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2010年4月21日水曜日

[CDレビュー]  THE ALFEE「新世界 -Neo Universe-」


THE ALFEE「 新世界-Neo Universe- (初回限定盤)(DVD付)1. Neo Universe PARTI 
2. LAST OF EDEN ~Neo Universe PARTII 
3. 新世界を越えて ~Neo Universe PARTIII
4. Zipangu 
5. この愛を捧げて 
6. GET YOUR CHANCE 
7. 初恋の嵐 ~Love Hurricane 
8. 風の詩 (Acoustic Version)  
9. リバプールから遠く離れて 
10. 夜明けを求めて (Album Mix) 
11. 桜の実の熟する時 (Album Mix) 
お気に入り度:★★★★★★★★★☆ (9.5/10)





THE ALFEEのニューアルバム。
誰もがご存知の大ベテランバンドでありながら、個人的にオリジナルアルバムを聴くのは初めてでした。
このアルバムは、作品のキャッチコピーに「メロハー」という言葉が使われていることからも分かる通り
前半を中心にメロディアスで叙情的な曲調のハードロックや、
メタル色の強い曲の数々が並ぶアルバムとなっています。
その中でも1~3曲目は、曲のタイトルを見れば分かる通り組曲のような構成となっており、これが本当に素晴らしい!
私はもともと一部のメタルバンドにあるような組曲は苦手で、あと10分前後あるような長い曲というのも、
集中力が5分までしか続かない体質である私にとっては軒並み苦手だったりするのですが、
(例外的に大好きなのはm.o.v.e「come together」「U.S.A」ぐらいです)
この組曲は全て4~6分台で、しかも単曲で聴いても質の高い作品であり、
ドラマチックでな上にキャッチーさも持ち合わせているというからすごいです。

前半の曲を中心に、激しいギターサウンドの中にも、3人の声のハーモニーの綺麗さがあり
そしてキーボードやストリングスの音も効果的に使われているので、
何ともいえない叙情性を感じる。そんな曲が多いです。
アメリカンロックのような雰囲気のするAメロから始まり、
そしてサビでさらに盛り上がるという「GET YOUR CHANCE」も、
さすが大阪国際女子マラソンの中継テーマ曲なだけあって良いですし、
先行シングルにもなった壮大なバラード曲「この愛を捧げて」といった曲も良いです。
さらに、後半にはアコースティックギターを生かした曲も収録されていて、
音楽性の幅の広さも感じることもできます。

そして歌詞の方は、相変わらず「立ち上がれ」など前向きで力強いものが多いですが、
今作のオリジナルアルバムではそれだけではなく、「黄金の国ジパング」と歌う4曲目や、
さらには曲のタイトル通り、リバプールが舞台として出てくる9曲目など、
まるで世界を旅しているかのような雰囲気を味わえる曲も入っており、
さらに極めつけは7曲目。初恋を歌った曲ですが、これがびっくりするぐらいスイーツな歌詞。
曲調はそれなりに力強いのですが、歌詞カードを見ると、なんと顔文字まで出てきてしまってます。
こんな歌詞の曲を、50代のみなさんが歌っているというのは面白いです!
アルバム全体の中でもいいアクセントになっている曲だと思いました。

さすがとしか言いようのない作品でした。完全に独自の世界観を確立してますし、
何よりこういう感じのメロハー、メタル的な音楽をやっているアーティストというのは、
最近の日本のメジャーアーティストでは他にはあまり思い浮かばないです。
単に私が知らないだけかもしれませんが・・・
でも、最近のバンドには無いような魅力がこのアーティストにあると感じたのは確かでしたね。



2010年4月17日土曜日

[CDレビュー]  ナナムジカ「ユバナ」


ナナムジカ「 ユバナ」
(2006/4/26) 

1. プロローグ 
2. くるりくるり 
3. 鳥の歌 
4. 君は宇宙 僕に月 
5. 風よどこへ吹く
6. UTAKATA 
7. ひまわり 
8. interlude 
9. BLUE FOREST 
10. 魚 
11. Ta-lila~僕を見つけて~
12. 七つの海 
13. イキル 
14. アメノチハレ 
お気に入り度:★★★★★★★★★☆ (9.5/10)




