クラムボン「 2010」 (2010/5/19) 1. serendipity(インスト) 2. KANADE Dance(インスト) 3. NOW!!! (2010 ver.) 4. SUPER☆STAR 5. JAPANESE MANNER 6. Ka-Ka-KaLMa! 7. Sooo,Quiet 8. ハレルトマヂカ 9. tiny pride 10. 4hands_cp_waves (1/4)(インスト) 11. Aspen 12. あかり from HERE (clammbon side) 13. Bug -fughetta-(インスト) クラムボンの通算8枚目のアルバム。 以前に、2001年リリースの3rdアルバム「ドラマチック」を聴いた時は、とても良い作品だと思いました。 それ以来久しぶりに彼らのアルバムを聴いてみたわけですが・・・ まず、1曲目がインストで、そして2曲目もインストという時点で、 やはりこのアーティストは、完全に我が道を行くアーティストなんだなということが分かります。 今作はゆったりとした曲が多く、それでいながら徹底して音に深みを出そうと意図された編曲がなされています。 特に、ピアノの音の細かい旋律の繰り返しや、ボーカルの原田さんの浮遊感ある歌唱には、 幻想的な雰囲気を感じる、ポストロック的な音楽だなと感じさせるものがあり、 これはハマる人はハマる音楽だろうなと思いました。 しかし個人的には、非常に聴きづらい作品でした。 とにかく同じような旋律の繰り返しが多くて、曲がなかなか前に進まずで、 これはダラダラしてるというか、メリハリが無いとしか思えずで・・・ 何より、肝心のメロディ、特に歌メロの弱さはとても残念で、 歌メロ重視の私としては、この作品にはほとんど良さを感じることができませんでした。 彼らもかつては、シングル曲では「サラウンド」や「残暑」などといった、 キャッチーで歌メロが良く、それでいて独自の編曲センスも感じることができるという名曲も作っていました。 アルバム「ドラマチック」においても、作品全体からパワーを感じることができ、 アッパーな曲からバラード曲までメリハリがしっかりとついた作品を作っていました。 その頃の面影は、今作には無いです。初期の頃とは全く別のバンドになってしまったといっていいでしょう。 まずこのバンドは、シングルをここ数年リリースしていないという時点で、 2001年の頃のようなキャッチーな売れ線の曲を作る気はもう無いのだろうなと思います。 既に一定のファンはついているからもうこれ以上は別にいいや、我が道を行くぞという考えなのでしょうか。 もともと私は、売れることだけ考えてるとしか思えない曲ばかり作る歌手ってのは好きじゃないんですが、 それとは逆に、売れることを完全放棄したとしか思えない歌手っていうのも、 それはそれでメジャーアーティストの姿勢としてはどうなんだろうかと・・・ そんなことを考えさせられてしまいました。 「サラウンド」や「残暑」の頃の路線が好きだっただけに・・・ 万人ウケとは程遠い作品ですが、独創的で幻想的な雰囲気が大好きで、 それでいて歌メロは別に重視しないという人なら、この作品を聴いてみてもいいかもしれません。
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2010年9月26日日曜日
[CDレビュー] クラムボン「2010」
2010年9月24日金曜日
[CDレビュー] Do As Infinity「NEED YOUR LOVE」
Do As Infinity「 NEED YOUR LOVE (DVD付)」 (2005/2/16) 1. For the future 2. Blue 3. BE FREE 4. 楽園 5. Ever.. 6. one flesh 7. ROBOT 8. 夜鷹の夢 9. Ultimate G.V 10. Need your love 11. 菜ノ花畑 お気に入り度:★★★★★★★☆ (7.5/10) Do As Infinityの6thアルバム。 この作品は、アルバムタイトルから分かる通り、広い意味での「愛」をテーマにした作品で、 それは恋愛だけでなく、様々な切り口から愛の必要性を歌いかけています。 例えば7曲目の「ROBOT」では、仕事に追われ、心を失くしてしまった人の姿を歌った曲で、 同時にこの曲には、やはり人間は「愛」をなくしてはいけないなと感じさせるメッセージ性があります。 そして何よりこのアルバムには、反戦への強いメッセージが込められているのも特徴です。 「夜鷹の夢」は、コソボ紛争により撃墜された爆撃機、F117ナイトホークのパイロットの姿を描き、そして、戦争の恐ろしさ、愚かさをこれでもかとばかりに歌った曲。 「どんな正義をかざしても 流れ出る深紅の血を 止められはしない」 この歌詞にはすごく胸を打たれるものがありました。 そしてやはりこの曲にも、人類一人ひとりに「愛」さえあれば戦争なんて起こらないのにという、 そんなメッセージ性を感じることができます。 