KOTOKO「 イプシロンの方舟 <通常盤>」 (2009/10/14) 1. ε~Epsilon~ 2. リアル鬼ごっこ 3. -∞-DRIVE 4. scene 5. 雨とギター 6. 限界打破 7. モネラの絆 8. ハヤテのごとく! 9. RI←SU→KU 10. HELLION 11. Geoglyphs 12. BLAZE 13. LITTLE BABY NOTHING お気に入り度:★★★★★★★★★★ (10/10) 2009年にリリースされた、KOTOKOの4thアルバム。 この歌手もまた、アニメやゲームなどの主題歌を中心とした活動をしているアーテイストですが、 実はこのアルバムを聴いた最初の頃は、個人的にはそれほどハマらなかったのです。 しかし、これが聴けば聴くほどどんどんハマっていき、今ではすさまじい作品だと気づくまでになりました。 この作品は、音楽ジャンル的にはトランスやハードポップといったあたりに属するわけですが、 その1曲1曲の作りこみっぷりがすごい。どの曲もデジタル主体なのに重厚で、 軽さや安っぽさは全く感じない。サウンド面では、電子音だけでなく ギターやピアノなどの他楽器の使い方も絶妙、 さらに、KOTOKOさん自作の歌詞も軒並みレベルが高く、 しかもそれに加えて、アルバムのジャケット写真などからも分かるように、 まるで宇宙を感じるかのような、スケール感のある楽曲が多い。 1曲目の「ε~Epsilon~」などはまさにこのアルバムの象徴といっていいようなタイトル曲。 しかし、このジャンルの歌手のアルバム作品には、初期のm.o.v.eといい初期の玉置成実といい、 「シングル曲に比べるとアルバム曲が・・・」 「ノリノリのアップテンポ曲に比べるとミディアム~バラード曲が・・・」 という傾向がありがちなように思うのですが、 ところがこのアルバムではそういうことが全く無い。 全曲シングルカットしてもいいぐらい、どの曲も質にブレが無いし、 さらに曲調においてはむしろ2、6、7曲目などのミディアムテンポ曲の方が より一層素晴らしいぐらい。 その中でも特にすごいのが、「リアル鬼ごっこ」「モネラの絆」。この2曲では、 ジワジワと胸にくるようなメロディにのせて、終末的な世界観を、優しく美しく包み込むかのように歌い上げている。 これには、何ともいえない独自の芸術性を感じる。 これをあえて他のアーティストの曲で例えるなら、Do As Infinity「科学の夜」にも似たかのような芸術性、しかしやっぱりそれともまた違う。 やっぱりこれはKOTOKOさん独自のワールドといっていい。 そしてもちろんアッパーチューンにおいても、夏を感じるラブソング「Geoglyphs」、 サビへいくほどに疾走感や歌詞の力強さを感じる「BLAZE」などは 特に聴いてて気持ちいいですし、ラスト曲「LITTLE BABY NOTHING」では 男性ボーカルとのデュエットといった飛び道具が出てくるのもまた面白い。 アルバム終盤の9曲目からラストまでの流れは圧巻といっていいです。 さらにKOTOKOさんのボーカルも、甘く優しい声質がベースでありながらも、 10曲目のようなロック色の強い曲など、力を入れるべきところは力強く歌うなどして 曲の場面によって歌唱の表情を変え、それぞれの曲の良さを十分に引き出している。 本当に、聴きこむほどに新たな発見ができるかのような、奥深くて素晴らしい作品です。 最近の日本で流行している、歌って踊る系統の電子音楽たちと比べると、もはや次元が違いすぎる。 これぞ異次元トランスといっていいでしょう。つくづく最近のアニソンはレベルが高い・・・
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2011年8月14日日曜日
[CDレビュー] KOTOKO「イプシロンの方舟」
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