ナナムジカの1stアルバム。この作品は「輪廻転生」をテーマにしたアルバムです。
ブログレや民族音楽の要素を取り入れた、ポップスやバラード曲の数々にのせて、
この世で生きること、そして人を愛することの喜びと、切なさ、儚さを歌い、
そして同時にこの世の中にある希望、慈愛などを歌っています。
「くるりくるり」「君は宇宙 僕に月」「Ta-lila~僕を見つけて~」といった曲では
このアーティストの曲の最大の魅力である、何度でも生まれ変わって人は人を愛するという、
スケールの大きな、本当の意味での深い愛を歌い、
そして「魚」「七つの海」などといった曲では、愛することの儚さを歌う。
その一方で「風よどこへ吹く」「アメノチハレ」といった曲では、
生きることへの希望を歌い、そして聴く人の背中をそっと押してくれるかのような曲を歌っています。

そして、そんな曲の数々を歌っているのが、ボーカルの西島さんです。
そのあまりにも美しすぎる声。どこか切なくも、それでいて力強さを持っていて、
そして何より、母性を感じる。圧倒的なまでに。まるで、この世の中の全てを、優しく包み込むかのような・・・
まるで、女神が降臨してきて、そしてこの世の人々たちに歌いかけているかのような・・・
聴けば聴くほど、心に浸み込んでくる。そんな声、そして曲の数々です。

今回の収録曲の中で、一番そういった、母性、深い愛情というものを感じたのは、
6曲目に収録されている「UTAKATA」の、サビの部分です。
「服を脱ぎなさい この乳房を吸いなさい」
こういう歌詞は、他の歌手が歌えば、それこそ恥ずかしいとかスケベだとか思われかねないでしょう。
しかし、彼女たちが歌えば、芸術作品になる。そこまでの、圧倒的なまでの愛を歌った作品だから・・・


こんな素晴らしい1stアルバムをリリースしたナナムジカは、その後も、
シングル曲では「心音」という大傑作を生み出し、
さらには「彼方」では今までにないようなスリリングな曲展開を見せ、
そして「Sora」ではのだめオーケストラと共演するなど、音楽性の幅を
さらに広げていってましたので、この調子だと2ndアルバムは、
1stをも超えるすさまじい作品なるのではと期待してました。
期待してたのに・・・ 

しかし、あくまで現在は「活動休止」であって、解散はしていません。
なので、きっとまた、生まれ変わって彼女たちに出会えることを期待しています。


2010年4月14日水曜日

[CDレビュー]  北出菜奈「I scream」


北出菜奈「 I scream」
 (2006/12/6) 

1. Star Killer 
2. 私は時限爆弾 
3. ラムのラブソング 
4. 論より証拠。 
5. 13日の金曜日
6. dark snow angel 
7. Sweet frozen kiss 
8. 赤い髪の女の子 
9. m’aider 
10. 希望のカケラ
11. Innocent world 
12. 不自由な朝 
13. BASKET CASE
お気に入り度:★★★★★★★★★☆ (9.5/10)





北出菜奈さんの2ndアルバム。
以前このブログで絶賛した、3rdアルバムを聴いた後にこちらの作品も聴いたわけですが、
こちらもまた、傑作アルバムでした。

この2ndアルバムから、彼女は自ら「お姫様」「ゴスロリクイーン」などと名乗り、
そのダークさと可愛さが絶妙に融合したような、日本独自のファッションを身にまとい、
そして、音楽においても、そんなゴスロリクイーンにふさわしいといえる、
独自の世界観を確立いたしました。
可愛くも痛快なロックやポップス、しかしそれでいてどこか影の部分もある、
時には優しく、時には鋭い、時には明るく、しかしそれでいてトゲもある、そんな曲の数々。
1曲目から、甘く優しく歌いかけるような歌唱と、
「私は星を殺し生きる」「優しい嘘が ナイフを隠して刻み付けるの」といったダークな歌詞、
この二面性がまた何ともいえない魅力を感じるバラード曲「Star Killer」、
まずこれでジワジワとこの作品の世界に引き込まれ、
そして痛快なロック曲の「私は時限爆弾」にて、一気に爆発。
その後も、ロック・パンク系の曲では「論より証拠」「13日の金曜日」
「希望のカケラ」などといった曲がどれも素晴らしいですし、
バラード曲の「m’aider」「Innocent world」といった曲も良いです。
さらに、縦笛の音が印象的なサウンドが、まるで童謡のような懐かしさと
少女っぽさを感じさせてくれる「赤い髪の女の子」もアルバムの中では
絶妙なアクセントになってますし、とにかく、見事としか言いようがない作品です。