この2曲は文句無しに素晴らしい曲です。ですが・・・ 実はこの作品は、ファンの間からもかなり賛否両論の作品で、 実際これまでのアルバム作品と比べると、上記の7、8曲目などの一部を除いて、 全体的に楽曲が浅くなってしまった印象を受けてしまいました。 まず、今作では亮さん作詞の曲が計5曲あるのですが、この5曲の中では、 シングル曲にもなった「楽園」は、8曲目同様に反戦へのメッセージが込められた曲で 「憎んでも何一つ生まれない」「そんなのもういらない」という歌詞は、 シンプルながらも普遍的なメッセージで、良かったと思いますし、 そして伴ちゃんの優しくも力強く訴えかけるかのような歌唱も良かったです。 しかし、それ以外の曲の歌詞は・・・ どれも浅いなと思わざるおえない内容でした。 3曲目の「がー」「だぁー」とかは特に、もはや投げやりというか適当っぽく感じるし、 さらには「!!」の多用なども・・・ 以前までの曲にはこんな歌詞はほとんど無かったんですけどね。 何より、川村サイコさん名義の作詞曲である7、8、11曲目の歌詞と比べると、 はっきりと歌詞の質・レベルの違いが分かってしまう・・・ また、長尾大さん作曲のメロディについても、5、6曲目あたりは何回聴いても印象に残らなかったり、しっかりと作りこまれてないように感じた曲がチラホラと出てきた気がしました。 これでもトータル的には決して悪い作品ではないのですが、 やはり、1st~5thアルバムまでがあまりにも素晴らし過ぎたせいもあって、 相対的に今作は陰りがみえてしまったのではという部分が目立った気がします。 この後に彼らはシングル「TAO」をリリースして、そして一度解散してしまうわけですが、 この解散発表を聞いたときは、やっぱりもうこれ以上素晴らしい曲を作り続けるのは厳しかったからなのかな、もはや限界だったのかな・・・ と思いました。 「For the future」では限界目指せとか歌ってたけど。 でも、仮にこれ以上続けても曲の質がどんどん下がっていってしまうぐらいなら、 いっそのことスパっと解散してしまうのも潔いのかなと・・・ その時はそう思いました。 でもやっぱりしばらくすると、解散は惜し過ぎる、復活してくれと思いましたけどね! 2008年に復活、そして、この解散前の作品を軽く超えるレベルの復活アルバム作品を作ってくれて本当に良かった。
2010年9月17日金曜日
[CDレビュー] Do As Infinity「DEEP FOREST」
Do As Infinity「 DEEP FOREST」 (2001/9/19) 1. 深い森 2. 遠くまで(Album Ver.) 3. タダイマ 4. Get yourself 5. 翼の計画 6. 構造改革 7. 恋妃 8. Week! 9. Hang out 10. 冒険者たち 11. 遠雷 お気に入り度:★★★★★★★★★ (9/10) 2001年にリリースされた、Do As Infinityの3rdアルバム。 ハードロック系の曲が多かった前作とはまたも作風が代わり、今作ではポップ色が強くなったように感じました。 いわば、売れ線に近い作品となり、実際にオリジナルアルバムでは最大のヒット作品となりましたが、 ただ、アルバムタイトルは「DEEP FOREST」ですが、ディープさでいえば1st・2ndの方が上だと思いました。 しかしその代わり今作では、聴く人たちを優しく包み込んでくれるかのような曲が多いのが特徴です。 1、3曲目などがその代表格で、実際ファンからの人気も高い曲です。 個人的には、5曲目の「翼の計画」には10代の頃すごく癒された記憶が今でもあります。 歌詞といい、伴ちゃんのこの美しい歌声といい、爽快感満点のバンドサウンドといい、全てがあまりにも綺麗な曲。 さらには「遠くまで」も、歌詞はシンプルですが、この深みのあるポップ&ロックサウンドには 同じく10代の頃ハマりまくった記憶があります。 さらには、このアルバムの先行シングル曲にもなった「冒険者たち」は 彼らのロック系の曲の中でもとりわけ歌詞が素晴らしいです。 今この瞬間から始まる、旅立ちへの高揚感を存分に感じさせてくれる曲で、 つくづくこういう曲は、本当に大好きなタイプの曲なんですよね・・・ さらに今作では、曲のバリエーションについても、 ブラスバンドとスクラッチ音が、曲の勢いを思いっきり盛りたてている「構造改革」や、 和の雰囲気や切なさを感じさせつつも、同時に力強さも感じさせてくれるサウンドとボーカルが印象的な「恋妃」などは、1st、2ndアルバムには無かったようなタイプの曲であり、 この3rdアルバムにてまた新たな一面を見せてくれたと思います。 ただ今作は、前後のアルバム作品と比べると、あまりにもすご過ぎる圧倒的なまでの曲というのが無かったように感じたのと、4、9曲目が少し弱いかなと思ってしまいましたが、 それでも、作品としての質の高さは十分過ぎるぐらいに保証された作品でございます。 決して聴いて損することはないでしょう!
