンドが合わさり、 まるで、鬼が暴れ狂うかのような激しさ、そして全身の血が騒ぐかのような興奮に襲われる。 ラストの「ダンス ダンス」と激しく叫ぶところなんかは、これぞ魂の雄叫び。 すさまじいまでの迫力に、圧倒されました。文句無しの大傑作といっていい曲でしょう。 この作品は、鹿児島県と沖縄県の県境の島である与論島出身の、ボーカルの川畑さんと、 青森県出身の、ギターの相馬さんなどによって作られた、 まさに地元の音楽、そして全国の伝統音楽を存分に取り入れられたロック作品。 アルバムタイトル通りの、日本の様々な風景が描かれたかのような作品です。 ただこの作品は、はっきり言って、若い女性たちにウケるイメージは全くありません。 ここ数年にわたって流行している、女子高生やギャルに人気の、スイーツな着うたR&Bラブソングとは、何もかも180度違うといっていい世界です。 こういう作品が世間的に評価されない、というか評価される機会すらなかったという、 近年の日本の音楽シーンには、悲しさを覚えてしまいます。 そして近年の、若い女性にウケなければ売れないというような風潮は、 結果的にこのような個性と男気あふれるバンドを消すことになってしまう、 それは音楽の多様性や可能性を狭めているようにすら思えてきて、残念です。 私にとって、「漢の中の漢」な歌手は、某レゲエ歌手ではなく、ザ・コブラツイスターズです。 この作品は、全国のお祭り男、お祭り女にぜひ聴いて欲しい作品。 そして、全国の夏祭りや秋祭りの会場では、ぜひこのアルバムの曲をどんどん流して欲しいと思います。 残念ながらこのバンドはもう解散してしまいましたが、それでも、今からでもお祭り会場でこの曲たちを流して欲しい、そして再評価されて欲しいと、そう思わずにはいられないような作品でした。
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2010年9月1日水曜日
[CDレビュー] ザ・コブラツイスターズ「日本見聞ロック」
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