このように、まさにビジュアルと同様の、ダークさと可愛さが絶妙に融合した音楽を歌う彼女は、
女性ロック歌手の中で、最も「歌姫」という称号がふさわしい歌手でしょう。
「ジャバニーズ・プリンセス」として海外でウケたのも分かる気がします。
しかし、そんな彼女は現在では、lovelessという新バンドにて、インディーズでの活動となっているようで・・・
個人的には、やはりメジャーにて、そして海外において、
日本の歌姫代表としてバリバリ活躍して欲しかった気持ちもあったんですけどね・・・


2010年4月5日月曜日

[CDレビュー]  HIGH and MIGHTY COLOR「傲音プログレッシヴ」


HIGH and MIGHTY COLOR「 傲音プログレッシヴ(期間限定)」
 (2006/4/5) 

1. 一輪の花 
2. for Dear... 
3. {Here I am}  
4. 宝石の涙 
5. 水玉ラムネ 
6. 背徳の情熱
7. 罪 
8. リアルワールド 
9. A PLACE TO GO 
10. STYLE~get glory in this hand~
11. パールシャドウ 
12. 黒アゲハ舞う丘 
13. 星空に降る雪 
14. ガーデン オブ MY ハート
お気に入り度:★★★★★★★★★★ (10/10)





HIGH and MIGHTY COLORの2ndアルバム。
1stアルバムでは、曲自体はどれも良いのに、その半面アルバム曲においては
何かと未熟さも目立ってしまった感がありましたが、今作では、
曲の完成度、迫力ともに増し、音楽的に大きく飛躍を遂げたアルバムとなりました。


マーキーさん(当時)とユウスケさんによる、男女ツインボーカルというスタイルに加えて、
ヘヴィな一面とポップな一面が絶妙に共存し、お互いを引き立てているかのようなサウンドの数々、
これぞ、唯一無二という言葉がふさわしい音楽です。
それでいてどの曲もメロディが良く、歌メロ、サビの良さも際立っているというのがすごいです。
しかしその一方で個性も強く、特にユウスケさんのボーカルスタイルは聴く人を選ぶ感があるので、
最初はとっつきにくいと思う作品かもしれませんが、聴き込めば聴き込むほどにハマっていく、
そんな作品になっていると思います。(私自身がそうでした)


何よりこの作品は、アルバム曲が本当に良い曲ばかりです。
というより、1.10曲目のシングル曲よりも、アルバム曲の方が良いぐらいです。
5~7曲目や、11~14曲目の流れは最高といっていいでしょう。
その中でも特に素晴らしいのは、まずは6曲目の「背徳の情熱」。
ヘヴィなロックに民族音楽の要素を取り入れた、どこか神秘的な雰囲気が漂う曲。
それだけでも素晴らしいといえる曲なのですが、さらにすごいのは間奏の曲展開!
これは聴き込むほどに鳥肌が立つぐらい、すさまじい。
アルバムタイトルの「プログレッシヴ」という言葉にふさわしい、大傑作といっていいでしょう。
それに並ぶぐらい素晴らしい曲は、11曲目の「パールシャドウ」。
このアルバムの中では3曲目と並ぶぐらいの、超ハードな曲で、
その圧倒的なまでの疾走感と、荒々しさ、しかもそれが後半にいけばいくほど加速していくというのだから、これは本当にすごいです。つくづく、こういった曲が世間的に全く知られていないのが惜しい・・・