2010年9月2日木曜日
[CDレビュー] 水樹奈々「IMPACT EXCITER」
水樹奈々「IMPACT EXCITER」 (2010/7/7) 1. TIME TO IMPACT EXCITER(インスト) 2. NEXT ARCADIA 3. ミュステリオン 4. Silent Bible 5. Young Alive! 6. SCOOP SCOPE 7. DRAGONIA 8. 夢幻 9. 夏恋模様 10. 恋の抑止力-type EXCITER- 11. PHANTOM MINDS 12. ストロボシネマ 13. 囚われのBabel 14. アルビレオ 15. Don’t be long 16. 7月7日 お気に入り度:★★★★★★★★★ (9/10) 水樹奈々さんの通算8枚目のアルバム。 個人的に、前作で初めて彼女のアルバムを聴いた時は衝撃的で、しかも聴き込めば聴き込むほど ジワジワとその衝撃にやられるような感じでした。まさにこれぞ水樹サウンドとでもいうべき、 奥が深くてなおかつドラマチックな世界観を持った曲ばかりでした。 ただそんな曲の数々に若干慣れたこともあってか、前作ほどの衝撃度は 個人的にはなかったのですが、それでも、今作もまた十分に彼女独自の世界観を 楽しむことのできるアルバムだったと思います。 前作に引き続いて、歌謡曲的なメロディ、雰囲気を感じさせる曲が多いですが、 その中にアレンジの壮大さと、ロック・メタルからピアノバラードまでの様々なジャンルの音楽の融合があるのが見事。 そしてこれらの曲を抜群の歌唱力で歌い上げる、水樹さんのボーカルはやっぱりさすがとしか言いようがないです。 ちなみに、サウンドの方は、ピアノの音や電子音のアルペジオなどの細かい部分が 何気にツボにハマることがあり(2、5曲目とか特に)、 聴けば聴くほど曲構成の深さを感じることができます。 しかしこれ、演奏する方は大変なんじゃないかなと思いますが・・・ そんな今作の中でも圧倒的に素晴らしいと思った曲は、7曲目の「DRAGONIA」。 二胡をとり入れた東洋的・大陸的なサウンドと、太古から現代までを振り返り、 そして未来へと突き進んでいくかのような歌詞の世界観が合わさることで、 まるで龍が突進してくるかのようなパワーと、スケール感をこれでもかと感じさせてくれる。 本当つくづくこういう曲は大好きなんですよね。 最近の、アニソンと呼ばれる音楽の数々には、このようにまるで現実を超えるかのような 壮大な世界観を持った曲があるのが好きです。その代表格が水樹奈々さんの曲といえるでしょう。 これからもこの調子でがんばって欲しいです。 こういう、ドラマチックなJ-POPとでもいうべき音楽をやってるアーティストというのは 有名アーティストの中は意外といない気がするので、 多少マンネリになったとしてもこの路線を中心にしていけばいいと思いますし、 その中において、今までにない新しい要素もどんどんとり入れ続けていけば (今作でいうと7曲目の二胡など)なお良いと思いますね。
2010年9月1日水曜日
[CDレビュー] ザ・コブラツイスターズ「日本見聞ロック」
8月は、今まで忙しくてなかなか聴けなかったCD作品を、新作旧作ともに片っ端から聴きました。 おそらく、約30作品ぐらいは聴いたのではないでしょうか。 そんな数々の作品の中で、最も素晴らしいと思った作品を今日はレビューしたいと思います。 レビュー需要があるかどうかなんてのは今回は関係無しです! 例え需要ゼロだったとしても絶賛レビューを書かずにはいられない、そんな作品、それではいってみましょう。 ザ・コブラツイスターズ「 日本見聞ロック」 (2006/7/26) 1. 東京ひより 2. ラッセロック 3. どっこい どっこい 4. 激流 5. 島風 6. 感謝感激日本晴れ ~優しき女神たち~ 7. 鬼いかし 8. 冬の川 9. 抜け殻 10. 自分に勝とう お気に入り度:★★★★★★★★★★ (10/10) 2006年にリリースされた、ザ・コブラツイスターズの6thアルバム。 これが残念ながら、彼らにとっての最後のオリジナルアルバムとなってしまいしまた。 このアルバムを、擬音で分かりやすく表現するなら 「ラッセーラー ラッセーラー」 「はっけよいよい あ~~~ どすこい どすこい」 「えんやこらーせーの どっこいせー」 「ダンス ダンス ダンス ハイハイ」 というアルバム。