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2013年7月12日金曜日

[CDレビュー]  Aldious「District Zero」


Aldious「 ディストリクト・ゼロ (CD+DVD【限定盤】)」
(2013/5/15) 

1. Scrash
2. Misty Moon
3. Ground Angel (Album Version) 
4. 夜桜
5. Escape
6. Scabby Heart
7. Desolate Love
8. Raise Your Fist
9. White Crow (Album Version)
10. Re:peatedly
11. 菊花
お気に入り度:★★★★★★★★★ (9/10)




アゲ嬢ガールズメタルバンド、Aldiousの3rdアルバム。
昨年6月にボーカルのRamiさんが脱退、その後に元「推定少女」として
メジャーで歌手活動経験のあるRe:noさんが新ボーカルとして加入したものの、
先行シングル「White Crow」では歌唱力不足を感じてしまった上に、
歌い方や声質が前ボーカルとはかなり変わったことに、どうも慣れない部分がありました。

しかしいざ今作を聴いてみると、これはこれでいけるぞ!と感じました。
透明感の中にも妖しげでミステリアスな雰囲気を感じさせてくれるこの歌声が、
ハードなバンドサウンドの中に絶妙に溶け込んでいる。
その姿はまるで夜に舞う蝶のよう。それも前作までは深夜1時位に舞う
イメージだったのが、今作では深夜2~3時位に舞い踊っているかのように感じる。
これと似たような雰囲気を持つ楽曲を作る女性ボーカルバンドは、
他にはほとんど思い浮かばないです。
あえて挙げれば、中島美嘉が映画「NANA」で演じたバンドの曲のような雰囲気に
通ずるものがあるかもと思いました。こんなバンドが現実世界に出てきたのは面白い。

さらに歌メロについては4曲目「夜桜」に代表されるように、歌謡曲っぽいメロディが
増えたのも特徴で、これらの曲は80年代の中森明菜あたりの曲をハードロック調に
したような感じにも聴こえる。特に1~4曲目は、妖艶さを感じつつも
メロディアスでなおかつ疾走感があり、どの曲も素晴らしい。
過去に負った傷を乗り越えて突き進めと歌う「Ground Angel」は前半一番のお気に入り。
中盤以降の曲も「♪あなたは私を狂わせるペット」と歌う「Desolate Love」には
もはやアゲ嬢というよりSM嬢みたいだなと思いつつもドキっとさせられる。
「Raise Your Fist」のような前向きで力強い曲も味があって良いですし、
あなたと重なりたいと歌う「Re:peatedly」もセクシーで印象的。

そしてラストナンバーであるRe:noさん作詞作曲のバラードナンバー「菊花」は
今作の中でも一番のインパクトを感じた曲でした。
まさかここまで良質で心に沁みるメロディを作ってくれるとは正直思ってなかった。
歌詞はかなりダークな内容だがそれもまた良いと思えるぐらい、楽曲に美しさを感じる。
後半にいけばいくほどに盛り上がっていく編曲も素晴らしいです。
これだけの曲が作れるのならばRe:noさんはどんどん作曲をやればいいと思います!

ボーカルについては、やはり線の細さを感じてしまう部分もありますが、
それを補って余りあるぐらいに楽曲が良いので、
個人的にはCDで聴く分にはそれほど大きな問題ではないと思いました。
中低音中心の歌唱は1stアルバムの頃に回帰したとも言えるものの、
メロディの良さに関しては今作の方が上です。
しかしその半面、2ndアルバムでいう「Spirit Black」のような、
高音を思いっきり張り上げて歌う曲が無くなってしまったのには惜しさも感じる。
Re:noさんがこれからさらに高い声も出せるようになるぐらいに
ボーカリストとして成長してくれれば最高なのですが・・・
ともあれ他の女性ボーカルバンドとは違う個性を手に入れたことは確かだなと。
ライブではどれぐらい歌えるのか、さらには楽曲についてもあまりダークな方向に
行き過ぎてもどうかなと思ってしまうところはありますが、どうかこれからも
嬢メタルシーンを代表するバンドとしてのさらなる活躍を期待したいです。




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