それ以外の曲でも、7.13曲目ではダークでシリアスな雰囲気が何ともいえない奥深さがあり、
その一方で、2.5.9.14曲目ではポップで可愛らしい一面も見せており、
どれもギターサウンドの重さとポップさが融合したサウンドが見事です。
その中でも2曲目の「for Dear...」では友情、旅立ちを歌った曲で、
重厚なサウンドに、明るさと切なさと激しさが交錯するかのような曲展開が素晴らしいです。
これぞハイカラの真骨頂といえる曲ではないかと思います。


そして、前作では不安定さが目立ったマーキーさんのボーカルも今作ではかなり良くなってます。
それでも3曲目あたりはあともう一押し欲しかった感もありましたが、
でも、もとから声質が良いのと、あと何よりこれだけ1曲1曲が素晴らしければ、
もはやそんな細かい技術面なんてどうでもよくなります。


この作品は大傑作! 2006年リリースアルバムの中でも屈指の作品といえるでしょう。


2010年4月4日日曜日

[CDレビュー]  ガガガSP「無責任一家総動員」


ガガガSP「 無責任一家総動員」
(2005/3/9)

1. 祭りの準備 
2. ヘイミスターアンダーグラウンドマン 
3. 私鉄沿線
4. 僕は君のおもかげを追っているんだろう 
5. 新・ドント節 
6. はじめて君としゃべった
7. 雨の日曜日 
8. 神戸無責任時代 
9. 忘れられない日々 
10. 恋にいのちを 
11. 祭りの本番
お気に入り度:★★★★★★★★★ (9/10)




ガガガSPの通算4枚目のアルバム。
前作のアルバムでは、これでもかとばかりに尖りまくった、
弱男の叫びだとでもいうような荒々しさがあったのに対し、
今作ではそういう要素は薄れたものの、その代わりに音楽性の幅が広がり、
今までにはなかったような一面も見せてくれたのが良かったです。
彼らの曲にしては珍しいぐらいに明るさ全開で恋を歌った
「ヘイミスターアンダーグラウンドマン」、
激しいハードコア調のサウンドに、「ワッショイ!」という、
まさに祭りを思わせるような掛け声が盛り上がる
ラスト曲「祭りの本番」などが良い。さらに4.10曲目などのバラード曲も、
一昔前のフォークのような雰囲気があり、アルバムの中でいい味を出しています。

結成当時から、パンクと昭和フォークの融合という独自のスタイルの音楽を
作っていたバンドですが、このアルバムでは、昭和の音楽を
現代風のバンドサウンドにアレンジして甦らせるというコンセプトを
今まで以上に存分に感じることができる作品となっています。
5曲目に植木等さんのカバー曲があることからもそれが分かる。
そして、今作の楽曲の中でも一番素晴らしいと感じたのは、
昭和のGS(グループサウンズ)風のイントロから始まる、
痛快なバンクナンバーの8曲目「神戸無責任時代」でしょう。
後にこの曲は別バージョン「全国無責任時代」として
シングルカットされ、アニメ主題歌にも起用されたりするわけですが、
この曲はサウンドもさることながら、歌詞が特に良いです。
「心配なんちゅうもんは全部ギャグ ネタが一つ増えたと思ったらいいのさ」
このフレーズには、個人的にどれだけ救われたか・・・

今作のリリース直後に、ボーカルのコザック前田さんは
パニック症候群が原因で活動を一旦休止してしまうわけですが、
それだけにこの曲の歌詞は、いろいろと苦しかった自分にも言い聞かせてるように思えてくる。
かねてから曲の中で自らを「弱男」と公言し、自身の弱さを認めた上で、
音楽というものを通して、そんな自分のやるせない思いや、魂の叫びを放つ。
これは決してただバカ騒ぎしているだけの音楽ではないです。
たとえボーカルの音程や演奏がちょっとぐらい外れてても、
彼らの一生懸命さというものが伝わってくるから、心に響く。本当に共感できる。
これこそが音楽の力、やっぱり素晴らしいなと思います。