これぞ日本伝統のお祭りだ!と思わせてくれるアルバムです。 この作品はラストにして、彼らの作品の中でも最高傑作といえるアルバムになったのではと思います。 なぜもっと早く聴かなかったんだと我ながら後悔するぐらいの作品でした。 まず1曲目は、これぞ演歌ロック、それでいながら所々にGSの要素まで入ったサウンドにのせ、 田舎から東京に出てきた人たちの悲哀を、ユーモアたっぷりに歌う「東京ひより」。この1曲目からしてとんでもない名曲。 そして2曲目は、青森ねぶた祭りの「ラッセーラー」という掛け声に、男気あふれる歌詞とサウンド、 さらには「太宰治」や「ゴッホ」といった哲学的な雰囲気のする歌詞までが登場する「ラッセロック」、 さらに3曲目は、三味線の音とバンドサウンドの融合、民謡ロックというべきサウンド、 まるで、日本人の魂の奥底を動かすかのごとく、思わず踊り出したくなる「どっこい どっこい」。 この前半3曲からしてどれも素晴らしい、唯一無二の個性を放つ日本のロックを作り上げています。 そしてそれ以降の曲も、沖縄の三線の音が響くバラード曲で、この島の美しい風景が 思わず浮かんでくるかのような「島風」、今作では最もストレートでポップなバンドサウンドが、 まさしく晴れの日のような爽快感を存分に感じさせてくれる「感謝感激日本晴れ」、 このアルバム唯一のラブソングとでもいえる曲で、今では遠く離れてしまった、会いたい人への気持ちを思う、その切なさ、哀愁をこれでもかとばかりに感じさせるバラード「冬の川」、 三線の音や「イーヤーサーサー」という掛け声が響く、沖縄テイストのサウンドにバイオリンの音を融合させ、そして歌詞は高校球児たちの夏が終わった姿を描いたという、これまたとんでもない発想の曲「抜け殻」など、本当にどれも良い曲ばかりです。 そしてラストの「自分に勝とう」は、「ザ・世界仰天ニュース」という番組の加藤大応援ソングの第2弾として(ちなみに、第1弾は1stアルバム収録の「夢の旅人」で、第2弾がこの曲です) 聴いたことがある人も多いのではと思います。この曲もラストを締めくくるには良い曲だったと思います。 そんな傑作揃いの今作の中でも一番すごかったのは、7曲目に収録されている「鬼いかし」。 人里を離れて鬼になってしまった現代人の姿を描いたという、まるで日本昔話の現代版のような歌詞と、このアルバムの収録曲の中でも最も骨太で、重厚なロックサウンドが合わさり、 まるで、鬼が暴れ狂うかのような激しさ、そして全身の血が騒ぐかのような興奮に襲われる。 ラストの「ダンス ダンス」と激しく叫ぶところなんかは、これぞ魂の雄叫び。 すさまじいまでの迫力に、圧倒されました。文句無しの大傑作といっていい曲でしょう。 この作品は、鹿児島県と沖縄県の県境の島である与論島出身の、ボーカルの川畑さんと、 青森県出身の、ギターの相馬さんなどによって作られた、 まさに地元の音楽、そして全国の伝統音楽を存分に取り入れられたロック作品。 アルバムタイトル通りの、日本の様々な風景が描かれたかのような作品です。 ただこの作品は、はっきり言って、若い女性たちにウケるイメージは全くありません。 ここ数年にわたって流行している、女子高生やギャルに人気の、スイーツな着うたR&Bラブソングとは、何もかも180度違うといっていい世界です。 こういう作品が世間的に評価されない、というか評価される機会すらなかったという、 近年の日本の音楽シーンには、悲しさを覚えてしまいます。 そして近年の、若い女性にウケなければ売れないというような風潮は、 結果的にこのような個性と男気あふれるバンドを消すことになってしまう、 それは音楽の多様性や可能性を狭めているようにすら思えてきて、残念です。 私にとって、「漢の中の漢」な歌手は、某レゲエ歌手ではなく、ザ・コブラツイスターズです。 この作品は、全国のお祭り男、お祭り女にぜひ聴いて欲しい作品。 そして、全国の夏祭りや秋祭りの会場では、ぜひこのアルバムの曲をどんどん流して欲しいと思います。 残念ながらこのバンドはもう解散してしまいましたが、それでも、今からでもお祭り会場でこの曲たちを流して欲しい、そして再評価されて欲しいと、そう思わずにはいられないような作品でした。
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